……エコエコ、あざらし?!!!
偉大なるハシュマル帝国にて、最大の勢力を誇る陸軍。
ブレンダン・フォン・マグナット元帥閣下の指揮により戦う、規律と秩序の兵である。
軍機により総数は明かされていないが、私のように大佐ともなると、全軍の概数は教えられる。
その数、およそ五万!
戦いとは数だ。
確かに、数をすり潰す圧倒的な「個」があることは否定せんが、基本は、どこの国も一般の兵士の強さはそう大きく変わらないだろう?
「個」には「個」をぶつけるが、「群」には「群」をぶつける。
そして、「個」にできることには限度がある。人は一人では何もできんのだ。
故に我々、帝国陸軍は、連携を密として規律ある行動をできるように訓練している。
とは言え、私のような貴族上がりのエリート組は、兵士としての訓練はそこまで受けていないからな。
かつての勇者が考案したとされる『階級制』は素晴らしい。
昔は、一つの戦場に一人しか指揮官がおらず、その者が討たれると軍全体が戦えなくなったと言う。
だが、この指揮系統という仕組みがあれば、一人の指揮官が討たれても、次の階級のものが指揮を執れるのだ。
これは革命的だった。
私は、ヒューイ・フォン・ロイター……。
伯爵にして帝国陸軍大佐、そして皇帝の守護役を担う近衛部隊の隊長である。
本日は、軍務卿の指示にて、食事会をすることとなった。
あの質実剛健たる軍務卿が?と身構えたが、何やら特別なものらしい。
普段の軍務卿と言えば、パーティなどは顔見せ程度しか出席なさらないお方だ。
そんな方が急にパーティ、否、食事会などと……。
我々は当然、訝しんだ。
罠か何かではないかと思い、上に確認もとった。
だがやはり、食事会であるという事実は変わらなかった……。
我々は、陸軍本部の食堂に集められ、料理を振る舞われた。
この料理を誰が作ったのか?何故作ったのか?
そう言ったことは知らされていない。
ただ、食べろとだけ伝えられていた。
否、隊長の私には、理由は伝えられていた。
極めて大量の貴重素材が手に入ったので、それを我々に食わせて、戦力の強化を図ると。
私も伯爵として、いくつかの貴重素材を口にしたことがある。
貴重素材は、非常に上等な味をした木の実や果実、豆類に、災害級モンスターの肉などを指す。
これらは、非常に高濃度な魔力が篭っており、口にすると能力を高める効果があるのだ。
しかしその分、非常に貴重だ。
果実一つで数千万フロレンは下らない。
我々のように訓練や実戦を重ねてレベルを上げると、レベル一つにつきステータスが各項目10前後増える。
レベルを一つ上げるのに、大体一年。
猛烈な訓練や才覚、命がけの実戦を繰り返せばもっとレベルも上がるだろうが、少なくとも我々のレベルの平均値は、一般兵で10と言われている。
レベル上げ以外では、貴重素材を食べることでしかステータスは上がらない。
確かに、重いものを持ち上げる訓練を繰り返せば、微妙に腕力が強くなるということも理解しているが、ステータスの向上は、それとは格が違う。
ステータスが倍になれば腕力も倍。見た目は変わらずとも、だ。
最新の研究結果によると、例えばステータスの膂力の値が増えると、目には見えない魔力でできた筋肉が増える……、と言った感じになる、という学説がある。
そんな訳で、食べるだけで苦労を一切せずにステータスを上げられる貴重素材は、非常に重宝されるのだ。
さて、前置きはここまで。
仕事もあることだし、料理とやらを食べて、早く帰ろう。
・エビカツサンド
・オニオンリング
・ポテトフライ
・ジンジャエール
む……?
これはなんだ?
いや、これは……!
芳しい、芳しいぞ!
香ばしいこの香り……、えも言われぬ香りは!
焼き立てのパンの、麦を焦がしたような香りに誘われ、大きな、なにかを挟まれたパンを手に取った。
パンは、長方形のパンで、間に野菜と茶色い何かが挟まれている。
三つに切り分けられており、食べやすい。
乾いたパンで野菜やソースを挟んでいるので、手が汚れない……、ということか?
ううむ……、これは発明だな。糧食部に具申してみよう。
さて、茶色い何かの中には……?
