「…何を考えてるのかはわかりませんが…」
コスモスはバク転をし、こちらをチラリと見た。
着地時には、金属特有のカツン、という音がする。
「貴女と貴方が手を組んで拘束しようとしている事ぐらいは分かります」
「やっぱりそこまでバレてたか…」
「確かに手話は驚きました。私もそれは分かりませんし」
でも…
「相手の動きを考えることなら、いくらでも出来ますよ?」
次の瞬間、物凄い速さでこちらに突撃をしてくる。
「ッ!あっぶねっ!」
「やはり。動きに順応出来る能力はある様ですがいきなりの攻撃は対応がしづらいのですね」
「誰もかれもお前や支那美のようにすぐさま対応できると思うなや!」
「私もすぐには対応出来ないからねッ!?」
…30m先、か…
無理だ、この距離を一気に詰めるなど、不可能に近い。
「ま、近いだけなんだけどね!」
だけど。無理かもしれんが無理ではない!
低姿勢から地面を蹴り、一気に詰める。
だが。
「無駄ですよ」
彼女は折れた腕の方で攻撃をしてくる。
「…なっるほっどねぇ!」
攻撃の意図を理解した俺は九ブレーキをかけ、下がる。
「…なんで下がったんですか」
「下がんなかったら死ぬでしょぉ!?」
「いや、まぁその通りなんですけども」
確かに今の攻撃、リーチが縦にも横にも短くなっている折れた腕の方で攻撃をしてきた。
近い、そして尚且つ軽さによる振りの速さではない。
…普通は機械を破壊した場合、そこを通っていた電線電気が漏れる、漏電のようなものが起こるのは分かるであろうか。いや、意味は違うけども。
そういう事だ。
「今、電気を武器にした…!?」
俺達が立つ場所には金属の床が張り巡らされている。
多分、直当てをする為に電撃を弱めただろうが…
「今のアイツ、相当まずい…」
厄介なのは空中戦に立ち回られた時だ。
奴も機械。電気を通すだろうが空中は関係ない。
俺らだけが被害を受けてしまう。
しかも奴は身軽なロボットだ…空中停滞をする機能をつけていないとは思えない…
「と、言いたい所なんですがね」
コスモスは突如喋り出す。
「残念ながら私にはそんな機能はないんですよね…空中停滞はかなり消費が激しいので」
「へぇ…!だったら心置き無くやれるね!」
支那美は思いっきり地面を蹴り飛ばし、寄る。
蹴り飛ばした反動により若干の浮きが出来、地面に干渉をしていない。
そうして、ゼロ距離まで距離が詰まった。
支那美は拳を握りしめ、振りかぶり、殴る。
コスモスは笑っていた。
「ですが、私は自分自身を強化することが出来ます…
例えば、空中停滞をする機能を付けるとか」
そう言うと彼女は飛躍し、空へと浮く。
そう、彼女はいま、丁度真上にいる。
「ッ!!!!!!支那美ッ!下がれっ!」
「遅いですよ」
コスモスは電撃を帯びた腕を支那美へと。
肩を巻き込み、胸元まで切り裂く。
「………!!!!!!!!!!!!」
「残念でしたね…?
このまま、誰にも愛されないで終わるなんて!」
そして、腕を振り切り。
胸を裂き。
斜めに切り裂かれ。
支那美の体は二つに割かれた。
おいっ…嘘だろ…?
支那美はどうなった…?
俺の目の前で何が起こった…?
裂かれた…?
つまりどうなる…?
支那美は死んだのか?
「ぁぁぁぁぁあぁああああああぁぁぁぁああああああああぁあ!!!!!!!!!!」
叫び散らした。
声帯がぶっ壊れるのなんか関係無しに。
「全くうるさいですね…ノイズなんかは取り払いたいですが…」
ふざけるな。何でだ。何故だ。
何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ!
「ほら、見てください?
彼女、微笑んでますよ?きっと最後の最後でなんか嬉しいことでもあったんじゃないですかね?」
うるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさいうるさい!
「まぁ、きっと最後に言ったあの言葉じゃないんですかねぇ」
…最後の、言葉…?
「『隼人に会えて、本当に世界が変わった』ですか…理解に苦しみますね…」
…俺に会えて…か…
「残念ながら、変わっても死んでしまいましたがねぇ」
「なぁ、コスモスよ」
「おや、立ち直りましたか?」
「やっぱお前、ぶっ殺すわ
そりゃあもう、バラっバラに」
「おやおや、元気なのはいいですが私は刈谷支那美を殺すことでありその任務は完了いたしました。
では、帰還させていただきま
「誰が帰っていいと?」
コスモスがぶち破ってきた窓から…男の声が聞こえた。
「マ、マスター…?」
コスモスがは不安がっている声を出す。
「…やぁ、久しいね。
中村隼人君」
「…霧萩影真ぁ!!!!」
支那美さんが死に、新たな敵ですね