スカウトである。
突然だが、俺は天才だ。
そして、天才には、同じ天才を見分けるセンサーがある。
あ、これは俺の個人的意見だからね。
天才の中にも、常人に自分の常識を押し付けるような嫌なタイプもいるし、あらかじめ言っておくけど、個人的意見な。
で、俺は、なんとなくだが、同じ天才を見れば分かるのだ。
それと大きなもの。
所謂、『原作知識』がある。
そして、アイドルマスターシンデレラガールズ、と言うゲームでは、ファンが億単位できるゲームである、とも。
つまり、原作キャラ探しの旅だ。
成果はすぐに出た。
海外から引っ越して来たアナスタシア、ナターリア、ケイト、ヘレン、楊菲菲などが、俺の元を訪ねて来たのだ。
なので、言いくるめてアイドルにした。
あとは、家出をしたらしいライラ、道端で拾ったイヴ、キャシー・グラハム、最近日本に引っ越したらしい、MTGチャンプのコクランさんの娘メアリーをスカウト。やったれやったれ。
ついでに知り合いと言う知り合いに会いに行ってみた。
修練社の編集の荒木には娘がいたな。
「荒木、俺だ」
『はい?』
「お前の娘に会わせろ」
『えっ?いや、良いですけど……』
会わせろと伝えたところ、喜んでと返ってきた。
実際に会ってみた。
「こここ、こんにちはっス!アタシは、えっと、その、あ、荒木比奈っス!風見神の大ファンでス!」
茶髪の癖毛に野暮ったい眼鏡、緑のジャージ。
猫背で卑屈そうだが、顔の作りは良く、痩せ型の身体は悪くない。
そして、荒木比奈。
原作キャラだ。
「うわうわうわうわ近い近い風見神が息がかかるほど近くにうわまつ毛長い背高い細マッチョいい匂いするイクっ」
「ふむ、比奈」
「ほぁあい?!!は、ハイっス!!」
「アイドル、やろうか」
「………………は?え?あ、アイドル?」
「そう、アイドル」
「アイドルって、あの、キラキラして、歌って踊るやつっスか?」
「そうだよ」
「あ、あはははは、い、いや、無理っスよ〜!アタシ、アイドルとかガラじゃないっスよ!日陰者の陰キャっスから!」
「何か勘違いしてるみたいだな」
抱きしめる。
「比奈、お前はもう俺のものだ。俺のアイドルになってもらう!」
「あひぃ❤︎な、なるっスぅ❤︎風見神のために何でもやるっスよぉ❤︎❤︎❤︎」
堕ちたな……。
あのあと、失禁しながら服従を誓ってくれた比奈を着替えさせて、346プロへ。
他にも、角丘の編集の神崎の娘、神崎蘭子。
「あ、あ、あ、あのっ!わ、私っ!風見さんの大ファンで!ラノベも漫画も全部読んで!ゲームも沢山やって!それで、その!」
「ああ、大丈夫、落ち着いて。ほら、隣に座って」
「は、ひゃい!」
隣に座らせ、肩を抱き寄せる。
「蘭子は可愛いな〜、俺のアイドルになってくれない?」
「はひぃ❤︎なんでもやりましゅ❤︎」
はい勧誘。
西映の覆面ライダーシリーズのプロデューサー、南条を呼び出し、娘と会わせろとせがむ。
「えっ、会ってくれるんですか?いや、ありがたいですよ。うちの娘は特撮大好きでして」
南条の娘、名前は南条光。
「ああーっ!ゼファーだ!阿道紅羽だ!!凄い凄い!あの、握手して下さい!!」
「あ、ああ、覆面ライダー、見てくれたんだね、ありがとう」
「もちろんだよ!五回は見に行ったし、DVDも買ったよ!」
「それで、光。ちょっとお願いがあるんだけど」
「何?何でも言ってよ!」
「アイドル、やらない?」
「良いよ!」
勧誘成功。
日アニのプロデューサー、二宮の娘、二宮飛鳥。
フリーデザイナー、吉岡の娘、吉岡沙紀。
クイーンレコードのプロデューサー、梅木の娘、梅木音葉。
アイリスソフトのプロデューサー、大石の娘、大石泉。
これらも勧誘成功。
スクウェニのプロデューサー、三好の娘、三好紗南も……。
「か、か、風見さん!大ファンですっ!」
「そっか、よしよし、アイドルやろうか」
「え?はい!」
三行で勧誘成功。
志希も連絡したところ。
