明るい。
瞼を閉じているはずなのに朝が来ると明るいとは瞼の役割を果たしていないのではないかと私はたまに思う。
「ん…」
体の感覚が目を瞑っているせいでどんどん鋭くやってゆく。
…?これは…なんだ。私が何かを抱きしめているような…
「…!!」
瞼をゆっくりと開けるとすぐ目の前には隼人がいた。
私が抱きついていたのは隼人の体であった。
「ひゃあ!!」
驚いて声を上げてしまった。
「…ん」
隼人がゆっくり目を開けると私の方を見てきた。
「お、起きたな。取り敢えずこの腕をどかしてくれないかな。嬉しいけど起きれね」
「あ、ご、ごめん!」
すぐに腕の拘束をときわたわたしながら起き上がった。
「ふぅ…やっと起きれる」
…もしかして私が起きるまでずっとそばにいてくれた…?
「いやぁ、びっくりしたわ。まさか起きたら抱きつかれてるなんてな」
「ほ、ほんとにごめん!」
「あ、謝らんでもいいぞ。普通に嬉しかったから」
なんで隼人はここまで冷静なのだろうか…
私は男の人、ましてや好きな人に抱きついていたから今は心臓の鼓動を隼人に聴かれないようにするので精一杯なのに…
「は、隼人は…その…よく冷静でいれるね…」
「ん?あぁ、だって支那美の事は妹だと思ってるしな」
「い、妹!?」
「妹」
そんな背丈でくっそ可愛いんだから妹に決まってるでしょ…と言ってきた。
い、妹って!!私これでも隼人と同じ歳なのに…
そ、それよりも…か、可愛いって…
「お世辞も過ぎるよぉ…」
「え!?なんで赤くなってんの!?」
「隼人のせいだよばかぁ…」
顔に帯びている熱が引く気配を示さないのはきっと熱ではなく恥ずかしがっているだけ。
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「あ、そういえばなんだけどさ」
さっき…というか起きた時から気になってたんだけども。
「なんで泣いてたの?」
思っていた事をストレートに支那美に聞いた。
支那美は少し体を硬直させて
「…言わないとダメ…?」
と、涙を溜めながら俺に言ってきた。
「いや、ちょっと気になっただけ」
実際泣く要素あったかなって思ってな。
「…でも…隼人に隠し事をするのも悪い気がする…」
そう言うと
「分かった。今日の事を含め、全部話す」
と予想以上のところまで行ってしまった…
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…少し昔から遡るね
私ってさ…昔からこんな身なりをしてたから友達にも結構避けられてたの…
それこそ、小学生から…
昔、両親の友達の人に育ててもらってたんだけどその人にはやっぱり友達がいない、なんて言えなくて…
私はいつも友達を作れるように色んなことをした。
流行について行ってみたり周りに積極的に話しかけたり…
それでもダメだった。周りは私が何もしていないから嫌なんじゃなくて『私自身』が嫌なんだなって思い知らされた…
だけど、そんな中で私と友達になってくれたのが3人…
『ねぇ、貴方ってとっても綺麗ね!』
一人目はとても活発的な女の子。
髪は茶色、身長は当時の私と同じくらいだった。
名を爾摩 良白雪(にま よしらゆ)
周りからは『しらゆきちゃん』と呼ばれている子。
『い、いきなり話しかけるのは…』
二人目はすこし気弱な男の子。
髪は黒髪、身長は私より低い方であった。
名を羅亜 伽倻亜麻(らあ かやあま)
なんでも名前をつけた親が大の当て字好きらしくこんな名前になったそう。
周りからは『あまろう』と呼ばれる。
『…』
そしていつも私達の中で一番頭が良かった男の子。
髪は私に近い銀髪。身長も皆より高い。
尚且つ彼は右が蒼、左が翠のオッドアイだったのである。
名を柚早佳 花恋(ゆさか かれん)
周りからは『かれんくん』っとそのままである。
その日、私とその3人は仲良くなったの…
悲しむ準備はもうちょいあとで