俺なりのARC-V 〜Reconstructed Yu-Gi-Oh! ARC-V Story〜   作:エクシ

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第30話「次元統合の始まり」

-船 甲板-

その頃遊矢・セレナペアは船の甲板でオベリスクフォースから情報を集めようとしていたが、下のフロア同様会話をしているオベリスクフォースはいない。

 

遊矢「ちょっと難しそうだね。」

セレナ「そんなことはない!デュエルをしろとでも言えば話し始めるだろ!」

遊矢「ちょ、ちょっと待った!」

 

遊矢(見た目はそっくりなのに性格全然違うな、、)

ユート(瑠璃ももう少し優しいな。)

ユーゴ(リンはあんま変わんねーかな、、)

 

遊矢たちが心の中で会話しているとオベリスクフォースたちが途端に整列を始める。それに合わせて遊矢たちも横に並んだ。

 

セレナ「一体なんだというんだ?」

遊矢「さぁ?…ウグッ!」

 

遊矢は突然自らの中が燃え上がるように熱くなる感覚を覚える。それは近くにユーリがいることを示していた。

 

遊矢「セレナ、、近くに、、ユーリが!」

セレナ「何!?どこだ!」

ユーリ「ここだよ。」

 

声のする上を向くと船のブリッジからユーリが出て来る。それとともにオベリスクフォースたちが遊矢とセレナを囲んだ。

 

遊矢「ユーリ!」

ユーリ「君たち作戦甘すぎるよ。オベリスクフォースたちはみんなインカムつけてるんだ。変なやつらが乗ってることなんてみーんなに伝わってる。それに遊矢…だっけ?君が近くにいれば僕だって気がつくじゃん。」

遊矢「俺はお前には気がついて…」

ユーリ「あー、それは僕の方が"アーク"の力の質が高いからかもね。ほら、君のお父さんから精霊の力がすごいカード、もらっちゃったし〜〜。」

 

そういいながらユーリは遊勝が消えた後に残っていたテレグラフ・マジシャンを見せた。

 

遊矢「お前…!」

 

ユート(遊矢、落ち着け。ズァークが出てきてしまう。)

ユーゴ(よく正気でいられんな、オレは胕煮えくり返りそうだぜ。)

 

そう言いながらもユートとユーゴが冷静でいるおかげで遊矢は正気を保っていた。

 

遊矢「明日香さんはどうした!」

ユーリ「あーあの優等生?ほーら。」

 

ユーリは明日香の姿が写ったカードを遊矢たちに見せる。

 

ユーゴ「てめえ!」

 

ユーゴに変わったことにユーリは驚くことはない。精霊の力が強化されたことで感知出来ていたためだ。

 

ユーゴ「ここで勝負だ!カタつけてやる!」

ユーリ「悪いけど君たちと決着をつけるのはまーだ。僕はセレナに用があるんだ。久しぶりだね、セレナ?」

 

そうセレナの方を向くと既にオベリスクフォースとデュエルをしていたセレナがユーリの方を向く。

 

セレナ「ユーリ、よくも私を騙してくれたな!」

ユーリ「シンクロ次元に置いていったのは悪かったよ。でもまさか君がアカデミアを裏切るなんてね。」

セレナ「私は裏切ってなどいない!人々のために平和を目指す そんな私の信じたアカデミアに戻ってほしくてランサーズに入ったのだ!」

 

セレナの拳は強く握られている。それをみたユーゴは冷静になることが出来た。

 

ユーリ「ふーん、じゃあどうするの?今のアカデミアを潰す?」

セレナ「私をプロフェッサーに会わせろ!どうせお前の任務は私を連れ帰ることだろう。」

ユーリ「ご名答~!まさか自分から帰ってきてくれるなんてね。」

ユーゴ「駄目だ、セレナ!」

セレナ「その代わり遊矢たちには手を出すな!手を出せば私が許さん。」

 

セレナはデュエルディスクのディスク部をしまうとオベリスクフォースたちの方へ近づいていった。

 

ユーゴ「セレナ!」

セレナ「ユーゴ、私がプロフェッサーを説得してくる。待っていろ!」

 

数人のオベリスクフォースにセレナが囲まれた瞬間、オベリスクフォースの1人がスタンガンによってセレナを気絶させた。

 

ユーゴ「てめえ!」

 

ユーリがジャンプして甲板へ降りるとオベリスクフォースたちにユーゴを捕らえるよう指示を出した。

 

??「「「うぉおおお!」」」

 

その時、オベリスクフォースたちと反対の方向から権現坂、沢渡、クロウの3人がタックルをしつつオベリスクフォースまみれの甲板に道を作った。

 

遊矢「みんな!」

 

ユーゴから再び代わった遊矢に権現坂が大声で指示を出す。

 

権現坂「救護用ボートを用意した!逃げるぞ!」

遊矢「でもセレナが!」

 

ユート(ここは権現坂たちに従おう。私たちが赤馬零王の元へ着くことが出来ればセレナだけではなく瑠璃や柚子も救うことが出来る!)

