ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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書き溜めない。


63:王都パーティ結成

無事に、ジョンのサイドクエストをこなした俺は、またもや冒険者ギルドに来ていた。

 

完全に無駄なように思えるしょーもないギャグシナリオをこなして、思ったことが一つある……。

 

この世界にモブキャラなど、一人もいないということだ。

 

《遠見》の魔法で、ジョンの様子をしばらく見ていたが、どのキャラクターにもしっかりと作り込まれた設定と個性があった。

 

全てのキャラクターが、個人個人で考えて、必死に生きているのだ。

 

ステータスの差や、ダイスの女神の悪戯はあれども、彼らはしっかりと『プレイヤー』だと俺は感じた。

 

NPCのように、世界の運命を動かせぬ、ゲームマスターの「お人形さん」では、決してない。

 

冒険者一人一人が、運命を変える力を持っている!

 

俺は今まで、この世界のどこかに主人公がいて、それが世界をどうこうするんだと思っていた。

 

選ばれし天空の勇者の少年、エルフを伴う自由騎士、小人が率いる九人の英雄……。そう言うものがいるのだと。

 

それ以外の人間は全てNPCで、運命を変える力は持たないのだ、と。

 

だからこそ、人工的に英雄を作り出して、この世界のメインストーリーに割り込ませてみようと考えて、ヴィクトリアを鍛えたのだ。プレイヤーとして。

 

だが違う。

 

この世界では常に、何かのクエストが展開されており、そのクエストをこなす為にプレイヤー達がダイスを振っている。

 

クエストは一つではなく、同時に、多発的に、無数に存在していて、プレイヤーもまた、それぞれがそれぞれの信条に基づき、クエストを遂行している……。

 

良い、世界だ。

 

愉快な世界だ。

 

であるならば、冒険者とはどんどん縁を結んでいきたい。

 

そしてシナリオを……、『ワールドクエスト』を進めたいのだ。

 

俺には見えている。

 

この世界の不安定さを。

 

ほんの一つ、封印の社を崩すだけで、遥か古に恐れられた邪悪な神が蘇る。

 

魔法学院の儀式のミスで次元に穴が開き、次元の彼方から恐ろしき侵略者達が攻め入ってくる。

 

前人未到の蛮族大陸では、何かあれば大いなる魔が降臨するし……。

 

北の国で、かつての英雄達が滅ぼした魔王の復活もあり得る。

 

俺は知っている、知れる。一個の神格として、破滅の未来を予知できる。

 

それに対して、俺が本気を出せば簡単に阻止できるのは言うまでもないだろう。

 

世界にも人にも被害を出さずに一人で戦って魔王だの邪神だのを叩き潰すことは不可能じゃない。

 

……だが、それをして、「面白い」のか?

 

全くもって、面白くないはずだ。

 

GM(この世界の神)が用意してくれた折角の長期キャンペーンシナリオを、別のGM(俺)が横から出てきてゲーム盤をひっくり返して、「平和になった!よかったよかった!」だなんて、無粋極まりない。

 

だからこれは、この世界の全ての生命に課された『クエスト』だと、俺は受け取っている。

 

世界滅亡案件……『ワールドクエスト』の攻略……。

 

愛すべきプレイヤー達には、ぜひ参加して欲しい!

 

そこで俺は、あくまでも一人の英雄として生きていくつもりだ。

 

つまり、「プレイヤー」としてゲームに参加すると言っている。

 

プレイヤーなので、一人の力で解決はできないし、しちゃいけないはずだ。TRPGは皆で楽しむものだからな。

 

だからそう、仲間を作ろう。

 

多くの他の冒険者……プレイヤー達と親交を結び、共に世界の危機へ立ち向かおうじゃあないか!

 

 

 

そんな訳で俺は、積極的に冒険者達とコミュニケーションを取ることとした。

 

コミュニケーションを取ると言っても、流石に相手は選ぶが。

 

とりあえず俺は、ギルド内にある酒場に行く。

 

ヴィクトリアとアデリーンは、それぞれが別の依頼を受けて別行動中だな。ヨナは隣にいるし、ヨナの母は娼館で待機させてる。

 

こいつらは別に、俺のパーティメンバーとかそう言う訳じゃないから常に一緒な訳じゃない。

 

いや、パーティメンバーと言えばそうなのかもしれんのだけども、等級が違うしさ……。

 

お互いの生活もあることだし、普通に働かなきゃならないんだよ。

 

冒険者ってのは金がかかる仕事なんだ。上位になればなるほど、備品の額も跳ね上がる。

 

ポーション、マジックアイテム、鑑定代に娼館代、宿代も金庫借り代もタダじゃない。

 

虚空から無限に金銀財宝を出せる俺だけだ、暇なのは。

 

