発表した漫画アニメゲームラノベ、サブカルチャーの類は鬼のように売れた。
売れた理由としては、俺のストーリーライター、デザイナー、監督としての名前が売れて、と言うこともあるが、単純に実力だろう。
単純に実力だろう(キリッ)、とか言えちゃうのは、この今までの作家人生の中で培われてきた自信であって、カッコつけではないことをここに明記しておく。
第一、カッコつけなくても俺はカッコいい。
そして、一部の、そう、所謂オタク界隈では、漫画アニメゲームラノベ分野の歴史を変えた神扱いされ、目ぼしい企業は皆喜んで買収された。
そこから。
俺はまた新たな分野に手を伸ばした。
アダルトゲーム界隈である。
まず第一弾は厨二系伝記ADV、フェイスステイナイト。
アダルトゲームは16禁版と全年齢版に分けて発売。
前も説明したが、出生率がいつも怪しいこの世界では、性に早めに興味を持ってもらうためアダルト関連が16禁、になっている。
さて、それでフェイスは、と言うと。ヨーロッパの伝説で語られるアルトリア女王が男のアーサー王であるとした大胆なキャラデザ、厨二武器による戦闘、神展開、神作画、神曲、ストーリーキレッキレなどの感想が寄せられて、オタク界隈を大いに騒がせた。
次いで発表したのが、カラナド、キャノン、ソゥハート。
これらは所謂泣きゲーと呼ばれるジャンルの先駆けとなった。
開設した掲示板、3ちゃんねるでは、各種アダルトゲームの専用スレが立ち上がり、フェイススレでは怒涛の考察が、泣きゲースレでは正直気持ち悪いレベルの熱狂的なファンの感想が書き込まれていた。カラナドは人生、とか。
そう、3ちゃんねるである。
電子掲示板も設立したのだ。
もちろん、麻薬取引などの悪事に使われないよう管理人を何人も用意した。
その上で、ニーズの分析のためにネット掲示板を眺める。
結果。
『もっとエロを!』
『厨二モノプリーズ』
『風見神はSFでしょ』
との要望が。
それを受けて急遽複数の会社を設立。
直球エロ、対魔忍アヤト、ランヤシリーズ、恋王無双、厨二モノ、ディエスイラ、装甲悪鬼村雨、SFモノ、マブラブオルタネイティブ、沙耶斗の唄を発表。
基本的にストーリーと音楽とCGさえできていれば、あとはまともなプログラマーを用意するだけで売れるADVは作りやすい。
ADV一本分のストーリー、音楽、CGを作るのに、俺ならば一週間もあれば事足りるからな。
つくづくチートである。
他にも、アニメ、カードキャプターさくらいは業界に「萌え」と言う概念をもたらし、話題になった。
このアニメのせいでショタコンが増えたとか。
小学生に声をかける馬鹿女も沢山出た、とのこと。
しかし不思議と規制を求める声は出なかった。
よく分からないがこの世界はサブカルチャーが足りない癖にサブカルチャーに寛容だ。
例え犯罪者がアニメオタクだったからと言って犯罪者予備軍のような言われようはしなかった。
どうやら思った以上にオタクが多いらしい。マスコミなどの上層部にもオタクが多いらしく、オタクを悪者にしたくないのでは?などと3ちゃんねるでは考察されていた。
それと、特徴として、善人が多いのだ。
電子掲示板に人を取られたメディアは、正攻法で人を奪い返そうとしているらしい。前の世界では考えられない。
前の世界では、だ。メディアは、インターネットの情報を信じる人が多くなって、発言力が弱まるのを嫌い、執拗にインターネットをバッシングしていた。また、サブカルチャーを叩くことによって、自らの優位性を確保しようとする謎の人間もいた。
しかし、この世界では、別にオタクだからと言って差別されることはない。
優しい世界だ。
そんなこんなでメディアは、あくまでも正攻法で視聴者を取り戻そうと画策している。
そこに、俺が行く訳ですよ。
既に西映は買収済だ。
「あんたが、プロデューサーの南条か?」
「は、はい!今回につきましてはサブカルチャーの帝王こと風見新九郎さんにお越しいただいて」
「あーあー、いいよそういうのは。仕事の話をしよう」
俺は鞄から資料を取り出した。
「南条、あんたさ、覆面ライダーって知ってるか?」
「はい、天才、石ノ森章子さん原作の漫画、及び特撮作品のことですよね?いやあ私も大ファンでして、子供の頃はテレビにかじりつくようにして見ていましたよ。ですが、石ノ森章子さんはもう亡くなっておりますが……」
資料を渡す。
「俺が引き継ぐ」
「こ、れは……?覆面ライダー、クーガ……?」
南条は、資料をめくった。
流石はその手の人だ、読み進めるスピードは速い。理解力が高いんだろう、頭が良いんだな。
そして、資料をめくる度、目を見開き、最後のページを見たところで、言った。
「………………風見さん。これは、売れます。確実に、売れます。私のプロデューサー生命を賭けたって良い」
「そうかい。じゃあ動こうか。スーツの作成、女優のオーディション、ロケ地の選定。とっととやるぞ」
「はいっ!!!」
覆面ライダークーガは来年から日曜朝の枠で放映決定。あとは西映でやってるヒーロー戦隊に口出ししてあげた。
さて、話を3ちゃんねるに戻そう。
3ちゃんねるでは、アゾビフラッシュの普及によって、クソフラや面白フラッシュが流行り始めた。同時にエロフラッシュも。良い傾向だ。
発表した弾幕系シューティングゲーム、北方projectの人気も凄まじいの一言で、同人誌、同人音楽が出回った。フラッシュで動画も作られた。
俺もクリエイターが増えてくれるのは嬉しい。段々と、プロとアマの境界をなくし、自由な創作を楽しめるような世の中になって欲しい。
それと、事件だ。
世の流れを見ていたところ、オーム真理教とか言う怪しい新興宗教を発見。
怪しいババアがなんか変なことやってるな、と思ったが、これはアレだ。ヤバいやつだ。
地下鉄にサリンとかぶちまけるやつだ。
よろしくない、大変よろしくない。
なので、潰れてもらうことにした。
伊賀忍者の浜口さんに事情を説明し、腕利きの忍者を何人か集めてもらう。
流石に未来を知っているので云々とは言わなかったが、怪しい組織があること自体は知っていたみたいだ。
俺は忍者達の指揮を執り、オーム真理教の本部を襲撃。
教祖の麻原を取っ捕まえ、東京駅に逆さ吊りにした。
奥の金庫からは、出るわ出るわ、非合法なハメ撮り動画に詐欺脱税裏金。
それらを全部ネットと現実にばら撒き、教祖を二度と表舞台に出せないようにしてやった。
因みに教祖は捕まってうん十年の実刑判決。
やったぜ。
さあそんなこんなで憂いはなくなった。
青春生活、高校。
大いに楽しもうじゃないか。
モバマス感出したい。