ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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雨降ると寒いなー。


8:解体は基本

腹ごしらえもしたことだし、再び移動するか。

 

俺は、スマコンから好きな音楽を流しながら移動する。熊除けになるだろ。まあ、モンスター的なのとかが音楽に釣られて出てきたら笑うが。

 

「お、山ぶどうだ。だがまだ熟してないな」

 

山ぶどうを見つけたが、食べられそうになかった。残念。

 

「ああ、お任せください」

 

お?双夢が前に出て、山ぶどうのツタを触ったぞ?

 

すると……。

 

「うお、山ぶどうが!」

 

育ちきった?!

 

「私の能力は、生き物を活性化させることができます。これからサバイバルをするそうですから、食べられる植物の種などがあれば、成長させることができますよ」

 

なるほどな、有能。

 

じゃあ、移動中に色々拾っていくか。

 

山ぶどうの種をとりあえずゲット。

 

 

 

「……おかしくね?」

 

「え?何が?」

 

いや、おかしいだろ。

 

「生態系がめちゃくちゃだ。栗、木苺、桑、あけび。そう思ったら、豊富な山菜……、と見せかけて、多種多様な毒草」

 

そう、おかしいのだ。

 

この一つの領域に、全く生態や分布領域が違う植物が混在する。

 

これはおかしい。

 

「肆嘉。もう一度確認するが、今回採ったものは、全部食べられるんだな?」

 

「はいでやんす」

 

「……遺伝子組み換えの跡とかは分からないのか?」

 

「すんません、そこまでは……。植物を見て分かるのは、食べられるかとか、旬の時期とか、病気かどうかとかでやんすね」

 

ふむ、なるほど。

 

「まあ良いや。食べられるなら、それはそれで」

 

三十秒考えても分からないことは、素直に人に聞くか調べるかするべきだ。

 

今回の場合、無駄に考えるのはやめて、利益を得るべきだと思った。

 

 

 

さて、日が落ちてきたな。

 

「そろそろ寝るか!」

 

「え?!ここで?!」

 

啞零が驚きの声を上げた。

 

「んん?当たり前だろォン?ベッドは甘え!」

 

「ね、寝れるかしら……」

 

「まあ、そう来ると思って、飛行機から膝掛けを持ってきてあるぞ」

 

「……本当に抜け目ないわね」

 

五人は、寝づらそうにしていたが、結局、疲れからか寝てしまう。

 

俺?俺は見張りでもしてようかな。

 

 

 

うーん、朝!

 

ちゅんちゅんと鳥の鳴く声が聞こえる。

 

あ、キジみたいなのがいるじゃん。いや、ニワトリかな?キジ?ニワトリ?

 

まあ、ニワトリもキジ科だしな。

 

………………。

 

俺は、その辺の石ころを拾って、キジの頭を撃ち抜くように投げた。

 

『キィッ!』

 

キジは昏倒する。死んだか?

 

まあ何にせよ、捕らえたな。

 

これを解体して、と。

 

更に、昨日採取した、浜大根と、パースニップっぽいもの、ポロネギっぽいものを刻んで、キジ肉と一緒に煮込んでやるぜェ〜!

 

味付けは、生姜っぽいものとパクってきた醤油だぁ〜!

 

木製お玉で味見。

 

「うん、いけるじゃん」

 

美味いな。

 

その辺の木を分解して皿とスプーンを作る。

 

「んー、うまそうな匂いがするでやんすねえ……」

 

お、肆嘉が起きた。

 

それにつられて、全員起きた。

 

「おはよう!」

 

「早起きね、あんた」

 

「ん?早起き?まあそうだな」

 

昨日は寝てないけど、普段は結構早起きだしな。

 

「朝飯食えー、これからも移動だぞー」

 

「作っててくれたの?」

 

「おう、その辺にキジがいたんでな。仕留めた。あ、念のために肆嘉!」

 

「はいでやんす!うーん、ばっちりでやんす!」

 

肆嘉の可食センサーマジで便利だな!

 

「キジ?仕留めたって……」

 

「投石でな」

 

「解体とか、やったの?」

 

「そうだぞ。どうせアレでしょ?君達、現代人は、肉や魚は切り身のまま生きてると思ってんでしょ?俺はその幻想を壊さないためにも、明け方にこっそり解体したんだよ」

 

「いやいや、流石にそこまで馬鹿じゃないから!切り身のまま生きてる訳ないって知ってるわよ!」

 

「ええー?本当にござるかー?」

 

「で、でも、グロシーンは極力見たくないわね……。その点で言えば、配慮してくれて助かったわ。ありがとう」

 

「そう?じゃあまあ、食おうか」

 

いただきます、と。

 

うーん、生姜がうめぇな。

 

「うん……、ちょっとお肉が筋っぽいけれど、とろ火で長い間煮込まれてるから、柔らかくなっていて美味しいわ」

 

「ええ、本当に美味しいですねえ」

 

「あー、あったけぇ」

 

「うんうん、美味しいね。生姜の千切りたっぷりで、身体の芯からポカポカと温まるよ」

 

「美味いでやんす!」

 

評判は上々。

 

「うーん、マジでこれは美味いな。よし、飼うか!」

 

「「「「「は?」」」」」

 

「だから、飼うんだよ、鳥を」

 

「えっ、まあ、うん、できるの?」

 

「俺んちには鶏舎があったからな、できるぞ」

 

さて、卵は……、あった!

 

『コケーッ!ケケケココ!!!』

 

卵を採ったら、周囲のキジニワトリ共が襲いかかってきた。

 

「いてててて!このやろ!いてえ!」

 

「えい!」

 

おや?

 

『『『『コケーッ?!!』』』』

 

啞零が、サイコキネシスで逆さ吊りにしてくれたようだ。

 

「今のうちに縛っちゃいなさい」

 

「ありがとよ、助かるぜ」

 

俺は、キジニワトリを縛って、棒に逆さ吊りにする。

 

「オレも持つぜ」

 

「っと、助かるわ」

 

涼巴も手伝ってくれた。

 

よしよし、移動移動。

 

そして、三日後に……。

 

「五キロ先に海があるでやんす!」

 

海にたどり着いた。

 




ガチムチダークエルフだが、主人公のモデルはニャルラトホテプの化身の一つであるナイ神父なんだよなあ。

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