「…ここだ」
俺はゆっくりと扉を開けた。
「…っ!!いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
「ふくか…ちゃん…?」
「お、おいおい…!?これって…!!」
「殺人…のようだね…」
「ふく…か…ちゃん…」
「!!落ち着いて!!神奈ちゃん!!」
「…ふくかちゃぁん…ひぐっ…」
「警察だ…」
「え…?」
「警察呼ぶしかねぇだろぉ!?こんな状況でっ!!呼ばねぇわけねぇだろうがよぉ!!」
「…無理です」
「はぁ!?」
「無理なんです!!この近くには警察署もないし…何よりここは電話線も通ってないんです…!!」
昔の事だ…電話が無いところもある筈である。
それは現代も変わらない。電話が無いところもあるのだから。
「じゃあ…一体どうすれば…」
「…暴くしかねぇんだよ」
「…暴く?」
「その少女を殺した…殺人犯を暴くんだよ…!!」
「え…って事は…」
「あぁ、必ずこの中に犯人が存在する」
俺は確信していた。この中に犯人は必ずいる。
「俺らの中に…殺したやつが…!?」
「そういう事だ…信じたくはないがな…」
俺がそう言うと場はざわつき始めた。
まぁ無理もないだろう…
この中にこの少女の未来を奪った奴がいるんだからな…
だからこそだよ…
「人生を踏みにじるなんて…あってはならない事だっ…!!」
「隼人…」
多分それは支那美の事である。
俺は重ねてたのかもしれない。
人生を…破滅させられる事を…
彼女と…支那美と…
「まずは捜査だ…しないと始まらない…」
「捜査っつったって何すんだよ?」
「まずは…取り敢えず死後硬直を確かめなきゃ…」
「そんなの分かんのか?」
「パッとだ。硬直具合によってどのぐらいに死んだかはわかると思う…」
取り敢えず彼女を触ってみる…
…すまない…
しかし直視すればするほど気分が悪くなる。
胴体は横に二分割される一歩手前…
首も掻っ切られたあとがある…
一体誰がここまで…
「………結構固まってるな……恐らく昼ぐらいか…?」
「昼…だと?」
「あぁ…昼だとするならば俺達が海に行っていた時だな…」
「ならば俺達の中では目を離していたのは誰ひとりいなかったな…」
「…まさかあんたがやったんじゃないよな?」
「メリットがあるとでも?」
「いや、ねぇな」
「だろ?」
「よくこんな状況で…平然といられるね…?」
支那美に力がこもったように発言された。
誰も平然と何ぞしていない。
むしろ緊迫した状況だ。
いつ、誰が、誰に殺されるかなんて分かったもんじゃない。
俺だって怖い。
だが先に進まないと何にもならない。
道を逸れるわけには行かないんだ…
「怖いさ、俺はな」
「先生…」
「だが怖いからこそこのままだと精神が狂っちまうよ…」
「…その意見には賛同できるな…多分俺らだけじゃねぇよ…支那美だって真希だって…そこのヤクザ顔の奴だって…針村や誠さんだって…神奈ちゃんだって怯えてる筈だ…」
その言葉に周りはしん…とした。
「だけどな、やるしかないんだよ…俺らがやらなければ殺人犯は野放しになる…今度は全員殺されるだろうな…」
「だからこそやる…そういう事だね?」
「その通り」
「…分かった。私は隼人についていく」
「わ、私も…」
「…ありがとな」
そうするとヤクザ顔の2人組も
「…俺らも協力するよ…」
「アニキ…」
「そうじゃねぇとそんな狂ったやつがいる所にいられねぇからな」
「そうか…助かるよ」
「だから犯人は…一発ぶん殴らせろ」
「それがもしもだ…お前ならどうなる?」
「…俺が俺自身を全力で殴るさ」
「なるほど、いい覚悟だ」
「僕も協力する」
「誠さん…」
「のけ者、は酷いだろう?」
「僕と神奈ちゃんも…」
「みんな…」
あぁ…みんな協力してくれる…
味方は…こんなにいいものなのか…
俺は仲間の温かさを改めて知った…
だが忘れてはいない。
この中に犯人がいることを…
ちなみにここまでに伏線張ってます
分かるわけないけど