『アイドル?面白そう!やるやるー!あ、ねえねえ、友達も連れてきていい?フレちゃんと、美嘉と、しゅーこと、奏も!』
「良いよ」
勧誘成功。
そして、昔忍者としての心得を教えてくれた浜口さん、剣術の師匠脇山さん、空手の師範代中野さん、料理の師匠首藤さん、お菓子作りの師匠十時さん、株主になった企業、ボストンダイナミックスの博士池袋さんに連絡。
「娘さんを僕に下さい」
『『『『良いよ』』』』
浜口あやめ、脇山珠美、中野有香、首藤葵、十時愛梨、池袋晶葉の六人をゲット。
セレブパーティーに珍しく顔を出して、会場のセレブ達をスルーし、西園寺コンツェルンのご令嬢西園寺琴歌を、櫻井財閥のご令嬢櫻井桃華をスカウト。
「あの、スカウトとは?」
「なんでございますの?」
「二人とも、俺のものになってくれ、ってことさ」
「まあ……!」
「琴歌さん、ど、どうしましょう、わたくし、殿方から告白されるなんて初めてですわ!」
「私も初めてですよ、桃華ちゃん。……ええと、どうしましょう?」
「黙って俺について来い!」
「「は、はい!」」
勧誘成功。
オッシャ、乗ってきたぜェ……。
関西最大と言われるヤクザ組織、村上組の本拠地に乗り込む。
「ヒャア!!アアハァ!!」
「クソッ、何だあの男!止まらねえ!!」
「これ以上行かせるんじゃねえ!!」
「ハジキ持って来いハジキ!!」
渡り廊下を爆走する俺。
「何や騒がしいな……」
「ヒィイヤッハァ!!!お嬢ゲットおおおお!!!」
「何っ、何じゃ?!何じゃワレ?!」
「ほああかわええ……、かわええ……」
「触っ、触んなや!おどりゃ何もんじゃ?!!」
「スカウトマンじゃオラ!!!」
「スカウトマン?!!!」
「クソッ、お嬢ー!!」
「お嬢を離せや!!」
「お嬢ー!!」
お嬢の頬を掴んで瞳を合わせる。
「な、何じゃ、大層な色男じゃけんの」
「俺のアイドルになってくれ」
「………………は?」
「お、お、お、お嬢!!!」
「おめでとうございやす!!!」
「女郎共祝杯じゃ!!!」
「ま、ままままま、待ちぃ!!!何を言っとるんじゃおどれは!!!からかっとんのか?!ぶちかますぞ!!!」
「俺は本気だ(イケボ)」
「はぅん❤︎じゃ、じゃけん、何やその、おどれのアイドルっちゅうのは!」
「そのまんまの意味さ、君が欲しい」
「……ええじゃろ、男だてら、ここまで突っ切ってきた肝っ玉、認める!アイドルでも何でも好きにしぃ!」
はい、村上巴、勧誘成功。
「ぎゃーてーぎゃーてーはらぎゃーてー!!!」
『『『『おおんんおおおおお?!!!!』』』』
ギターを片手に般若心経。消滅するゴースト。ロックの極み。
「あ、あの……」
突然背後から話しかけられる。肌の白い、片目を隠した女の子。
「はい」
「あの子が、嫌がってるから……」
「やめて欲しい?」
「うん……、お経……、駄目……」
「じゃあ、代わりにアイドルになってくれる?」
「じゃあ、って、何……?」
「アイドルになってくれないと日本各国の心霊スポットで般若心経ロックバージョン掻き鳴らすけど」
「わ、分かった、アイドルやる……」
はい、白坂小梅、勧誘成功。
「おお、神よ!懺悔します!!」
「神は貴方の懺悔を必ず聞き届けるでしょう……」
教会の懺悔室。
金髪シスターに。
「自分はウルトラ可愛いクラリスさん20歳に欲情して、想像で裸婦画を描きました!許して下さい神よ!!」
「………………へ?」
「クラリス仮想裸婦画コレクションが二十枚を超えたので、神へのお裾分けに来ました」
「あ、あの、えっと、ですね?え?わ、私の裸婦画……、私の裸婦画?!!」
「この教会も、クラリスが俺のアイドルとして大ブレイクすれば、即座に建て直しができると思うのです!神よ、俺の邪念でクラリスをアイドルにすることをお許し下さい!!」
「へ、あ、え?アイドル?アイドル?!!」
はい、クラリス、勧誘成功。
とまあ、こんな調子で、原作キャラを揃えていった。
揃うのはやはり運命力が働いてるんやろなあ。
ビタミン剤じゃ、これはビタミン剤じゃ。