ユーゴ(リンもな!)

 

考え方が零児と同じだったことに気に食わない遊矢であったが、仲間たちをこれ以上危機にさらすわけにはいかない。遊矢は権現坂たちの元へ行き。救護用ボートへ急いだ。沢渡はもう既にボートへ乗り込んでいるのが見え、置いていかれぬよう遊矢も走る。しかし後ろから迫るオベリスクフォースに追いつかれてしまい、囲まれるのも時間の問題と思われた。

 

クロウ「くっそ、走れ!遊矢!」

遊矢「クロウ!?」

 

クロウはデュエルディスクを構え、翼型のディスク部を出現させてオベリスクフォースを止めようとする。遊矢も立ち止まり、デュエルディスクを起動させようとした。

 

クロウ「走れって言っただろ!お前たちはアカデミアを目指せ!」

遊矢「クロウは!?」

クロウ「俺はここでこいつらを食い止める!」

遊矢「そんな!だめだ!」

 

ユーゴ(ジャック…おっさん…セレナ…クロウまで!)

 

クロウ「俺には聞こえないけどよ、どうせユーゴもグズグズ言ってやがるんだろ?いいから行け!そんで赤馬零王を倒してこい!」

遊矢「クロウ…。」

 

権現坂は泣きながら足を止めようとする遊矢の手を取り、ボートへ引っ張った。

 

クロウ(そうだ、権現坂。それでいい。)

 

-クロウと権現坂の回想-

権現坂「シンクロ召喚!超重剣聖ムサ-C!」

 

権現坂のシンクロ召喚が決まった。静かに腕を組んでいるクロウはニヤリとして権現坂の肩を叩いた。

 

クロウ「よくやったぜ!それがシンクロ召喚。チューナーを中心にモンスターたちを繋ぐ召喚法だぜ!」

権現坂「モンスターを繋ぐ?」

クロウ「俺の友達が言ってたんだけどよ、シンクロ召喚ってのは仲間と仲間を繋ぐ召喚法なんだと。モーメントに使われてる遊星粒子のように他の粒子と繋ぐみたいなことだ。」

権現坂「遊星…粒子…難しいことはわからん!」

クロウ「俺もわかんねえよ。でもよ、シンクロを使って仲間と仲間を繋げられる、そんな漢になりてえじゃねえか!」

権現坂「うむ!それが俺の目指す不動のデュエルに繋がるかもしれないな!」

 

クロウは笑顔で頷いた。

 

-船 甲板-

今もクロウは笑顔で頷いている。

 

クロウ(ユーゴたちを頼んだぜ、権現坂!)

 

権現坂は振り向くことなく救護用ボートを下ろし、船を後にした。荒れ始めた海に着水し、救護用ボートはアカデミアを目指して進んでいくのだった。

 

-孤島 西部-

遊矢はシェラフの中で目を覚ました。起き上がるとそこはテントの中だ。そこには赤いアカデミアの服を着た青年が湯を沸かしていた。

 

遊矢「アカデミア!」

アカデミア生「あぁ、ちょっと!落ち着いて!味方ですよ!」

遊矢「え?」

 

遊矢の声がしたことに気が付いた素良がテントの中へ入ってくる。

 

素良「遊矢!」

遊矢「素良!無事だったのか!」

素良「やっぱ遊矢たちも座標地点ずれたとこに転送されてたんだね。アカデミア内の通信で赤馬零王のところに遊矢たちは来てないだろうってエドが予想してさ。」

遊矢「エド?」

 

素良がエドをテントの中に招き入れる。

 

