ダンジョン発見の知らせを受けて、宿場町タタルへ向かうこととなった俺達。
片道三日の徒歩移動の始まりだ。
さて、道中だが。
これが電車移動とかなら暇潰しの手段が増えるのだが、徒歩移動なので、できることと言えば会話くらい。
退屈だ……。
まあ、景色を見るというか、森林浴ならぬ草原浴だとでも思えばいいだろうかね。
「ノース、最近はどうだ?」
「最近ですか?えーっと、最近は、修行が終わったので、王都に行く予定を立てていますよ」
ほーん。
「王都か。良いな、俺も行こう」
「えっ、来てくれるんですか?」
「まあ、ボロネスカにいてもやることがなさそうだしなあ」
「嬉しいです!一人だと心細いなって思ってて……」
何が心細い、だよ。
俺の見立てでは、ノースは既に、この若さで神官(プリースト)レベル4にまで達している。
このペースでいけば、二十代になる頃には英雄になってるぞ。
「どうせアレだろ?ボロネスカ程度じゃお前の才能が腐るからって、王都みたいな大きな街に派遣されることになったんだろ?ぶっちゃけ、ボロネスカみたいな辺境で燻ってるようなクズ神官と比べたら、お前は格別だもんな」
「そ、それは……。その、そういう言い方は良くないですよ……」
ああ、ノースもロウフルグッドだから、そうはっきりとは言わないか。
「でも、強ち間違ってないだろ?才能があるからもっと上に行けって言われたのは確かなはずだ」
「は、はい……。ボロネスカの地母神神殿の司祭様は、私には才能があると仰られていました……」
ほらな。
「やっぱりな。良いことじゃないか」
「良いのでしょうか……?私のような新米が、先輩方を押し除けてこのような……」
チッ、ロウフルグッドはこれだから。
カオティックニュートラルの俺とは相容れないな。
とは言え、気持ちが分からない訳ではない。
だが……。
「純粋な実力と才能の話だろうが。先輩方よりお前の方が上だったってだけだ。むしろ、誇りを持つべきだろう」
「いえ……、人は平等であるはずです」
「そりゃあ、お前はそう思っているのかもしれないが……。実際の話、お前が優れていたから、王都に栄転ってことになったんじゃないのか?どの道、これからお前がすべきことは、王都で更なる修行に励み、より多くの人を助けることだろう」
「そう、ですかね?」
「そうだろ。お前のようなロウフルグッドは、より多くの人を助ける道を選ぶはずだ」
「ろ、ろうふる……?」
「ん……、ああ、俺流の性格診断のようなものだ。お前はロウフル(秩序を重視)で、グッド(善人)ってことだ」
「な、なるほど……?でも、私は善人と言われるほどのことはしていませんけど……?」
うわー、いかにも善人のセリフ。
「いや、善人さ。お前は、社会秩序、法律と正義を重視して、そしてそれを悪用しない。素晴らしい人間だ」
「え、えっと、その、ありがとうございます」
と、軽く頬を染めるノース。
「因みに、アデリーンもロウフルグッドで、ヴィクトリアはニュートラルグッド(中立の善人)だな」
「シバさんはどうなるんですか?」
「カオティックニュートラル(混沌にして中立)」
「そ、それは、その……」
「混沌というのは少し大袈裟かもな。混沌とは、個人主義と言い換えられる。つまり俺は、俺の気分で、法や秩序を破壊し、やりたいことをやる自由主義者と言うことだ」
「……あの、悪いことはしちゃいけませんからね。私は、シバさんが悪いことをすると悲しいです」
あらまあ、良い子だわー。
だが、そういうことじゃないんだよね。
「カオティックニュートラルは、積極的に秩序を破壊する訳じゃない。本人の『夢』や『理想』の為になら何でもやるって連中だ」
「夢、ですか。シバさんには、何かを犠牲にしても叶えたい夢があるってことですか?」
「俺の場合、『理想』かもしれない。俺はな、『面白いこと』がしたいんだよ」
「面白いこと?」
「ああ。古臭い英雄譚のように、悪しきモンスターに攫われた美姫を助けにダンジョンに潜ったり、圧政に喘ぐ国家を転覆し革命を起こしたり、誰も見たことのない世界の果てを目指す冒険に出かけたり……。そう言うことがしたい」
「その為なら、犠牲があっても構わない、と?」
「ああ、そう言うことだ。俺がやりたいことをやって、割りを食う奴もたくさんいるだろう。だが、俺は関知しない」
俺がそう言うと、ノースは、酷く難しい顔をして言った。
「……正直、賛成できない考え方です。でも、そう言う考えの人もいます、よね」
ほう、良いじゃないか。
最近の三文小説やソーシャルゲームのように、主人公のやることなす事全てを賛美するイエスマンばかりなんて、つまらないもんな。
「そうだ、良くわかってるじゃないか。……だが、俺ももちろん、お前のような善人が苦しむのは心苦しいとは思っている」
まあ、善人はできれば助けるが、気に入らない奴はどうなっても構わないってことだな。
「神官として、相談はいつでも受け付けます。ですから、なるべく、人を傷つけることのないようにしてくださいね」
保証はしない。
大正ロマンもの書きてえなあ……。
ポストアポカリプスゲーム世界の能力を持って大正ロマン世界に転生って言ったじゃん?
本来ならタチコマみたいな支援機とか、メタルギアREXみたいな無人機をさ、大正日本世界に溶け込ませるために、そいつらの思考AIを人型アンドロイドのボディにダウンロードするんだよね。
タチコマみたいな中性のAIがさあ、「わー!マスター、見て見て!マニピュレータが五本もあるよ!マスターとお揃い!」とか言ったり、「ふえ……?マスター、ボクの身体がどうかした?え?お尻が丸見え?……だから何?」とか「おおー!有機センサーで処理されるマスターの信号はこんな感じなのかー!……あれ?おかしいな?マスターの信号を感知すると、人工心臓の鼓動が早まるよ?エラーかなあ?」とか「えっ?!マスターが、ボクのことをカワイイって?!え、えっと……、うーん、マスターさえ良ければ、生殖機能を使ってみようか?」とか言うんや!!!!!
たまらねえぜ。
いや、ちょっと、マジで書きたくなってきたな……。
主人公は、ゲーム内では「機械の機械による機械のための機械帝国」の皇帝だったんですよ。具体的にはほら……、サイボーグ飯って言う同人短編漫画があるんですけど、あんな感じの国を作ってました。まあ、分かんないって人は、銀河鉄道999の機械帝国とか、ドラえもんの鉄人兵団とか、なんかそんな感じのを想像してください。あ、別に政治体系はディストピアとかではないです。意志を持ったAI達が楽しく暮らしている帝国です。
種族は、『ノーマルヒューマン』やら放射能変異により変異した人間である『メタヒューマン』『ビースツ』『レプタリアン』とか、そう言うのがいる中で、有機ナノマシンで全細胞が構成されている機械人類『チクタクマン』と言う種族を選択。
因みに、他のランカープレイヤーには、美少女クリーチャー並べてハーレム国家作った変態や、ダイソン球作ってそこに住んでる変態、地下帝国で柱の男になっている変態などがいます。
ヒロインは、タチコマみたいな自走戦車、メダロットみたいな護衛人型ロボット、都市管理AI兼オペレーター……をそれぞれ、有機ナノマシンで構成した肉体にAIをダウンロードした女の子とします。
現地ヒロイン?まあ、そうね……。