第4話
「…コホン、改めまして八雲紫という者です」
「あ、あぁ、中村隼人という者だ」
「同じく刈谷支那美です」
「んで、紫よ、今回のこいつらに関連性あるのか?」
「いいえ、今回は私、何もしてないわ。それに、もし私がするとしたらユウに報告するし」
「まぁ報告してきたら滅するだけだし誤魔化してもどうせバレんのは分かってるんだろ?」
「ええ、もちろんよ」
「じゃあ…今回紫さんは何の関係もしてない…?」
「まぁそうっぽいな。だからさっき言っただろ?お前達はアブノーマルだって」
「…あ!」
「そういう事だ。だから不思議に思っていたんだがな」
…正直話についていけない。
俺は1度タイムスリップをした身。
だがそれでもやはり意味が分からない。
いきなりこんな世界にワープだと?
しかもこれが俺だけならまだいい。
だが今回は支那美もいる。
…彼女を危険な目に遭わせたくは無い…
「随分女思いなんだな」
「……心でも読んだのか?」
「さぁな、ただの勘かもしれんぜ」
「勘にしちゃ、的を正確に射抜けるんだな」
「……まぁ勘だと思っとけ」
それホントに勘なんですかね…
気にし過ぎても行けない気がするから考えるのもやめよう。ほんとにめんどくさいから。
「そんなこと言ったら隼人だって心は読めるでしょ?」
「読めるんじゃなくて憶測。だから的は正確に射抜けない。こんなんだろうな、って感じだから勘とはまた違うんだ」
「俺も確信を持って言った訳では無いぞ?」
ダウトだろ、これはどう見ても。
「ダウトじゃないならなんなんだ」
「やっぱり読めてるじゃねぇか」
やっぱり勘じゃねぇなこれ。
「……んで、人里はどっちよ。早く人里とやらに行きたいんだけど」
「あぁ、忘れてた。こっちだ」
「紫さんもついてくるんですか?」
「勿論よ!ユウある所に私あり!」
「是非ともやめてくれ」
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「ここが人里、まぁ人間が集まっている集落みたいなもんだな」
「……この里さ、小さくないか…?」
「言いたい気持ちはわかる。だがここは二人の世界とは違う。そちらとは比べ物にならないほど『死』が身近に存在する世界だ…人間が少ない理由も、『人喰い妖怪』と一言で言えばわかるだろう?」
「………そういう事か……」
人が少ないのは…人喰い妖怪に…人が…
「…クッ!!」
「人が死ぬ…それが当たり前の世界さ…二人も油断するな、昼だからと言って適当にほっつき回ると…最悪の場合殺される」
「殺される、か…」
はは、殺されるなんて何度味わったか…
「命は投げ捨てるもんじゃないからな?分かってるよな?」
「分かってなきゃ死んでたさ」
それもそうか、とユウは一言言い人里に入っていった。
「俺達も行こうか」
後ろにいる支那美に話しかけ、振り返った。
そこには誰もいなかった…
は???支那美どこ???
可愛い子消えるとか隼人に需要なくなるやんけ