桃色の何かだ。
ううむ、となると、翅蛆などだろうか?
食べてみれば分かるか。
がぶり、と。
私がエビカツサンドをかじると……。
ふわり、としたおろし立ての毛布のようなパン、それに、ザクザクとした野菜と茶色いものの食感が感じられた。
ふわ!ザクッ!
素晴らしい!
まさに食感の波状攻撃だ!
それだけじゃない。
咀嚼すれば分かるが、ピンク色の何かは、女の柔肌よりもプリプリとしている!
それに、酸味のありつつもこってりとしたソースが絡み合い……!
「うっ……まぁ……?!!」
私は、あっという間にエビカツサンドを一切れ食べてしまっていた。
呆然としたとも。
こんな旨いものは、宮廷の晩餐会にも出されんからな。
それもそうか。宮廷の晩餐会では、見た目の優美さこそが重要視されるからな。
ここにある料理は、見た目も美しくはあるが、それ以上に、味が重要視されている。
次は、こちらのポテトフライを。
赤いソースにつけて食べると……。
「おっほ」
甘い!甘くて、酸っぱい!
だがこれは、遠征訓練で食べた葉物野菜の漬物のような、保存のために馬鹿みたいに酸っぱくされたそれとはまるで違う!
果実のような柔らかな酸味に、まろやかな甘さ!
そこに、このポテトフライ自体のホクホクとした芋の優しい甘さが加わる!
適度な塩気もあり、まさにいくらでも食べられるというものだ!!!
おっと、忘れてはならぬ、こちらの丸いもの。
オニオンリングとか言ったか?
これはどうだ?
「ぬおっ!甘い……!」
こちらも、ポテトフライと同じく優しい甘さに優しい塩味だったが、違いは二つ。
ポテトフライとは違い、しっとりとした飴色の野菜は、ポテトフライとはまた違った旨味があった。
更に、マスタードと呼ばれる黄色のソースは、甘さと酸っぱさだけでなく、ほのかな辛味があり、舌を楽しませてくれている!
ポテトフライとはまた違った食感なのもいい。まるで飽きがこない。
そして最後に、このジンジャエールと言うものを……。
……何故、これは泡を吹いているのだ?
ううむ……、だが、他のものは旨かったしな……。
「ごくっ……、こ、これは?!」
な、なんだこれは?!
痛い……、酸っぱい……、いや、舌の上で弾けた?!
弾ける飲み物?!
まるで、最新兵器の爆弾ではないか!
私は慌てて口に指を入れたが、血は出ていないようだ。
面食らったものだが、これはきっと、飛虫の踊り食いのような珍味なのだろうと納得した。
それを思えば、ほのかな苦味に、舌を刺す刺激、そして確かな甘みは、美味であると言っていい。
これらの料理は、私達に驚きを与えてくれた。
それだけでなく、大いなる力も……!
なるほど、これが軍務卿の目的か!
アアアアアッーーー!!!
今ちょっと、某スレのダンジョンもの読んでるんですけど、これおんもしれぇなあ!!!!
俺もこういうのやりたい。
魔法があって、科学もあって、何でもありな世界の話。
魔法使いがダンジョン用のスマホ型制御端末を持ち歩き、ロボット兵器のジェネレーターが魔力回路だったり、竜の心臓を外科手術で移植した魔剣士がいて、魔法使いのクローン兵器が街を襲う!
いつも、科学兵器でファンタジーを蹂躙するか、ファンタジーで現代文明を蹂躙するかだったから、たまにはその世界に合わせたチート能力を持たせていこうか!
色んなキャラを出そう。
死神を信奉するパラディンはどうだ?魔法銃で戦うエンジニアは?サイボーグの魔法使いは?パワードスーツ乗り、高周波ブレードのサムライ、悪魔と契約した呪術師……。
バイク騎兵、ロボット魔獣を呼び出す召喚士、妖精に取り憑かれた男、ナノマシン使い、四肢に武器を埋め込んだ半機人、身長3mでバフ魔法使って殴ってくる魔女……。
色々やろうぜ。
世界観がどうするか……。
ダンジョンは異次元だとして、そこに潜る理由は?
資源採取?間引き?
うわー、書きたいのが多過ぎるー!