ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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はい、新作。


ローグライク転生
*あなたはミンチになった*


県立坂東高校。

 

神奈川県の、海の見える位置にある、偏差値60付近のなんちゃって進学校だ。

 

その二年一組。

 

HRが終わり、さあこれから部活動だ……、と言ったところで。

 

全校生徒の持つ携帯端末から、大きなブザー音が鳴り響く。

 

これは……、緊急地震警報か。

 

「あー?またかよ?最近多いよなー」

 

「ねー」

 

「うるさいし、びっくりするからやめてほしいよねー」

 

周りの生徒達は、そのように楽観しているが、俺はなんとなく嫌な予感がしたので、教室を出ようとした。

 

「は?何お前?ビビってんの?」「ダサ……」「地震くらいでさあ」

 

そんな言葉を背中に受ける。

 

「おい!秋田!秋田大和(あきたやまと)!」

 

俺の前に、誰かが立ち塞がる。

 

何だったか、こいつは?確か、霧谷、だったか?

 

何かと他人に喧嘩を売られることが多い俺は、一々他人の顔を覚えていないのだ。

 

こいつも、注意をするという体を装って、俺を弾劾したいだけだろう。

 

それは、俺に原因があるからなのだが。

 

まあ、それはいい。

 

問答をしている暇はない。

 

余震が始まった。

 

余震は……、かなり長い。

 

これは、確実に大地震だろう。

 

それこそ、大震災と言われるレベルの。

 

「空気を読めよ!避難警報が出たんだから、まずは先生の指示に従って……」

 

俺は、目の前の霧谷をぶん殴り、教室のドアを打ち破るかのように開けて、屋上を目指した。

 

「ぐあっ?!!」

 

霧谷が吹っ飛ばされ、周りの奴らに介抱されるが、関係ない。

 

「大和君!」

 

そんな中、俺の名を叫びながら席を立った女が一人いた。

 

幼馴染みの細川文乃(ほそかわあやの)だ。

 

振り向いてはいないが、声で分かる。

 

が、すまんな。

 

俺は自分の命が一番大事だ。

 

自分の面倒は自分で見てくれ。

 

別に嫌いな訳じゃないがな。

 

だが、長年の付き合いがある幼馴染みを完全に見捨てるのは心が痛む。

 

俺にだって心はあるからな。デメリットがあれば人間関係を切り捨てられるだけで。

 

と言う訳で、一言言い残してやる。

 

「地震だ、津波が来る。屋上へ行け」

 

「う、うん!」

 

文乃も、俺を追って走り出したが、いかんせん遅い。

 

成績はトップだが、この女は運動については『てんでだめ』だからな。

 

俺は、余震が続く中、教室のすぐ隣にある階段を駆け抜けて、三階へ。屋上の階層へと辿り着いた辺りから本震が始まる。

 

ほぼ、転がるような感じで、屋上のドアを打ち破り、障害物のない屋上のど真ん中に這いつくばった。

 

「くっ……!」

 

物凄い揺れだ。

 

立っていられない。

 

窓が軋んで割れて、屋上のソーラパネルが崩れる。校舎も崩れて……。

 

二、三分続いた揺れが収まる……。

 

俺は、半壊した校舎の屋上から、グラウンドを眺めようとして……。

 

「来たか……」

 

大きな、大きな津波が迫っていることに気がついた。

 

津波は、瞬く間にグラウンドを埋め尽くす。

 

運動部の生徒達は全滅だ。

 

屋上にいた俺だけが、校舎の半壊にも、津波にも、上手い具合に巻き込まれず、何とか生き残れた。

 

ふむ……。

 

俺の創立したレトロゲーム部の部員達も全員死んだだろうな。

 

知り合いも全て死んだはずだ。俺は、校内の外には身内以外知り合いがほぼいない。

 

友人がいない人生とは悲しいなあ。

 

まあ、割り切ってと。

 

これからどうするかを考えて……。

 

んん?

 

『困るんだよなぁ、この学校の全滅は既に決まったことなのに』

 

「何を……、がっ?!!!」

 

光り輝く何かの声が耳に届くと同時に、俺の全身が弾ける。

 

即死だ。

 

……即死だと言うのに、俺の脳裏に浮かんできたものは、美人な幼馴染みの微笑みでも、片親で俺を育てた母親の顔でもなく。

 

『あなたはミンチになった。……遺言は?』

 

と言う、死ぬほどやり込んだローグライクゲームのゲームオーバー画面の言葉だった……。

 

 

 

 

 

「大和君!大和君!」

 

「先輩!起きてよ、ねえ!」

 

「部長!起きてくだサイ!」

 