俺はヨナを侍らせて酌をさせながら、ワインを楽しんでいる。

 

冒険者ってのは結構馴れ馴れしい、こうしておけば放っておいても話しかけてくるはずだ。

 

「ねえ、旦那ぁ?」

 

ほらな。

 

話しかけてきたのはハーフリングの女。

 

くりくりとした栗毛の、短弓と矢筒を背負った薄汚い女だ。

 

いや、顔は良いようだが、人格面が薄汚そう。

 

実際に……。

 

「景気良さそうだねぇ、アタシにも恵んで頂戴よぉ」

 

と、俺に抱きついてきた。

 

漫画的な表現をすると、目が$になっていると言った感じだ。

 

「何だ、お嬢ちゃん?お小遣いが欲しいのか?」

 

「欲しいー!」

 

俺は、このハーフリング女を膝上に乗せてやり、薄い胸を撫でながら手のひらに金貨を握り込ませる。

 

「……っえ?本当にいいのこれ?」

 

笑顔を凍り付かせて目を丸くするハーフリング女。

 

「金に執着心はねえからなあ……」

 

俺がそう言うと、ハーフリング女はニンマリと笑ってこう言った。

 

「金はあるみたいだし……、顔も最高だし……、アレもデカそう……♡ねね、旦那?アタシのこと、愛人にしない?お小遣いくれれば、楽しませてあげるよ?」

 

へえ、そういうことをする冒険者もいるのか。

 

副業ってことだろうか?

 

俺がそんなことを考えていると、横からやってきた大男が、膝上のハーフリング女の襟首を掴んで投げ飛ばす。

 

「済まない」

 

大男……、黒い癖毛の長髪に、クレイモアを背負った、毛皮を巻いた獣革鎧の大男だ。

 

いきなり謝られたが、なんのことだ?

 

「何がだ?」

 

「あの女、俺のパーティメンバーだ」

 

ああ、なるほど。

 

うちの仲間が迷惑をおかけしてすいません、ってことか。

 

人相は悪いが、意外といい奴なのかこいつ。

 

「気にしていないし、俺は女が好きだ」

 

「……そうか」

 

眉間に寄った皺が深いが……、別に、こちらを嫌っている訳でもないみたいだな。

 

「いきなり投げんな!デクノボー!」

 

そう言って、華麗に着地してから俺の膝上に戻ってきたハーフリング女。

 

「チャコ」

 

「名前で呼ぶな!金取るぞコラ!」

 

ふしゃー!と威嚇するハーフリング女。

 

名前で呼ぶのすら有料なのか……。

 

「おお、どうした?また、チャコが暴れておるのか?」

 

「ゴルム」

 

ゴルムと呼ばれたのは、白髪のドワーフだ。

 

樽のような体型をしたずんぐりむっくりのチビだが、腕や脚の筋肉は隆々と盛り上がって血管が浮かんでいる。

 

髭を編み込んで、おさげのようにしているのが特徴か。

 

「お主は懲りないのう……。真面目に冒険者をやった方が儲かるじゃろうに、何ゆえにそのように邪道をゆく?」

 

「うっさいよ樽親父!アタシはねえ、楽して稼いで、贅沢で優雅な生活を送りたいの!冒険者みたいな賤業からはとっとと足を洗って、お金持ちになりたいの!」

 

「かーっ!元盗賊が何を抜かすか!賤業がどう、などと言える立場かお主は?!」

 

「盗賊の頃の罪は全部償いましたぁー!今はまっさらな身でぇーす!差別やめてもらえますかぁ〜?!!」

 

うん、うん。

 

良いね、気に入った。

 

「お前ら、俺とパーティを組んでみないか?」

 




とりあえずもう書き溜めはないです。

次はどうしよう?新作投げるのかな?何も分かりません。

怪人ものも書きたいけど、今度は魔人転生ものも書きてえなあ……。

気がついたら、魔王軍の魔人に転生していた!みたいなの。

足抜けしようにも裏切ったら殺されるし、人類もそこそこ強いし、どないしよ?みたいな。

魔王軍は黒犬騎士団みたいなカスで、犯せ!殺せ!みたいな態度がデフォ。

主人公の母親も、魔族に捕まった孕み袋で、もう既に産めなくなったので解体して食べられちゃった。

主人公は生き残るために必死で頑張る!捕まえた女神官に回復魔法を教えてもらったり、文字を学んで人間の言葉も学んで魔導書を読んだり、武術の練習をしたりして鍛え込む。

同じ魔王軍の魔族達は脳筋ってかアホだから、主人公のことをなんか変なことやってるアホとしか認識しておらず、全く尊敬されない。

捕らえた女冒険者や女騎士を調教して下僕にしつつ、魔族が全く使わない補助魔法や回復魔法で強くなっていき……みたいな。


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