隼「殺すぞ」
「一体…何を考えて…」
「早くついてこいっつってんだろ殺すぞ」
俺は殺意増し増しでこう答えた。
ただでさえイライラしてんのにそんな態度されたらほんとに殺したくなるだろう。
「あ、一応だけど逃げたら殺すから」
流石に逃げられるとは思ってないが、釘を指しておくに越したことは無い。
「…」
そこにいた女は黙ってしまった。
(ま、そりゃ無理ないよねぇ)
ここまで圧をかけたのだ。黙ってついてくるしかあるまい。
俺は早歩きで、とある所に向かった。
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「つーいた」
「…?ここって…」
「そ、あんたらなら知ってんだろ?
柚早佳 花恋の家だよ、爾麻 良白雪」
「…名前までわかってるのね…」
「まぁそりゃあな、言うなら『しらゆきちゃん』の方が良かったか?」
「………」
まただんまりですか。まぁいいけど。
「早く入るぞ、さっさと話をつける」
俺はゆっくり扉を開き、そのままガスガスとエントランスまで歩いていく。
「…しらゆきちゃん…」
支那美は懐かしそうに爾麻の方を見て、そう呼ぶ。
「…支那美ちゃん…」
爾麻の方も懐かしそうに、しかし少し悲しみを帯びたような目をしている。
「…やはりな」
多分、これが真実であろう…
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「さて、皆さんにお集まりいただいたのはほかでもない。昔の件だと思って忘れている奴もいるようだが…」
俺はこの場にいる全員に目配せをした。
支那美は勿論いる。
爾麻 良白雪。羅亜 伽倻亜麻。そして、柚早佳 花恋。柚早佳の親もいる。
「俺の名前は中村 隼人。まぁ覚えてても覚えてなくてもいい。見ず知らずの俺がいきなりこんなところに集めたこと自体が重要なはずだ。違うか?」
問いかける。だが誰も何も言わない。
「異論がないなら進めよう。昔の…数年前の話の真実が解けたから支那美含め、真相を紐解こうかとな」
「…!!」
「なるほど、柚早佳のその反応からして…そういう事な」
俺は一人で納得する、が、他の奴らは?を浮かべている。柚早佳 花恋を除いて。
「まぁ過去の話を少し遡ろう。支那美は崖から落ちて病院に運ばれた。んで、その後お前らが支那美を拒絶した。違う?」
「…いいや、僕達が拒絶した。この口から。脳から直接」
「そうか、ダウトだな」
「…はっ?」
俺は淡々と答える。
「嘘つきは嫌いだよ、正直に言え。まず一つ目の嘘、『僕達』という所だ。これ、お前が勝手にみんなに意見を押し付けただけじゃねぇのか?」
「…っ!そんなことっ…!」
「あるんだよこれが。実際今日、爾麻が支那美と顔を合わせた時、哀しさがあるような…泣いてもいたしな…
心から拒絶するやつが果たしてそんなことを思うのだろうか?」
「私が…」
「…分からないだろ」
「人間の心理をあまり舐めるなよ?人間ってのはいざという時ほど単調な動きをしがちだ。それが感動、感情の弱い部分につけこまれたらそれこそ嘘とホントを使い分ける余裕などないんだよ」
「…それじゃ、二つ目は?」
「話が早くて助かるなぁ。では二つ目、それ、ほんとにお前『自身』が拒絶したのか?」
「そ、それはっ…」
「動揺の顔色と汗を確認。嘘はつくほど体に重い鎖をつける。早く正直になれ」
「…うぅ…」
苦しんでいる。柚早佳 花恋が。きっと精神的にだろう。
だって、すぐ近くにそれを促した奴がいるのだから。
「まぁ言えないなら仕方ないな。花恋、脅してすまねぇな。しかし、ここまでしないと布石は取れなかった」
「…?」
「…なぁ、いい加減認めたらどうよ?
柚早佳の親どもよぉ!!」
「…はぁ?」
「まぁ、いきなり何を言ってるのか…
さっぱり理解できませんわ」
「ちっ、そういう時に限って知らんぷりかよ。
ああいいよ、てめぇらがここまでやった理由、すべて明かさせてもらうぞ!」
そろそろですね
いろんな意味で