三人の女が喚く声で、俺は起こされる。

 

「ああ、起きた……!良かった……!」

 

隣にいるのは、幼馴染みの文乃と。

 

仁科鈴(にしなりん)とナターリヤ・マルコフスカヤだ。

 

この三人は、俺が創立したレトロゲーム部の部員達で、数少ない俺の友人だ。

 

「ここは?」

 

俺が問いかける。

 

「分かりません……。気がついたら、学校にいた人全員がここに……」

 

なるほど。

 

文乃の声を聞いた俺は、周りを見回す。

 

白い、白い空間だ。

 

地面と空の境界すら分からない。

 

明らかに、尋常な空間ではないことがよく分かる。

 

近頃流行っている、脳波によって動くVRゲームでなら、このような空間もあり得るのかもしれないが……。

 

俺は、VRゲームはあまりやらないからな。

 

あんな課金前提のクソゲーはなあ。

 

美麗グラフィックに全く新しいインターフェイス、新型コンピュータの演算力による細やかな動作!確かに素晴らしい。

 

だが、それらを維持するために、ユーザーから大量の課金を強要するのはどうかと思うな。

 

やっぱりゲームってのは、努力して、何度も死んで覚えて、プレイヤーそのもののスキルでゲームをクリアできなきゃな。

 

課金した金額イコール強さのゲームなんて興醒めにも程がある。

 

それに……、『現実なんてつまらない』だろうが。

 

VRなんて風に、ゲームを現実に近づけられたら、簡単過ぎてしまう。

 

思い通りにならないからこそ楽しいんだろうに。

 

「そう、その通りだね」

 

そんなことを心の中で考えていた俺の背後から、声が響く。

 

若くも、老いてもいない。

 

男でも女でもない声だ。

 

俺が振り向くと、そこには……。

 

「はい、ちゅうもーく。こっち見てくださいねー」

 

古代ギリシアの神様のような、白い布を身体に巻いて、オリーブの木の輪っかを被った人間がいた。

 

男でも女でも、子供でも大人でもない、人間だ。

 

いや……、恐らくは、人間に見えるだけで、全く別の存在かもしれない。

 

明らかに、尋常な人間の雰囲気ではないからだ。

 

だが、表面上は、疲れたサラリーマンのような表情と態度をしているために、神々しさはあまり感じられない。

 

「はぁ?何お前?」

 

不良っぽい生徒が、この……、推定神様に喧嘩を売るかのような態度で突っかかる。

 

「はーい、はーい、聞いてくださいねー。良いですか?はい、ちょっと静かにしてもらって……、あー、良いですかー?ちょっとー?」

 

推定神様は、こちらを何とか宥めようとしてくるのだが、千人を超える全校生徒と職員達は、全く黙らない。

 

「あのー、はい!あのですねー!私、神様でしてー!」

 

「何言ってんだこいつ?」「馬鹿じゃねーの?」「意味わかんなーい」

 

「えー、良いですか?よく聞いてください!ちょっとまあ、こっちの仕事の関係で、ここにいる皆さんを殺させてもらいましたー!」

 

「「「「「「……はあ?!!!」」」」」」

 

ふむ。

 

あの地震と津波は、俺達を殺すためのものだったのか。

 

「何言ってんだ?!!」「お前!」「おいこら!」

 

おおお、生徒達が雪崩れ込んでくる。

 

が、しかし、推定神様は、透明な壁を張って、接近を防ぐ。

 

「はい、すいませんね、すいません。こっちも仕事でしてね」

 

「ふざけんなー!」「帰せよ!」「お前を殺してやる!」「おい!この壁消せ!」「こっちこい!」「テメー!」

 

「はい、すみません、すみませんね。ごめんなさい」

 

生徒達は、暴徒と化して暴れている。

 

「皆!やめたまえ!とりあえず話を聞いて……!」

 

美人な生徒会長、龍造寺麗華(りゅうぞうじれいか)が、この暴動を止めようとしているが、頭に血の上った生徒達の目に入らない。

 

話が進まなそうなので、俺は質問する。

 

「あー、ちょっと良いですかね?」

 

「あ、はい、何ですか?」

 

「死んだのは分かったんですけど、これからどうなるんです?」

 

「はい、それなんですけどね。まず、地球は豊かな世界で、地球に転生したい人っていっぱいいるんですよ。でも、そうすると、人気のない世界は魂が足りなくなっちゃう訳でして」

 

なるほど、バランス調整。

 

「あー、分かりました。じゃあ、人気のない世界に送られる感じですかね?」

 

「ええはい、そんな感じになります。で、その時、キャラメイクというかそういう感じのことをして欲しくてですね」

 

キャラメイク?

