その後の話をしよう。
俺は、下級悪魔(レッサー・デーモン)の死体をタタルの大通りに逆さ吊りにして、タタルの平和を脅かす悪魔の陰謀を暴き、退治した!と大声で喧伝した。
特に、サミュエルとティナとかいう二人のモブ冒険者は、タタルで一番大きな酒場で、俺という冒険者がどんなに強かったかを嬉々として語ったそうだ。
流石に、自分達が活躍した!などと嘘をつくほどの恥知らずではなかったようだな。
俺は俺で、話を聞きたいと目を輝かせてついてきた街の子供や吟遊詩人に、何をやったかを事細かに語ってやった。
「シバさん!デーモンをどうやって倒したんですか?!」
「あんな雑魚、一太刀で仕留めたよ」
広場には、町中の人々が集まり、俺の武勇伝を聞いてくる。
町長の厚意で用意されたワインを飲みながら、俺は事実をそのまま伝えてやることにした。
こういうのは、噂が伝搬するうちに背鰭尾鰭が付くものだ。
恐らくは、俺の意に反した噂も流れるだろう。
だから、要点のみをしっかり伝えて、後世に残る確かな記録を残さなきゃな。
「一太刀で?!」
魂消る町人達を他所に、俺はローストされた鶏肉を齧る。
「ああ。獲物に細かい傷をつけるのは二流だ。大通りに吊るした死体を見れば分かるように、一撃で簡単に殺したんだ」
「た、確かに!デーモンの死体には、余計な傷がなかった!」
今回俺が伝えたいのは、「一太刀で仕留めた」ということだ。
スマートさを喧伝しておきたい。
「トロルの首も見るか?ほら」
「おおーっ!こ、こんな大きなトロルも一撃だったんだ!す、凄い!」
もちろん、タタルのギルドには報告を済ませてある。
こうして俺は、タタルでの話だけじゃなく、ボロネスカでのデュラハンなどについても語ってやった。
そうして、ボロネスカに戻ると……。
「すまんが、お前にはこれから王都へ行ってもらう」
ということになっていた。
まあ、普通に考えればそうだろうな。
「アビスの王家が代替わりして、その王が地上世界に対する積極的な侵略を目論んでいる」って報告したし、俺は重要参考人扱いだろう。
「とは言え、話すことなんざなんにもねえぞ?」
俺は報告した内容以上のことは知らないからな。
「上はそう思っちゃいねぇらしい。今は、ちょっとした情報でも欲しいってところだろう」
ギルドマスターの親父は、パイプを吹かしながらそう吐き捨てた。
「まあ、良いさ。どの道、これから王都に行くつもりだったしな。ついでに話くらいならしてやろう」
ノースも、タタルでの依頼に協力した功績が更に追加され、今一番注目されている新人神官として王都に転属されるそうで、俺もそれについていく。
ついでに、王都まで移動する商隊の護衛依頼を受けつつ、王都へ移動することにした。
「……ところで、どうやって王都と情報をやり取りしているんだ?」
「ん、ああ……。伝書鳩ならぬ、伝書鷹がいてな。それで手紙のやり取りをしているんだ」
なるほどね。
さて……、商隊護衛だが。
マイス商会という名の商会の人間だと聞いている。
この美味しそうな名前の商会は、国内屈指!と言えるほどではないが、十本の指に入るくらいの大きな商会らしい。
主にモンスターの素材や、それを使った雑貨を売買する組織で、冒険者ギルドとの関わりも深いと聞く。
そんな商会が何故俺にコンタクトを取ってきたかというと……、単に、俺が稼ぎそうだからだろう。
モンスターの素材を今後たくさん持ち込んでくれそうな俺に目をつけて、縁を結んでおきたい、と。
そういうことだな。
それは別に構わない。
他人に媚びられるのは気分がいいので、好きにさせておこう。
接待されても、都合が悪けりゃ知らんぷりすりゃいいだけだしな。
とりあえず、書面にサインして、俺は長旅の準備を始めることとした。
まず、最も大切な水と食料についてだが、どちらも商会側が用意するとのことらしい。
だが、旅の保存食なんて食いたくないので、こちらで用意する。
この世界はTRPGファンタジー的な世界であり、食事もそこそこに美味いのだが、流石に旅の保存食は不味い。
大抵、カチカチのチーズかカチカチの干し肉、それとカチカチのパンが基本なのだが……。
パンは釘打ちできるほどに固く、干し肉とチーズは石同然だ。
ビーフジャーキーとかそういう話ではなく、砂漠のようにカラカラの干し肉は、しゃぶってふやかして食べなくてはならない完全な保存食。
石同然の保存食をしゃぶりながら、一ヶ月も歩きっぱなしなど、冗談ではない。
いや、もちろん、途中で何度か宿場町などに寄るだろうが、辛い旅になることは確かだ。
三日くらいなら雰囲気を楽しめるかもしれないが、一ヶ月ともなるとただただ苦痛だろうな。
なので、食事はこちらで用意する。
幸いにも、冬の間に作り溜めしておいた料理がたくさんあるので、それを食えばいいだろう。
それと、雑貨の類だな。
タオルや歯ブラシなんかは、今のうちに作っておこう。
それと、馬車。
馬の方は、魔法でゴーレム的な何かを出せばいいとして、車体の方は今から作り始めないと間に合わ……、いや、大丈夫か。一週間も猶予があるしな。
でも、折角だし、フルカスタム馬車を作ろうか。
王様でも持ってないような、凄い馬車を。
うん、いいな!
