ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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食い過ぎた。


5:大和

狂死が、艦娘を、初期艦を召喚する。

 

「おい」

 

『おっ、なんやにいちゃん?』

 

ナチュラルに妖精と話す狂死。

 

「一番強い下僕を出せ」

 

『一番っつーと、アレだな。大和型だな』

 

「大和……、大和か。俺は学がないが、それくらいは知っているぞ。世界でも類を見ないほど巨大で、46cmの口径の大砲を積んでいるんだよな?」

 

『おっ!ネグレクトされた幼卒が知力を見せたァッ!!!』

 

何故かノリノリで煽ってくる妖精だが、狂死は幼卒どころか保育園にすら行ったことはない。

 

「死ね」

 

妖精の顔面に狂死の拳が突き刺さる。

 

しかし、妖精は、痛がるモーションは見せるが、ぬいぐるみのような質感がするばかりでダメージは受けていないようだった。

 

『AMSから、光が逆流する!ウワアアアアアッ!!!』

 

などと、妖精と話す狂死を見て、教官が声をかける。

 

「つ、槻賀多候補生……?ま、まさか、妖精と意思疎通ができるのか?」

 

「お前らはできないのか?」

 

さも、できて当然と言った態度をする狂死だが……。

 

「我々資格無き者達にはできない。他の候補生も、意思疎通までは不可能だ。……先程、大和と言っていたな?呼べるのか、大和を?」

 

実際問題、今までに、ここまで明確に妖精と意思疎通ができた提督はいなかった。

 

狂死は妖精に向き直る。

 

「呼べ」

 

『じゃ、祈ってくれよ。最強で最高の、あんたの従僕を呼べ!』

 

「良いだろう。来い……!」

 

狂死は命じた。

 

強く、強く、それでいて従順で。

 

自分に従う犬を。

 

『よーし!はれってほれってひれんらー!』

 

瞬間、炎が迸る。

 

焔火は龍神のように駆け巡り、雷が轟き、稲光が空を白く染める。

 

煌く烈火がうねり、赤い嵐が震霆と共に大地を打った。

 

そしてそこには、恐ろしいまでに容姿の整った美女が……。

 

「大和型一番艦、大和。偉大なる提督閣下の命に応じ、まかり越しました。よしなにお願い申し上げます」

 

跪いた姿で現れた。

 

「……お前は『使える』か?」

 

狂死が問うた。

 

その視線には、冷たい意思が篭る。

 

「はっ!提督閣下の為ならば、例えどのような命令であっても、必ずや成し遂げて見せましょう!」

 

「俺が死ねと命じれば死ぬか?」

 

「もちろんです!」

 

「ハハハ……、良いだろう。使ってやる。役に立たなきゃ処分する、良いな?」

 

「はいっ!光栄ですっ!」

 

 

 

「ま、まさか……!!緊急連絡!緊急連絡!大和顕現せり!大和顕現せり!!!」

 

教官は、すぐさま上層部に連絡を入れた。

 

そして。

 

「今日の授業は中止だ!諸君らは召喚した艦娘と親睦を深め合うように!解散!おっと、槻賀多候補生と大和殿はこちらへ!」

 

即座に解散となる。

 

 

 

そして、そして……。

 

「槻賀多候補生、つまり君は、妖精の姿を詳細に視認でき、妖精とコミュニケーションが可能で、妖精に触れることすら可能であると。そう言うんだね?」

 

「そうだ、がぶ、もぐ、だからどうした?」

 

狂死は、エサ(3ポンドステーキ)を与えられ、ご機嫌ゲージを調節されながら、聞き取り調査されていた。

 

その隣では……。

 

「では、貴女は本当に大和だと?」

 

「そうだと言っているじゃないですか」

 

大和が聞き取り調査されている。

 

そうして、エサがなくなるまでの間、色々と質問される。

 

「妖精とは、どんな姿なのかね?」

 

「海兵服の小人だ」

 

「深海棲艦について、妖精は何と言っている?」

 

「艦娘が表だとすれば、深海棲艦は裏の存在だそうだ」

 

「では妖精とは?妖精とは一体何なんだ?」

 

「精霊信仰により生まれた神威、奇跡そのものだ」

 

「精霊信仰?」

 

「例えばアメリカ。あそこは、精霊信仰をしていたインディアンを皆殺しにして土地を奪った。だから、妖精はいない。例えば中国。あそこは、文化大革命とか言って、信仰を焼き払った。だから妖精はいない」

 

「つまり日本は、古来から変わらない精霊信仰の宗教観から、妖精が、ひいては艦娘が生まれたと?」

 

「そうだ」

 

「では……」

 

「もう腹は膨れた。帰る」

 

そう言って話を切り上げて、席を立つ狂死。

 

「なっ……?!ま、まだ話は!」

 

質問をしていた教官の隣にいる海軍幹部が引き留めようとすると……。

 

「大和」

 

「はっ!」

 

大和が前に出て一言。

 

「控えろ、ニンゲン。提督はお帰りになると仰せだ」

 

先程、狂死から自分に向けられていたような冷徹な視線と共に言った。

 

艦娘は、付喪神にして理外の神威。

 

単なるニンゲン程度、素手で紙屑のように引き裂ける。

 

「ひっ……!」

 

「大佐!お退がり下さい!……もちろん、帰って良いとも!大和殿とコミュニケーションをとっておいてくれたまえ。では……」

 

その魔人たる大和を怒らせては、どんな被害が出るかわからない。

 

故に、この場の軍人達は、狂死と大和を帰した。

 

「ふん、気が向いたらな」

 

「ああっ、お待ち下さい、提督!」

 

そう一言、言い残して去る狂死。

 

馬鹿にハサミを与えるとはよく聞くが、サイコパスに艦娘を渡すとどうなるのか?

 

その結果は神のみぞ知る、と言いたいところだが……。

 

「ろくなことにはならん、だろうな」

 

空に溶けた教官の一言は、今後の全てを表していた……。

 











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