ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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おちんちんびろーん。


生徒会長は策を練った

生徒会長の麗華は、レトロゲーム部から送り付けられてくる《灰の玉座》プレイレポの内容を思い出しつつ、キャラメイクの極意について語り出した……。

 

「まず、最初に注意すべきは、このゲームはかなり『難しい』……、そして『古い』ゲームだということだ。少しでもプレイをミスすると、頑張って育てたキャラクターでもすぐにやられてしまう」

 

「難しい?」

 

数学教師の海斗が首を傾げる。

 

昨今のVRゲームは、難しいと言えるほどの難易度はないからだ。

 

「このゲームは、三十年前にインターネット上のクリエイターが無料配布した、『フリーゲーム』であり、ゲームジャンルは『ローグライク』と呼ばれる形式です」

 

麗華は、知っていることを淀みなく答える。

 

「ふむ……、ローグライクとは?」

 

「2Dグラフィックを上から見下ろして、東西南北にキャラクターを動かして戦うものです。具体的な内容は、敵を倒して装備を奪い、その装備で更に強い敵を倒す……、それを繰り返す形式ですね」

 

「なるほど、ローグ(ならず者)か。言い得て妙だな……」

 

「話を続けます。皆もよく聞いてくれ!良いか?このゲームでは、初期設定が非常に重要だ!初期設定で、弱い種族、弱い職業を選ぶと、早々に『詰む』そうだ!」

 

「か、会長?詰むってどういうことですか?」

 

そう訊ねたのは、生徒会書記の薫だった。

 

「詰むというのはそのままの意味だ。死ぬか、死に等しい状況になるか、だ」

 

それを聞いたこの場の生徒達は、顔を青くした。

 

「そ、そもそも、死ぬような世界なんですか?!」

 

続けて薫は問いかける。

 

「ああ、そうらしい。モンスターがそこら中にいて、人を襲う盗賊や強盗団もいる……、中世並みの倫理観の世界らしい。まあ、死んでも蘇生されるが、ペナルティがとても大きいとのことだ」

 

「そ、そんな……!」

 

「故に、身を守る力がないと危険なのだ!よって、おすすめできるキャラメイクについて、知っている限り教えよう!」

 

そう言って、書類を前に出す麗華。

 

「まず、第一に。このゲームでは、利点は欠点と『トレードオフ』だ。優れた部分が大きければ、欠点も大きい」

 

「ええと……、じゃあ、利点も欠点もない存在にはなれないんですか?」

 

と薫の尤もな質問。

 

「なれる。なれるがそれは、器用貧乏だ。欠点はないが、何もできない存在になってしまう。故に、切り捨てるのだ。戦士になるなら魔法を、魔法使いになるなら腕力を……」

 

ここにいるメンバー全員が息を呑む。

 

「とは言え、時間さえかければ後でスキルなどは後付けできるそうだが……、基本的には、最初が肝心だ」

 

「補足しておきますと、近接戦闘型でも、初期の頃は、最弱クラスのモンスターでも二、三体相手にするのがやっとで、魔法使いなどは、最弱クラスのモンスター一体でも近接戦闘では命がけ……、と言った非常にシビアなゲームバランスです」

 

隣の文乃が補足した。

 

「だからこそ、最初のキャラメイクが重要なのだ。だが……、諸君らには申し訳ないが……」

 

「な、何ですか?」

 

薫が辛そうに聞いてきた。これ以上辛い話を聞きたくなかったからだ。

 

「私が勧めるのは、『異形種』……。諸君らには、人間を辞めてもらう覚悟をしてほしい……」

 

「なっ……?!な、何故ですか?!」

 

流石に、ここに集まったグループにも衝撃が走る。

 

まともな神経をした人間ならば、モンスターになれと言われて頷けるはずがない。

 

「このゲームでは、人間やそれに近い種族は極めて弱いのだ……。基本的に、人間のままある程度まで成長したら、別の異形種に転生することが基本と言われているらしい……」

 

「人間は弱い……?」

 

「ああ。しかし異形種は、初めから高い能力を持ち……、その代わりに欠点があるのだ。例えば、吸血鬼ならば、物凄い力を持つが、陽の光の下を歩けない等だな」

 

「なるほど……、それなら理解できます。吸血鬼って言うと、人間なんて素手で引き裂いてしまうようなイメージがありますからね……」

 

薫はそう言って、納得の表情を見せた。

 