エド「君が榊遊勝の息子 遊矢か。初めまして、僕はアカデミア エクシーズ次元支部総司令官のエド・フェニックスだ。」

遊矢「アカデミアの総司令官ってことは赤馬日美香と同じ位!?それに父さんを知っているのか?」

素良「エドはもう僕たちの味方だよ。僕と同じで戦争がいやでランサーズに入ってくれたんだ。」

エド「君のお父さんとはエクシーズ次元で戦ったことがある。戦いを迷う僕の気持ちに気が付き、僕に自分のデュエルをすることを諭してくれた心の師のような人だった。」

遊矢「だった…?」

 

素良とエドは悲しそうな顔をしながらアカデミア内の通信でユーリが遊勝を倒したことが情報として流れたと遊矢に伝えた。わかっていたものの、改めて言われるとショックが大きい。遊矢はしばらく1人でいさせてくれと頼んだ。

 

-アカデミア 謁見の間-

その頃零王は謁見の間にてドクトルに相談を受けていた。

 

ドクトル「エド・フェニックス総司令官が裏切ったようです。戦力は徐々に低下しております。スタンダード次元、エクシーズ次元支部は裏切り者のデニス・マックフィールドによってほぼ壊滅状態。シンクロ次元支部はコモンズの暴動によって混乱を極めているようです。」

零王「ふむ…戦力の強化をしておく必要があるか。」

ドクトル「ユーリがまもなく敵を封じたカードを持ってきます。それを使って…ククク。」

零王「…!まさかリアルソリッドビジョンシステムをそれに使う気か!?」

ドクトル「人道的か否かなど今更お考えになるつもりで?」

零王「…わかった。だがその手だけに頼るつもりもない。兵士たちを鼓舞する必要があるな。島全体に対して中継の準備を!」

 

零王の命によってドクトルはすぐにカメラを用意し、配線を繋いだ。

 

-孤島の西部-

アカデミア生「おい!プロフェッサーの中継だ!」

 

島の上空に零王の映像が映し出される。島のどこからでも見ることが出来る仕組みになっているらしい。

 

零王「アカデミアのために働いている者、アカデミアを裏切った者、アカデミアに歯向かう者。全てに世界の真実を告げよう。それによって身の振り方を考えるがいい。我ら融合次元のほかにシンクロ、エクシーズ、スタンダードが存在する。それらはかつて1つだった。」

 

零王の話にざわつくアカデミア生たち。彼らは世界の真実を知ることなく今までアカデミアについてきたからだ。

 

零王「我々はそれをアーク次元と呼んでいる。アーク次元はなぜ分裂したか、それはズァークと呼ばれる男によって世界が滅ぼされかけたからだ。」

 

テントの中で横になっていた遊矢も思わず外へ飛び出す。

 

遊矢「ズァークだって!?」

 

ユート(アーク…次元?)

ユーゴ(どーゆーことだ?)

 

零王「ズァークを倒すため我が娘 レイは犠牲となった。しかし今、再びズァークが蘇ろうとしている!それを止めるためにはレイが必要なのだ!レイは世界と共に4つに分裂した。それは柚子、瑠璃、リン、セレナと名を変え各次元で生きていたことがわかったため私は君たちの力を借りて彼女らを集めた。エクシーズ次元の人々をカード化したのはそれを燃料にしレイを復活させるためだ!」

 

黒咲「なんてことを…!」

 

上空を睨みつけるように見る黒咲。エドも同じく睨みつけて零王の映像を見ている。

 

零王「世界はズァークによって再び闇へ堕ちようとしている!皆の者、ズァークは榊遊矢だ!ランサーズの榊遊矢、彼こそがズァーク!奴を倒せ、アカデミアよ!奴を倒せば君たちはもう戦争の道へと進むことはない!」

 

エドの部下のアカデミア生たちが発狂し、遊矢のテントへ襲い掛かろうとした。エド、黒咲、素良そして別のテントから出てきた権現坂と沢渡はそれを止めた。

 

エド「く…彼らはプロフェッサーを頼りに今まで生きてきてしまった!もはや言いなりなんだ。もはや信用できるのはランサーズのメンバーしかいない!僕たちだけで行こう!」

 

正気のアカデミア生たちが混乱したアカデミア生たちとぶつかる形となり、遊矢たちランサーズはアカデミア本部へと走っていった。

 

-アカデミア本部付近-

アカデミア本部の近くではデュエルチェイサーたちが本部にネズミ一匹すら入れまいという厳戒態勢を強いていた。

 

エド「ロジェか…面倒なことを!」

遊矢「ロジェ?」

 

ユーゴ(シンクロ次元の総司令官だったやつだよ。雑魚だけどな!)

