ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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某やる夫スレを読み直していたら、帰還勇者を書きたい欲が高まってきた。


11:超兵器

現在、提督の地位は非常に高く、新人提督でも、正式に任官さえすればいきなり少佐待遇となる。

 

更に言えば、現在の海軍の元帥は提督である。

 

しかしてそれは、佐官相当の指揮権を持つ訳ではなく、待遇面の話。

 

稀少な提督に、一兵卒と同じ給料を渡すようでは、信賞必罰の組織の理論に反するとしてのこと。

 

実際、提督達は肩書に反して指揮権はない。

 

いや、できないと言うべきであろう。

 

彼らは、艦娘を率いて深海棲艦と戦うこと以外、何もできないからだ。

 

一年で素人を戦場に引っ張り出すのだ、佐官相当の能力などあろう筈がない。

 

そして逆に、厳しい訓練を潜り抜け、やっとの思いで士官学校に入学してきた『まとも』な生徒達からすれば、提督の存在は目障りであった。

 

故に、士官学校の生徒達は、訓練生の中でも最も態度が悪い狂死を攻撃してきたのだが、もう既に何度もやり返されている。

 

こんなことが何度も続き、最終的には、士官候補生は狂死への接触禁止令を出された。

 

本来であれば、この士官学校で、短い間とは言え提督と士官候補生が合流し、同じ釜の飯を食うことにより連帯感を持つようになってほしいと言うのが上層部の目論見だった。

 

士官候補生は実務のできる士官に、提督訓練生は戦う提督にと、お互いのことを補い合う戦友になって欲しかったのだ。

 

それも全てご破算である。

 

 

 

そんな上層部の思惑を他所に、士官学校での生活はまだ続く。

 

狂死達、提督訓練生は、これから艦娘の艤装を展開することとなった。

 

艤装とは、本来は読んで字の如く船の装備を指す言葉であるのだが、艦娘の持つ艤装は違う。

 

「では、艤装を展開してくれ」

 

「「「「「『艤装展開!』」」」」」

 

艦娘を核として、船舶そのものを虚空から出現させること。

 

この、仮想物質によりできた船舶そのものを『艤装』と呼ぶ。

 

『艤装』は、科学では解明できない幽玄的な物質により構成されており、唯一、深海棲艦を破壊し得る兵器だ。

 

その幽玄たる部分が、深海棲艦に対して有効な攻撃力と防御力を持つとされているが、真実は分かっていない。

 

さて、訓練生達は、タラップからそれぞれの初期艦に乗り込む。

 

……筈なのだが。

 

「槻賀多訓練生?どうした?」

 

「……古いな」

 

狂死は、荘厳たる威風の大戦艦『大和』を見上げて、こともあろうかそう吐き捨てた。

 

そして、自分の周りを浮遊する妖精さんを締め上げる。

 

『グエーッ』

 

雑巾のように絞られた妖精さんは、苦しげなようで苦しんでない声を上げて、ねじり鉢巻のような姿にされた。

 

「おい」

 

『絞る前に聞いてクレメンス!』

 

「古いぞ」

 

『はい?大和ですぜ?』

 

「新しくしろ」

 

『あー?アレっすかね、近代化改修的な?』

 

「そうだ、どうにかしろ」

 

『えーっと、資材の方、用意してもらって良いですかねぇ?あと、どうすんの?空でも飛ばす?波動砲付ける?』

 

「なんでも良い、可能な限り強くしろ。おい!資材を用意しろ!」

 

妖精と教官に命令する狂死。

 

「待ちたまえ、何をするつもりだ?」

 

当然、何事かと尋ねる教官。

 

「近代化改修……、艤装の改造だ」

 

 

 

艤装の改造という初の試みに難色を示した教官及び上層部であったが、大和の主砲が士官学校を向いていることに気がついた教官が必死に説得することにより、資材を確保された。

 

この資材は、これからの訓練生達の演習に使う筈のものだったらしい。

 

が、狂死はそんなことを気にする男ではない。

 

妖精に指示をしながら、どんどん大和を改造した。

 

結果……。

 

艦本式タービン:4基

45口径46cm3連装砲塔:3基

60口径15.5cm3連装砲塔:2基

40口径12.7cm連装高角砲:12基

25mm3連装機銃:52基

25mm単装機銃:6基

13mm連装機銃:2基

 

という大和の基本の姿から。

 

核融合炉:6基

45口径46cm3連装電磁加速砲砲塔:4基

60口径15.5cm3連装粒子加速砲砲塔:2基

船首搭載型100cm反物質砲:1基

40口径12.7cm連装プラズマ高角砲:20基

35mmCIWS:86基

25mm連装光子機銃:12基

VSL対潜多弾頭ミサイル:24基

純粋水爆弾頭ミサイル:6基

 

という、完全に意味不明なモンスターマシンが出来上がった。

 

「ハハッ、正気かね?」

 

武装の一覧を聞いた時には、流石の教官も理解を放棄した。

 

こんな、子供が考えたような「ぼくのかんがえたさいきょうのせんかん」が目の前に浮かんでいるという事実から目を逸らしたいからだ。

 

だが、見た目も大きく……、最早別物レベルまで変わっている。

 

ただでさえ世界最大と言われる船体は、更に倍近くまで大きくなり、砲身でハリネズミのようになったバケモノ戦艦だ。

 

龍の唸り声のような、腹の底に響く独特の稼働音と共に、50ノットの『巡航速度』を誇る。

 

もちろん、上層部にもこの大和の性能について報告されたが、当然、誰一人としてこれを真に受けたものはいなかった。まさに、一笑に付すと言った様子で。

 

だが、演習という名目で、狂死が近海で武装を使用した時には、反物質砲の轟音と閃光がここ神奈川県の近海から東京まで聞こえるという事件が起き、この大和『改』が戦艦の常識を遥かに超えた超兵器であることが判明した。

 

因みに、この後に人工衛星からの観測結果を見たところ、大和『改』から放たれた最大出力の反物質砲は、その破壊エネルギーが地平線を真っ直ぐに飛び立ち、衛星軌道上までに届いていたらしい。

 

宇宙にまで届くエネルギー砲と純粋水爆で武装した超兵器であるということが証明されると、次々に資材が送られて、超兵器のサンプル取りが始まった。

 

狂死の麾下にある艦娘は、全て近代化改修……、否、超兵器化改修を受け、超高性能なモンスターマシンへと姿を変えていった……。

 




じゃ、皆さん特に何もないようですから、次はローグライクで良いですか?

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