ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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死にたみがデカい。

あー、ワクチン打たないと!


28:クエスト3〜墓地に眠る騎士〜

このようにして、ヴィクトリアには、大きなクエストを達成するたびにアチーブメントとして適当なマジックアイテムを作ってやることにした。

 

今回は、初めてのクエストの達成と、格上のワーウルフを倒したこと、損害を出さなかったことで大幅に加点されたってことだ。

 

さて、今は冬。

 

今回は、ノースからの依頼ということで、アデリーンとヴィクトリアを連れて墓地に来ている。

 

ノース……。

 

フィーユ村で出会った神官の少女だ。

 

修行によって更にレベルを上げて(まあ、レベルなんてこの世界にはない言葉だが、力量が上がっているのは確かだ)、見習い神官の中ならこの街で一番と言われるほどになったそうだ。

 

実際に、かなり腕のいい見習い神官がいると噂になっていたが……、ノースのことだったのか。

 

にしても、神官なあ。

 

「この世界は多神教だったはずだが、どこの神官なんだ?」

 

と、墓地に向かう道中で、ノースに訊ねてみる。

 

「私は、『地母神ゴルガンナ』の神殿の神官ですよ」

 

そう返される。

 

地母神ゴルガンナ……。確か、大陸を作った地母神だとか。

 

慈愛と豊穣の他、医学なんかも司るらしくて、メタ的に言っちまえばヒーラー特化の神術を覚えられるところだな。

 

戦神のガデチデンとかだと、自己強化とか力場攻撃とか、戦闘に役立つ神術を覚えられるらしい。

 

地母神は、回復系の神術のバリエーションが豊富で、単純に傷を癒すだけでなく、解毒や病気の治癒、解呪の類なんかもできるらしい。その代わり、攻撃系の神術はほぼないそうで、アンデッドの退散とか、聖属性のエンチャントとかくらいしかできないとのこと。

 

「にしても、お前の先輩とやらは酷い奴だな。新米のお前を、いきなり実戦に放り込むとか」

 

「いえ、きっと先輩は、私があなた……、『銀の流星』と知り合いだと知っているんですよ!守ってくださいね、冒険者さん!」

 

で、今回は。

 

ノースが、先輩からいきなり、街の墓地の浄化作業をやらされることになったらしい。

 

墓地の浄化……、ってのから分かるように、墓地にはアンデッドが湧いてしまうんだとさ。

 

基本的には、実態を持たないが、人や物に取り憑いて暴れる幽霊(ゴースト)が殆ど。

 

ゴースト程度なら、聖職者には耐性があるので、大抵は取り憑かれない。まあ、一般人にとっては危険だが。

 

未練がある死者の墓から這い上がってくる腐人(ゾンビ)や骨人(スケルトン)なんかが、物理的に攻撃してくるから危ないかなーって感じらしい。

 

そんなアンデッドを浄化するのが、神官の仕事の一つらしい。

 

「先輩から任されたので頑張ります!」

 

とノースは意気込みを見せているが、実際のところ、先輩からの嫌がらせであると俺は思っている。

 

新米を先輩の付き添いもなくいきなり実戦に放り込むとか、どう考えてもおかしいからな。

 

更には、墓地に封印されている強いアンデッドの封印の護符の張り替えなんかもやらされるらしい。

 

それって、重要な仕事なんじゃねーのかな?新米に任せていいのか?

 

まあとにかく、やってみよう。

 

 

 

墓地に入った。

 

墓守に挨拶するのだが、ついでに墓守に話を聞く。

 

墓守は、白髪に髭の老人だ。

 

「気をつけてくだされ、最近はアンデッドが多いですぞ」

 

ほーらね?

 

やっぱり、ノースの神殿の先輩とやらの嫌がらせだわこりゃ。

 

わざわざ、アンデッドが多い時に行かされてんだもん。

 

で、ノース本人は、嫌がらせされてるとか分かってない、自覚してない、と。

 

 

 

墓地。

 

おどろおどろしい邪気を感じる。

 

少しの霧と、生臭さも。

 

この世界の墓地は、地球のように綺麗にカットされた墓石がずらりと並び、手向けの花が……、みたいな綺麗なもんじゃない。

 

墓に石を置けるのは上流階級で、大抵は、ボロボロの木で十字架のようなものを作って、土に挿している程度のもの。

 

中には、冒険者か何かの墓だろうか、剣が墓標代わりになっているものもある。

 

無縁仏は酷いもので、お供物どころか墓標すらない。

 

「光よ来れ、『光源(ライト)』」

 

アデリーンが、夜の墓地に光を灯す。

 

アデリーンの持つナイフが眩く発光して、周囲を明るく照らした。

 

いやー、夜じゃないとアンデッドは出ないからな。

 

さっさと浄化とやらを……。

 

『オオオオオ……!』

 

『オオーン……!』

 

『シ、ネ……!』

 

『ウラメ、シイ……!』

 

『イケルモノニ、シヲ……!』

 

『ノロワレヨ……!』

 

んー?

 

「……多くないか?」

 

ゴースト四体、ゾンビ六体、スケルトン四体と大所帯だ。

 

「まあ良いや、《障壁》っと」

 

障壁を張って、と。

 

「まずノース、一応はお前の仕事だから、浄化とやらをやってみせろ」

 

「はい!」

 

さて、どうかな?

 

「地母神よ、彷徨える死者に安息を与えたまえ……、『浄化(プリフィケイション)』!!!」

 

『『『『ギャアアアッ!!!』』』』

 

ほー。

 

なんかよく分からんピカピカした光のオーラ?みたいなのに照らされたゴーストが、断末魔の叫びを上げて消えていった。

 

消えるっていうか、溶けるって言うか……。

 

これ、大丈夫なやつなの?

 

まあ良いや。

 

とりあえず、授業だ。

 

「良いか、ヴィクトリア。アンデッドってのは痛みを感じない。だから、生半可な攻撃をするとカウンターが飛んでくると考えろ」

 

「はい!」

 

「でもな、奴らは所詮、材料が人体。だからこうして片足を潰してやると……」

 

俺は、下段回し蹴りで、ゾンビの片足をへし折った。

 

ゾンビと言っても、ぐちゃぐちゃの腐乱死体ではなく、ちゃんと筋肉で身体を動かしているようだ。

 

なので、筋肉の支えである骨をへし折れば……。

 

『グエエ……』

 

「ほらな?立てなくなる。こうなっちまえば、煮るなり焼くなり好きにできる」

 

「はい!」

 

「あとはそうだな……、アデリーン」

 

「何かしら?」

 

「ゾンビって、脳を破壊すれば死ぬんだよな?」

 

「そうね、活動は止まるわ。あと、最初から死んでるわよ」

 

なるほどね。

 

試しに、ゾンビの首を刎ねてみる。

 

『ア』

 

「んー?なんだ、首を刎ねても死ぬじゃん。多分、鍵は頸椎への損傷かねえ?」

 

あと言えることは……。

 

「低級のアンデッドってのは、基本的に、獣よりもアホだ。生者のオーラに真っ直ぐ向かってくるだけだから、こんな感じで……」

 

俺は、墓石の裏に回る。

 

『オオオ……!』

 

ゾンビは、墓石に引っかかる。墓石にぶつかったにも関わらず、前に進もうとしていた。

 

その隙に背後に回って首を刎ねる。

 

「罠に嵌めろ。落とし穴でも、柵に引っ掛けるのでもいい。トラバサミとかでもいいんじゃないか?コスパは悪いが」

 

「はい!」

 

あとはスケルトンか。

 

「スケルトンには打撃だな。俺はこんな感じで斬れるけど」

 

『グエ』

 

人骨を縦に両断する。脳天から尾骨まで真っ二つだ。

 

「まあ、お前は斬れないと思うから、そうだな……、剣しかない時は、剣の柄頭で殴ってやれ」

 

俺は、剣の柄頭でスケルトンの頭蓋骨を砕く。

 

『グエーッ!』

 

「分かったか?」

 

「はい!」

 

よし、こんなもんかな。

 

「ありがとうございました!あとは、封印のお札を張り替えてきますね!」

 

そう言って、小さな祠に歩いていくノース。

 

……うーん?

 

ノースが持っている札、魔力を感じなかったな。

 

これは……。

 

ノースが古い護符を祠から剥がした、その瞬間……!

 

『オ、オオ、オオオオオオオオオッ!!!!!』

 

巨大な闇のオーラが爆発して、ノースが吹っ飛ばされた!

 

「ノース!」

 

アデリーンが吹っ飛ばされたノースに素早く駆け寄り、介抱をしていると……。

 

『ヤット、外ニ出ラレタゾ……!!!』

 

なーんか、黒くてデカい首なし騎士が出てきちゃったぞー?

 




あーん!

ゾンビもの、折角東京編を書き始めたのだが、間延びしまくってクソです。

もう駄目だ……、俺には才能がないんだ……。

それと、趣味でやってるから添削してもらったり努力して文章力を上げようとする気概とかも特にないんだ……。

あ、因みに、文章力やら構成力やらはクソカスだけど、ストーリーの流れとか物語の要素とかは最高に好きなもので書いてるので、上手い下手は置いておいて、自作が一番読みたい文章ではあります。

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