 

遊矢「ユーゴが雑魚だって…。」

素良「まぁ…うん…。」

エド「彼は雑魚だ。」

沢渡「元仲間からひどい言われようだな。」

 

沢渡は思わず苦笑いする。しかしエドは真剣に話を続けた。

 

エド「だが数が多いのは面倒だ。デュエルチェイサーならば機動力もあるからな。」

遊矢「どうする?」

エド「ここは僕に任せてもらおうか。」

 

-アカデミア本部前-

ロジェはデュエルチェイサーたちによる壁の真ん中であくびをしていた。

 

ロジェ「あー、眠い。暇だ。」

デュエルチェイサー「ロジェ様!上を!!」

ロジェ「ん?…あ!!」

 

そこにはヘリからボードのようなものに乗った黄色いゴーグルをしたエドが飛び降りようとしていた。

 

ロジェ「あれは裏切り者のエド・フェニックス総司令官じゃあないか!お前たち!奴から目を離すな!」

 

エドが飛び降りると共にデュエルチェイサーたちは着陸すると思われる場所へ移動した。

 

エド「イヤッッホォォォオオォオ!!!!」

 

エドは気持ちよさそうに雄たけびをあげながらデュエルディスクを起動させた。

 

エド「ランサーズのデュエルディスクからインストールしたアクションデュエル、しかと楽しんでもらおうか!アクションフィールド オン!」

「アクションフィールド デステニー・ソルジャー」

 

エドは空中に出現したキューブに着地し、デュエルチェイサーたちの期待を裏切る。

 

ロジェ「何!?」

エド「ロジェ、ここで元総司令官同士デュエルで決着をつけようじゃないか!僕のことを散々言ってくれたこともあったしねえ!」

 

エドの挑発にすぐさま乗るロジェ。自らのデュエルディスクも起動させ、参戦する。

 

エド・ロジェ「「デュエル!」」

 

-アカデミア 謁見の間-

零王の中継は終わってドクトルはカメラを片付けに裏へ行った。とその時、大きな扉が蹴破られ、砂埃が舞う中ユーリが謁見の間に入ってくる。

 

零王「ユーリ?」

ユーリ「はい、プロフェッサー、セレナだよ。」

 

気絶し縄で縛られたセレナをゴミのように放り投げる。すぐに零王はセレナにかけより抱き上げた。

 

零王「大事に扱え!私の娘だぞ!」

ユーリ「”私の娘”…ねえ。ククク、だってさ、テレグラフ・マジシャン、ポリグラフ・マジシャン?」

零王「お前…アークに目覚めたのか!?」

ユーリ「フン、精霊と会話でき精霊の力の一部を使うことが出来る一握りの人間、それがアーク。かつてのアーク次元には何人か存在し、特に力が強いものはアーク次元の精霊神と会話が出来たという。」

零王「お前…!」

ユーリ「さぁ次元統合をはじめましょうよ。セレナと柚子と瑠璃とリンを融合~って?」

零王「言われるまでもない。」

 

零王は椅子のスイッチを押し、次元統合の起動エンジンの扉を開けた。その中にセレナを入れるとエンジンは起動しはじめ、エクシーズ次元をはじめとするさまざまの人のカードが注ぎ込まれた。

 

零王「次元統合、開始!」

 

零王が別のスイッチを押すと共にモーメントの動き出す音が鳴り響く。

 

零王「フフ。これで次元統合がはじま…グォ!!」

 

振り向くと共にユーリが召喚していたマジシャンたちの攻撃が零王を貫いた。

 

零王「な…にを…!」

ユーリ「僕、秤の魔術師たちを集めててね。これならズァークに勝てるなあって。プロフェッサーも持ってたでしょ?」

零王「貴様…!」

 

零王は消えゆく意識の中、アーク次元での出来事を走馬灯のように思い出していた。

 

-零王の回想 アーク次元-

アーク次元にて零王はとある研究組織に所属していた。その研究組織から独立、レオコーポレーションを立ち上げると瞬く間に成長して、大企業の社長の座についた。

 

-レオコーポレーション社長室-

社長室の扉からノックがする。返事をすると零王の友人である遊勝が部屋に入ってきた。

 

零王「おぉ!遊勝!久しぶりだな。」

遊勝「あぁ!久しