平凡な男と白髪の少女   作:ふれあすたー

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ちょっとえっちかもしれない


お風呂

着替えは終わり風呂場へ。流石に全裸はまずいのでタオルだけは巻いている。

「…なぁ。やっぱりやめにしないか?キツすぎるんやけど」

「いい加減覚悟決めてくださいよ童貞」

「一言余計なんだが?」

「本当の事ですし。そもそも数ヶ月も同じ屋根の下にいるのにお風呂すら入れないって普通に考えてやばいですよ」

「うるせー!俺だってなぁ!入りたいとか思ったことあるよ!でも俺そういうのよく分からないから迷惑かけたくなかったんだよ!」

「まさかの逆ギレに驚きを隠せないんですが」

自分で言ってて情けなくなってきた。

確かに同じ屋根の下にいたのは事実だしそんなやましい思いもしなかった訳では無いけどクソ雑魚チキンハートには一緒にお風呂入るとかそういうのはレベル高すぎるんですよ。

妹扱いしているが勘違いしないで欲しい。彼女は俺と同い年だ。思春期真っ盛り2人にそんなハイレベルなことできるわけがないのは分かりきったことである。

「というか支那美さんも遅すぎませんかね。私としては早く終わらせてもらいたいものですが」

「ちょっ、ちょっと待って!私にも心の準備が…」

「はぁ…揃いも揃ってこの2人はもう…」

「機械には一生理解出来ねぇと思うぞ」

そもそもお嬢もこんなこと了承してくれるとは…

コスモスは呆れたように扉を開けてお嬢の所へ行く。

「ほら早く出てきてください!あとつっかえてるんだから!」

「待っ…!?押さないで押さないで!」

やがて扉からコスモスと布1枚で肌を守っているお嬢がやってきた。

「なっ…」

「〜〜〜〜っ!?」

お嬢が風呂場に入って、全てわかった。

…絶対今の俺らには早すぎる状況だ。

お嬢は顔を真っ赤にして完全にショートしきっている。かく言う俺も正直、そろそろ耐えられない。何、とは言わないが。

「おーおーお二人入って早速お互い思考停止ですかー。お若いですねぇ」

一方コスモスこの状況を楽しんでいる。いや無表情だから楽しんでるのかは知らんけど明らかに楽しんでいる。

「そんじゃ私はお邪魔なんでササッと出ますねー」

「おぉぉい!ちょっと待てやぁ!」

俺の静止も虚しくコスモスは早足で風呂場から出ていく。

「ったく…お嬢〜…?大丈夫〜…?嫌ならすぐに…」

「…ダメ」

…へ?

「隼人…どこにも行っちゃダメ…ここにいて…?」

…???待て待て待て。

「おいどうしたお嬢のぼせたか!?」

普段のお嬢からは絶対に聞くことの無い言葉を貰い思考回路がまた止まってしまう。

「んーん…違くて…その…恥ずかしいけど隼人と一緒にいたいなって…ダメ、かな?」

いいえダメではありませんむしろ今すぐにでも従順な犬になりますともええ!

と、言えるわけもないのだが。

「いや…お嬢が嫌ならいるけど」

童貞にはこれが限界だ。むしろここまで絞り出しただけでもすごいと褒め称えられてもいいと思う。

「えへへ…ありがとう…」

安心したように柔らかい笑みをこちらに投げるお嬢。

そろそろ俺楽にいけるかもしれん。

「それと…もう一つお願い、いいかな?」

「まぁ叶えられる範囲なら」

「えっと…私の事、シナって呼んで欲しいなって…」

これはまた…意外なお願いだな。

「…昔、誰だかはわからないけど私の事、シナって呼んでくれる人がいたの。私の事を大切にしてくれた、数少ない人」

「…」

「だから、その…隼人もその人みたいにそう呼んでほしくって…」

なるほど、そんな事か。

「わ…!隼人…!」

支那美、いやシナを抱き寄せ顎を持ち上げ俺の方を向かせる。

「は、隼人…?」

「いいぜその願い。この中村隼人、お嬢の事をこれからシナって呼ぶ。OKよな?」

「…!うん!」

シナは笑顔で頷いた。

この笑顔だ。この笑顔を守り続ける。必ず。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(にしても流石に顎クイはやりすぎたかねぇ…)

