平凡な男と白髪の少女   作:ふれあすたー

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これがすいりかも


彼女を殺したハンニン

「…入るか」

俺はゆっくりと、ただ現実を受け止めたくなくて、だけど受け止めなければ、と決断し扉を開けた。

 

 

扉を開けると食堂にはさっきいたメンバーが全員揃っていた。

開幕一番俺が

「…犯人が分かったよ」

と言い放った。

「なに…!?」

ヤクザが口を開いた。

「お前…本当に犯人が…」

「あぁ…分かったよ…勿論、この中にいる」

「「「「「!!!!」」」」」

「ほう…?この際だ、お前の頭の良さ、見せてもらおうか…?」

「先生のご期待には添えられると思うぞ?」

「楽しみだなー」

「棒読みとはクソ教師め」

「…それで?君の推理はどういうものだい?」

誠さんが俺に問いかける。

「じゃあ、最初から話していこうか」

___________________

「まず、被害者の『北山 愎華』についてだ。

彼女はこの旅館に来ること自体、もしかしたら前もって知ってた奴がいたんだ。

それが、神奈ちゃん」

「………」

「針村は多分来ることを知らなかったんだろう。来た時には相当驚いたはずだ」

「そ、そうだ…僕は今日の朝、ここに愎華ちゃんが訪れて初めて来訪を知った…」

「そう、では何故、神奈ちゃんは前もって知っていたのか…」

「それは電話とかじゃねぇのか?」

「舞さんよぉ…あんた、死体を発見した時、神奈ちゃんはなんて言ってた?」

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

『無理なんです!!この近くには警察署もないし…何よりここは電話線も通ってないんです…!!』

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「…!!そうか…電話がない!!」

「その通り、ではなぜ分かったか…

それはこいつが物語っている」

俺はポケットの中から手紙を取り出した。

「!!!!」

「おっと、神奈ちゃんは驚いてるようだな」

「これって…!!」

「そう、手紙の内容を読めばわかる、こいつのお陰で神奈ちゃんは分かったんだよね」

「そう…です…」

「んまぁ黙ってた事はさておき…なんで捨てられてたんだろうな?」

「え…?」

「それに、多分神奈ちゃんが驚いたのはそこじゃない…」

「…なるほどな、俺らとは別の理由で驚いた…そういう事か…」

「さっすがせんせーい」

そうだ、何故神奈ちゃんが驚いたのか。

その理由はとても簡単だ。

「この手紙が自分以外の誰かに破り捨てられてたこと…それに驚いたんだろ?」

「…はい…でも、なんで…」

「簡単だよ、犯人が捨てたんだ」

「え…!?」

「さぁって、次のステップだ

殺された現場…つまり神奈ちゃんの部屋だな。神奈ちゃん、鍵はどうしてた?」

「えっと…閉めてました…それにカウンターにもいました…」

「はい、鍵はちゃんと閉めてました、しかもカウンターに神奈ちゃんもいたため侵入は難しいですよね!?」

「…なんでそんなにハイテンションなんだよ…」

「何でもないよ!

それはさておき、どうやって侵入したんでしょうか!?

それに、北山 愎華はその時部屋にはいなかっただろ?」

「その通り…です…」

「はい、ではあなたが席を外した時間は!?」

「…10時から1時までカウンターにいませんでした…

でも、鍵はかかってたし鍵もちゃんと肌身離さず持ってました」

「そうなんだよねぇ、そこが問題でもあり、ポイントでもある」

「どういう事だ?」

「これも簡単さ、窓から侵入したんだ。

窓から入れたはずだよ、被害者の彼女ならね」

「…!!だったら私がいなくても…!!」

「そうだ、入ることが出来、やろうと思えば中から鍵が開けられるんだよ」

「じゃあ私がカウンターにいる時から…」

「そう、中にいたんだろうね、きっと。

そして、神奈ちゃんがいなくなった時に『犯人』を誘い込んだ」

「犯人を…?なんのメリットがあって…」

「では次のステップ、なぜ誘い込んだのか…

それはきっと犯人は頼まれたんだろうね、ハンカチを落としたって…」

「何でそんなこと、頼んだのかな…?しかも見ず知らずの人に…」

「だって見ず知らずじゃないもん。犯人」

「…は?」

「まぁどういう経緯でハンカチ落としたのか知らんけども…あれは多分赤い染料を落としたんじゃないのかな」

「え?あれって血じゃないの…?」

「血は流れるんだよ、普通

だけど染料は固まって流しきれない時もあるらしいんだ」

「染料って固まるんだ…」

「んでもって、それを落としたから犯人に頼んだんだよ、まぁいわゆるパシリ」

「で、犯人はそれに従った…」

「それぐらい仲が良かったんだろうね…

まぁ結局殺されてるんだけども。

で、犯人は彼女にとっての誰だか…

分かるよね?」

「うーんと…」

支那美はゆっくり考えるともう一度手紙に目を落とした。

「……あ!もしかしてここに書いてあるお兄さん!?」

「まぁ、そうだろうね…

大体この旅館にいる奴らの大半は今考えれば状況として普通なんだよ…

犯人の特異性を除けば、な…」

「特異性…?変な所がある人なんていたかな…」

「あぁ…1人だけ、な…」

そう言って口を閉じ、ワンテンポ置いてまた口を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なぁ…アンタなんだろ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

割腹 誠さん」

 

「えっ…!?!?!?」




誠さんが…?

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