「それに、異形種だからと言って醜い姿に変わる訳でもないそうだな。種族の説明欄に『魅力が下がる』と書いていない限り、醜い姿になることはそうそうないそうだ」

 

それを聞いて、ここにいる全員が一応の納得を見せた。

 

「では、大和君のレポートを基に、強いと言っていた組み合わせを教えよう……」

 

 

 

一方で、他の大多数のグループは……。

 

「何にするー?」「やっぱりエルフじゃない?」「獣人も可愛くない?」「人間でいっかなあ」

 

ゲーム的な意味での地雷を選んでいた。

 

『ヒューマン』は、何の取り柄もないが、代わりに弱点もない。

 

使いやすいように思われるが、このゲームは、最弱クラスのモンスター三体に囲まれると死ぬかもしれないと言うレベルの難易度であるからして、何かを捨てて何かを上げなくてはならない。

 

また、初期所有スキルが『採取』『火起こし』『投擲』『健脚』と、弱いスキルだけなのが致命的だ。

 

『エルフ』は、魔力、知能、魅力が高いのだが、その代わりに筋力、耐久、意思が低いのが特徴。

 

魔法使い……、『マジックユーザー』と呼ばれる分類の職業においては、選択肢の一つとして充分に有りな種族だが、肉体的な脆さから戦士系には不向き。

 

初期スキルの『採取』『魔力制御』『読書』『記憶』も、マジックユーザー向けだ。

 

『ハーフビースト』は、所謂半獣人だ。筋力、耐久、知覚の三つのステータスが高いが、その代わりに器用、知能、魔力が低くなっている。

 

戦士に向いているステータスと言えるのだが、正直に言って、ハーフビーストではなく『ビースト』や、もしくは『ハーフオーガ』に『ゴーレム』などと比べると性能は低いと言わざるを得ない。上位互換の種族がいくらでもあるので、わざわざハーフビーストを選ぶ必要は特にない、ある種の不遇種族である。

 

初期スキルも、『嗅覚』『聴覚』『跳躍』の三つだけと、貧弱である。

 

「じゃあ俺は、『ヒューマン』の『赤魔導師』にしよう!やっぱり、万能の魔法剣士ってカッコいいよな!」

 

そう言ったのは、この愚か者グループの中心的存在である、霧谷竜也(きりたにたつや)だ。

 

二年生で、生徒会の副会長を務めていた。

 

いち早く、生徒会長である麗華を見捨てて、こちらのグループの中心的存在になった。

 

裏切りは褒められることではないが、このような場面で躊躇いなく損切りができ、周りを扇動できる存在は、確かに有力ではある。

 

惜しむらくは、選択肢を間違えたことだろう。

 

「じゃああーしは『ハーフエルフ』の『黒魔導師』にしよーっと」

 

「私はぁ、『ハーフビースト』のカワイイネコミミのぉ、『賢者』にしちゃうね!」

 

そう言ったのは、ギャルの伊藤真菜(いとうまな)と、芳賀心愛(はがここあ)の二人だった。

 

この二人は、竜也の取り巻きである。

 

そこに……。

 

「なら俺は、『ヒューマン』の『剣豪』だな。異世界だがなんだか知らんが、俺の剣技を以てすれば切り抜けられるだろう」

 

「じゃ、俺は『ヒューマン』の『魔法戦士』だな!俺、かなりゲーム上手いしよ、どうにかなるっしょ!」

 

竜也の親友、富田飛太(とみたとびた)と、不良の安田守雄(やすだもりお)だ。

 

さて、このグループであるが、一つの共通点がある。

 

それは、『秋田大和を憎んでいる』ということだ。

 

大和は、美の女神の寵愛を受けたとしか思えないような美形で、勉学においてもスポーツにおいても、神の祝福を受けているかのような大きい才能を見せていた。

 

美しさも才能も人並みに過ぎないクラスメイト達が、大和に大きな妬心を抱くのは想像に難くないだろう。

 

多感な高校生という時期に、あらゆる能力において自分が一切敵わないバケモノと出会うのだ。

 

それは、性格も歪むと言うものだろう。

 

「(くくく……、異世界だかなんだか分からないけど、ゲームの世界なら自分の方が上に決まってる!大和を倒して、自分が一番に……!)」

 

そう考えたのは、ここにいる五人だけではない。

 

クラスメイトの……、いや、この学校の生徒殆どの総意だ。

 




あー、なろう……。

なろう転載かあ。

怖いんだよなあ。

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