楽しくなってきたぞ。
色々作ろうか!
明日からは田舎剣士の更新を再開させてもらいます。
……いや、どうしようかな。
四十話くらい、ゾンビものの書き溜めもあるんだよな。
どっち先に読みたいですか?
あーーー、それはさておき新作欲ーーー!ネタばかりが積み上がってゆく……。
あのさー、ほら、一時期流行ってたってか、今でもたまに見る、「実力隠し系」をさ、俺も書きたいなーって。
いや、隠さないけどね?
主人公はスーパーウルトラ下衆経営者。八十歳で、後継者に会社を任せて、自分は北海道の田舎を街丸ごと買い取ってスローライフ(帝王)してる。
気に入らないやつを経済的に追い詰めて一家心中させるのがだーいすき!ムカつくやつを合法非合法問わずに消しまくってたら、世界経済の数%を握る超巨大企業のCEOになっちゃってたぞ!まあほら……、なろうだから詳しくは考えていけない。ファニーメイか何かなのかな?
でももう八十歳だし、人を殺すとか良くないよ!(やらないとは言ってない)善の心に目覚めて(目覚めだとは言ってない)、田舎町で隠居してる優しい(優しいとは言ってない)おじいちゃんなんだ!
はい、転生転生。
今流行りの……、いやもう旬は過ぎてるだろうけど、駄女神がこう言いました。
女神「あなたの転生スキルは……、『異世界ショップ』です!ぷぷぷ、このスキルは自分の死亡時の総資産以上の価値があるものは買えない、実質ハズレスキルなのよねー!田舎の土臭い農家だし、五十万円も持ってないでしょ!苦しみなさいぶぷぶぷぶー!ついでに言えば、初期のお買い物ポイントは死亡時の銀行口座の残高だから!いくら持ってんの農民さん?ぷぷぶー!」
主人公「会長なんだよなあ……(総資産五百兆円)(預金合計十兆円)」
女神「」
これが、作物の育ちにくいハズレ立地の、更に近くに「闇の森」的なSSSランクモンスターの群生地!みたいな頭わるわるな土地と隣接していて、周辺の貴族から借金しまくりな、人口百人程度の極貧騎士領の長男に転生するんや。
そんなクソみてえな土地が何故存続しているのか?みたいなツッコミはしてはならないぞ!なろうだからな!
そこでさあ、現代物資チートしながら、優しいおじいちゃんソウルで領地に引き篭もる……、そんなお話。
貴族が借金を返せと言ってきても無視!
近所の剣の天才と呼ばれて大人にも勝っている貴族の令嬢が押しかけてきたら、「一度だけ勝負してやる。俺が買ったら二度とそのツラ見せるな」と返す!
派閥争い大好きな貴族達に陰謀に巻き込まれても、「そう、関係ないね(クラウド並感)」!
偉そうな貴族が、喜べ!◯◯様がお前を騎士団に入れてくださるそうだ!に「帰れ」する!
国立騎士学校に入学を!「消えろ」する!
隣国の陰謀!「死ね」する!
村のガキを部下にして、そいつらと遊んで暮らしたり、商売したりする話になりそうだなあ。