心の中で深く反省した。

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「はーん、盛り上がってるじゃないの」

「年寄りくさいですよその発言」

「うるせぇ。俺だってもうジジイだ。こんなん見たら盛り上がるに決まってるだろ」

「というか貴方何事もなくズカズカと入ってきてますけどいいんですか」

「お前さんだって同じだろ」

「まぁそうですけど家主には許可とったんで」

「んな事言ったら俺は万年許可ありだぞ」

「屁理屈も過ぎると迷惑ですよ」

「事実だけどな」

中年のオヤジは女型の機械との会話を続ける。

「…で、なんでコソコソ見てるんですか。貴方仮にも教師なんですしこういう不順異性交遊とか処罰とかなんかしないんですか」

「まぁ俺は今は教師じゃねぇしなぁ。こういうの取り締まるのもめんどいじゃん?」

「全く…貴方って人は…」

機械はやれやれ、と呆れる。今日で何度目の呆れだろうか。

「それに…」

中年のオヤジは機械の方に目を向ける。

「あいつらにはもっと楽しく、今を大切に生きて欲しい。今回のお前が絡んだ1件、あれで余計に時間の大切さが身に染みただろうしな」

中年のオヤジとて教師であり、大人であり、そして支那美を育て、悪態をつきつつも隼人をしっかり面倒を見ている1人の人間なのである。

もちろんこういう事に関して全てを受け入れてる訳では無い。むしろ自分の娘にも近い教え子が襲われた日にはそいつらを全員絞め殺すだろう。

だが、相手が相手だ。結ばれても文句は言えないし言うつもりもさらさらない。だってあいつらは普通とは違うから。

「…意外と考えてるんですね」

「大人だからな」

「それを踏まえてもおかしいですよ。そもそも私とのファーストコンタクトの時も全く驚かなかったじゃないですか」

「ま、そりゃあな」

「それも経験の差とでも言うんですか」

「まぁそうとも言えるけどもな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それとも貴方が向こうの人間だからですか」

………

「だんまりですか」

「いや、黙るつもりは無かったけど」

まさかそう言われるとはなぁって。

「そりゃそうも思いますよ。私と会って普通に対応するだなんてそれこそ異常ですし、何より極めつけはあの装置」

…?なんかあったっけか。

「とぼけても無駄ですよ。異空間操作装置、あれ初見で操れる人なんか世界に1人もいるわけがないんですよ。あの前マスターでさえも貰った当初は扱えなかったらしいですし」

へぇ…じゃあ俺の運が良かったのかもな。

「いいえ。あれは運は確実に看破不可能です」

根拠は?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ、指紋認証式なんですよ」

………

「聞いた話によると奪ってすぐに発動させたらしいじゃないですか。指紋認証登録するのはあの機器だけでも出来ますが登録に時間がかかります。確実に奪ってすぐ発動、なんてことは不可能なんですよ」

…そうかい。

「もし奇跡的に速攻で登録できたにしてもその発動を即座にこなすこと自体が不可能なんです。普通の人間にはね」

つまり、俺は普通じゃないと?

「まぁ結論から言うとそうなってしまいますね」

はっ…

「ははははは!ったく…おもしれぇな」

「面白いこと言ったつもりはありませんがね」

「いやはや恐れ入ったよ。まさか気付かれるとはね」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そういえばこういう会話もこいつら見れるんだっけ?」

「そうですね。現時点で見られてますし」

「そうか。じゃ、一応…」

俺の口からあえては言わない。

ただ、ま、そういう事だ。

「よーく覚えておけよ?読者、並びに」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

時の観測者?


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