ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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異世界スマホみたいな話にしていきたい。


仕事

「うわぁ……、どうなってんすかそれ」

 

「正直、ちょっと引きます」

 

「オメーらが書けつったんだろオオン?!!」

 

一枚30秒、両手で二枚。

 

絵も描いて添えるサイン。

 

一日二千枚は書けるから、だいたい五日か。

 

「一万枚書けってふざけてんのか?俺を超人かなんかだと思ってない?」

 

「いやあの、一万枚のサインを五日で書ける人は超人かと」

 

うるせー馬鹿。

 

「その、本当は娘に一枚渡したいんですが」

 

はぁ?荒木テメェよぉ。

 

「チッ、娘の名前は?」

 

「比奈です……」

 

修練社の編集の荒木花の娘は比奈ちゃん。そろそろ中学生だそうだ。

 

「お前らの娘の名前は?」

 

「蘭子です」

 

角丘文庫の編集の神崎柳子。娘の名は蘭子。小学生。

 

「紗南です」

 

スクウェニのプロデューサーの三好明の娘の名前は紗南。小学生。

 

「飛鳥です」

 

日本アニメーションのプロデューサーの二宮弥生の娘の名は飛鳥。小学生。

 

「泉です」

 

アダルトゲーム会社、アイリスソフトのプロデューサー、大石海子の娘の名は泉。小学生。

 

「沙紀です」

 

フリーデザイナーの吉岡沙良の娘の名は沙紀。もうすぐ中学生。

 

「音葉です」

 

クイーンズレコードの梅木円の娘の名は、音葉。小学生。

 

「………………おらよ」

 

「え、これ、名前入りを全員分……」

 

「持ってけ。お前ら全員娘いるんだろ。渡してやれ」

 

「「「「新九郎さん(社長)、ありがとうございます!!」」」」

 

全く……。

 

因みに、このサインは全世界で抽選でプレゼントするらしい。

 

 

 

さあ、こなしていこうか。

 

まずは絵。

 

「ちっーひ、よく来てくれた歓迎するよ」

 

「あ、はい、ありがとうございます?」

 

「まずは座れ」

 

「はい」

 

「……よし、帰って良いぞ」

 

「え?ええー……?」

 

瞬間記憶あるから、一目見れば絵の一枚くらい描けるんだよね。

 

まあ、流石に呼びつけておいて1分で帰れというのも悪いし、紅茶を淹れてやる。

 

お菓子は手作りだ。

 

因みにロールケーキ。

 

「あっ、美味しい」

 

「料理は日本一と名高い料亭で店長の首藤さんに習った。お菓子作りは世界的に人気なパティシエである十時さんに習った」

 

有り余った金を使って、専属コーチについてもらった。まあ、暇つぶしだ。

 

「これ以上スキル増やしてどうするんですかね」

 

「ノンノンノンノン、ちっひちっひちっひちっひ。違うんだよなあ、違う違う。学ぶことにこそ意味があるんじゃないのか?何かを目指している時が一番楽しいだろ?」

 

「そういう見方もできますね」

 

「まあ、大抵のことは極めちゃったから、今はなんで生きてるか分からんのだがね」

 

「そ、そんな悲しいこと言わないで下さいよ」

 

何のために生まれて何をして生きるのか分からないままだ。

 

「そこはちひりー、私のために生きろ!くらい言ってごらんよ」

 

「わ、私は、そんなこと!」

 

ちひろはカッコいい台詞は苦手か?

 

「カッコいい口説き文句の一つくらい覚えなきゃよぅ。モテないぜちひろット」

 

「私は、その、新九郎君以外の男性には興味ありませんから……!」

 

「またまたぁ、イケメンがいればユーワクしちゃうんじゃないの〜?ちひりんもまだ高校生なんだからさ、性欲あるでしょー?」

 

「そっ?!そんなことしませんよ!」

 

「そう?まあ、ちひろが幸せならなんでも良いよ、好きにしな。でも、恋なんて若い頃にしかできないんだから、今のうちに経験を積むのも良いと思うよ?俺みたいに」

 

「新九郎君は経験を積み過ぎです!」

 

まあ、可愛い女の子にはすぐに声かけるけど。

 

さて、この絵は、『女性』というタイトルで売った。

 

百億で売れた。

 

なんでも、ヨーロッパでは、ダヴィンチの再来と持て囃されているそうだ。

 

 

 

続いて国内のテレビだが。

 

「これは俺、何で呼ばれた訳?」

 

「はい!風見さんにはですね、是非インタビューを、と!」

 

バラエティ番組のテレビカメラの前で、愛想のいい司会の女が俺に語りかけてくる。

 

ゲストとして突然呼ばれたから全然話聞いてないんだけど、何なの?

