平凡な男と白髪の少女   作:ふれあすたー

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第85話

「で、なんでおるん」

「んーまぁお前に少しばかし用事があってな」

今日は珍しいことずくしだ。俺に用事だなんて。今日はきっと天変地異が起きる。死にたくねぇな。

「ちなみに言っておくがくだらん話じゃないぞ」

じゃあいつもは何なのかと。

そう聞きたかったが思い返してみれば大体の話がくだらない話だったから言うのはやめておいた。

「…なんも聞かずにこれを読め」

渡されたのは1枚の手紙。俺の時代ではあまり見かけなくなった洋封筒に入ったものだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

少し奇妙に思ったのが宛名が書かれていないのと切手がない事だった。

「朝、ポストにそれが入ってたんだ。宛名が書かれていない上に切手すらもなかった。それに中身がそれ以上に問題でな」

見てみ、と言われ封を開けて手紙を読んだ。

「…!?」

「な?気味悪いだろ?」

確かに気味が悪いったらありゃしない。

その手紙の内容はこれだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「オマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロスオマエコロス」

 

 

 

 

 

 

「なに…これ…!?」

シナにも見えてしまったようだ。

内容は『オマエコロス』と乱雑に書かれていたものだった。正直言って気持ちが悪い。

「俺も意味わからんよ。朝起きてこれなんだからな」

まぁこれ見せに来ただけなんだがなーとこいつは言う。

こいつの家に投函されていた。

きっとこいつに何かの恨みを持ったものが送ったのだろうがどういうことなのだろうか。

俺には思い当たる節があるはずもない。何も知らないし覚えてもいないのだからいくら思い出そうとしても時間の無駄というやつだ。

「お前死にたいか?」

「いや生きてぇわ」

「なら当分家から出ない事だな。家族も含めてだ」

「そんなんで対策できるわけが」

「できる」

俺ははっきりと言った。

「俺がお前の家族全員守ればいいんだろ。流石にプライベートがあるだろうから家の中は許容範囲外だし外回りだけになるが」

「は?」

水原は拍子抜けたような声を出した。

「なんかおかしな所でも」

「え?なんかおかしくね?いや多分俺の耳が歳でイカれたのかもしれない。もっかい言って?」

「お前を殺したいなぁって」

「嘘つくな」

「嘘だよお前ら全員守るって言ってんの」

まぁ確かに俺にしては気持ちの悪い発言だったのかもしれない。言い方に問題もあるだろうが言う本人にも問題があった。

「俺の前で死なれても困るんだよ」

「なにそれキモくね」

「それはわかるけど言うな」

言われなくてもキモいのは自覚してる。実際キモい。

「隼人…遂に更生して先生の為に…」

シナはシナで泣いている。おかんか貴方は。

「はいはいじゃあ水原お前は帰ってすぐに家族の安全確認!俺は準備整えてお前の家に行く!シナは自宅待機!コスモスお前はシナ守ってて!」

「私も行く!」

「ダメ!」

「なんで!」

「危ないから!」

「隼人や先生が危ない目に遭うかもしれないのに私だけ安全なのは嫌なの!」

「ダメなものはダメ!シナが傷付くのは一番ダメ!俺自殺するよ!?」

「じゃあこのまま行くなら私が自殺するから!未練たらたらで死んでやるから!」

「ダメだろ!コスモス止めるだろ!」

「私は個人の意見を尊重しますが」

「止めろやこのバカ!」

「とにかく私も行くの!」

突然駄々をこねた子供のようになってしまわれたシナお嬢。行くと言われても万が一殺人鬼のようなヤバいやつに出会った場合命の危機に瀕するかもしれない。出来る限り守り抜くとはいえ、シナは多分戦う。自分が傷付こうとも顧みないだろう。ぜひともやめて欲しい。

「いいんじゃないですか。連れてっても」

コスモスがKYな発言をする。

「連れてっていいわけないだろうが!危ねぇんだぞ!」

「貴方は支那美さんの事を甘く見すぎでは?この人は戦えますし、貴方が思っている程弱くはないと思いますけどね」

「…そんなのは分かってるさ」

「なら」

「だからだよ。シナは自己犠牲も厭わない人間だ。だからこそ無闇に傷つくのはやめてほしい」

「ふぅん…」

コスモスはやれやれと、ため息をついた。

「過保護も過ぎると嫌われますよ」

「なっ…」

自分では過保護にしているつもりは無いが。

でも嫌われるのは嫌だ。

「…ふぅ。分かったよ。連れてく」

「ほんと!?」

「ただこれだけは約束して。絶対に自己犠牲なんてしないで。それしたら俺怒るから」

「うっ…わかった…」

まぁこんぐらいの約束事設けておけば大丈夫だろう。

「なんか親子みたいですね」

「誰が」

「お前らだよ」

どこが親子か。俺らはカップルじゃ。

「…ありがとな」

「?何か?」

「いーえなんでも?」

水原がなんか言った気がしたがよく聞こえなかった。

「んじゃ俺は帰るわ。お前らの寝るところも確保はしとくからよろしくな」

「あぁ」

水原はささっと帰っていった。

「さて、俺らも準備するか…」

「そういえば私はどうすれば」

コスモスの存在を忘れていた。

「…そういえばお前空に浮ける機能使える?」

「えぇ、まぁ」

「ならちょっとやって欲しいことあるんだが」

コスモスにしかできない仕事があったので、それを任せることにした。


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