 

「キャラメイクですか?」

 

「はい、まあ、こちらに『基礎種族』『基礎職業』『基礎性格』『基礎特徴』を張り出しておくんで、各自こちらの用紙に記入してから提出をお願いしたくてですね……。あー、あー、すいません。すいませんね、本当にすいません」

 

罵声を浴びせられる神様を放置して、貼り出された一覧表を見る。

 

それは……。

 

「あれ?これってまさか……?」

 

この種族、この職業、そして性格を選び、更には特徴も選ぶ……。

 

「あの、これって、《灰の玉座》じゃないですか?」

 

俺は、神様に訊ねる。

 

「え?!ご存知なんですか?!」

 

と、神様は驚いて……。

 

「はい、昔からローグライクは好きでして」

 

「ああ、同好の士ですね!」

 

「にしても、ゲームの世界ですか」

 

「あー、それなんですけどね?基本的に、皆さんがテレビゲームやら小説やらと認識しているのは、全部別の世界なんですよ」

 

へえ、そうなんだ。

 

「なるほど。じゃあ、俺達の世界もなんかのゲームとして、他の世界で観測されたりしてるんですかね?」

 

「はい、そうですよ。あなた方の世界は、野球漫画の世界と、恋愛漫画の世界と、ヤクザゲームの世界と……、まあ色々です」

 

ふーん、面白いな。

 

「あ、じゃあ最後に質問なんですけど……」

 

「はい?」

 

「ヴァリアントは?」

 

「全部乗せですよ!」

 

ふむふむ。

 

じゃあ俺、チートしちゃおうか。

 




うーん、手は抜いてないんだけど、あんまり話が動かないから劇的に面白くはないんじゃないかな。

ローグライクゲームをモデルにする以上、レベル上げ描写を増やさざるをえないのよ。やっぱり、ローグの魅力はレベル上げと武器厳選だと思うから。

全然自信ないです。

いや、俺はね、俺本人が常に面白いと思ったものを書いてるつもりですけどね、皆さんがなんて言うかも大事ですからね。



それはそれとして、なんかこう……、なろうの蜘蛛に転生するアレみたいなの書きてぇな?

このローグライク転生はご覧の通りクラスメイトが無能無能アンド無能な害悪キャラとなっておりますが、もしも、まともなクラスメイトと共に異世界人外転生してたら?みたいな。

主人公はスタート時単なるカナチョロ(地域によって違いますよねこれ?カナヘビとか言います?)に転生して大爆笑しながらサバイバル生活を始めるんですよ。そうですねえ、今回がレトロゲーム部の知的なクズなんで、人外転生ものではサバイバル部の肉体派主人公としましょう。

でまあ、最終的にミラルーツ的な化け物になる感じでおなしゃす。

主人公が旅をする過程で色々な強いモンスター、ご当地の伝説モンスターみたいなのと出会うんですけど、それが実は同タイミングで転生していたクラスメイトで「お前かいィィィ!!!」と銀魂みてーな切れ方をする、みたいな。

蜘蛛に転生するアレを読んでないのでよく分からないんですけど、世界観はファンタジーを当然としてあとはどんな感じでいきます?

蜘蛛のやつとか普通の人外転生ものみたいに、普通に人間がいて、国があって、みたいな世界に転生する感じにします?それなら、まあ普通に人間が関わってきて面白いんじゃない?

けど、モンスターが殆どいないような、白亜紀みたいな世界で唯一ドラゴン!ってなったら、正に全ての龍の祖になれる訳だからかっこ良くない?って考えもあります。

まあどっちにしろ、なんか勘違いした魔王とか勇者とかをブチ転がして遊んだり、その辺に降臨して貢物を貰ったり、利用しようと近づいてきた国とか討伐して名を上げようとしてきた国とかを吹っ飛ばしたり、まあ……、うん。

書くことはいっぱいあるよなあ。

人格クソの癖に能力は神なモンスター達が遊んで暮らす……、ようになるまで生存競争で七転八倒する話だな。

ガノトトスみたいになった奴を「おさかな(笑)」と煽ったり、人化して孕ませた子供を「こいつ神子な!」とかしたり、気に入ったやつに自分の鱗とか与えてみたり。あー、書きたくなってきた。

クラス転移はちと多いかな?じゃあ、大学生がグループ転生だ。

酒がぶ飲みしながら耐久徹麻やって限界を超えて死んだアホ六人が転生!どうよ?

それぞれ、カナチョロ、稚魚、子犬、おたまじゃくし、ひよこ、芋虫からスタートとしよう。

なおこの六人はサバイバルサークル所属の変態野郎共とする。

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