 

「俺はほら、肩書き色々あるけど、どの肩書きで呼ばれた訳なの?ストーリーライター?監督?小説家?アニメーター?デザイナー?歌手?それとも金持ち?」

 

「えっと、それは、まあ、そうですね、全部、ですかね?」

 

全部?

 

「それじゃあ何の話すりゃ良いのか分からないね」

 

「どうです風見さん、これを機にコメディアン目指すのは?」

 

関西弁の大物芸人、明石家あゆこが茶々を入れてくる。

 

「ははは、俺がコメディアンやったら面白過ぎて他の芸人さんの仕事取っちゃうでしょ」

 

「おお、凄い自信やん!」

 

「まあほら、コメディアンになったら、仕事しなきゃならなくなるからね」

 

「ええ?お仕事メッチャやってますやろ?今度は全国ツアー、ライブやるって聞いてますやんか」

 

「ああ、それは趣味でやってるから」

 

「カーッ!趣味?!」

 

オーバーなリアクションをとる大御所芸人。うーん、やっぱ面白いなこういう人は。

 

芸人ってのはなんだかんだ言われても持ってるからな。その中でも大御所となれば、伊達じゃない。

 

俺はあらゆる分野において胸を張って天才だと言える。だから、同じ天才なら見ればわかる。

 

この、明石家あゆこという女は、確かに天才だ。

 

「そう、趣味。元々ね、遊び半分で始めたんだよね。ゲームも、音楽も、何でも。申し訳ないけど大層な野望とかはなかったよ」

 

「はぁ〜、天才ってやつなんやなぁ……」

 

「まあでも、本気で遊んでるからね。楽しんでやる仕事は自然と良いものになるんじゃないかな」

 

「せやなぁ、ええこと言うやんか!」

 

まあ適当に話してるんだけど。

 

人生とは遊ぶことと見つけたり。

 

暇つぶしで生きているのに、大層な人間扱いされるのはなんだかなあ。

 

「あと私息子居てはるんやけど、何やったっけ、あの、ポキモン?あれ買ってくれーって言うんよ。せやから買ってやったら大喜びしてなぁ。あれは何?どういうやつなん?」

 

「あれはね、新天堂で作ったゲームなんだけど、まず、こういう感じのモンスターがいる世界の話で」

 

手元のスケッチブックにポキモンを描いて見せる。

 

「このモンスター、ポキモンって言う種族なんですけど、これらを捕まえて、戦わせるんですよ、闘犬みたいに」

 

「ほえー、おもろいんか?」

 

「ええ、まあ。ポキモンにはタイプ……、例えば炎の力を持ったポキモンは、水の力を持ったポキモンに弱い、みたいな相性があって、戦略を組み立てて戦うゲームなので、大人でも頭の体操になって楽しめるんじゃないかな」

 

「いや最近のゲームは凄いね!風見君他に何やっとん?」

 

「あとは小説と歌とデザインと監督ですかね。他にもできますけど」

 

「せや、あれやあの、アヴァター!私も見た!」

 

「そう?ありがとね」

 

「ハリヴッドですよハリヴッド!そこで、アヴァターは、興行収入世界一!ギネスにも載りましたもんね!」

 

「いやあ、まあ、載るでしょうね。相当稼がせてもらいましたよ」

 

「羨ましいわぁ、総資産5兆円?だとか?」

 

「まー、それくらいは持ってるんじゃないですかね」

 

「「「「おおー!!」」」

 

態とらしい歓声が芸人やコメンテーターの席から上がる。

 

 

 

番組の視聴率は上々。

 

以降、これからも、バラエティ番組などに呼ばれるようになった。

 




オチも山もなく淡々と進む。

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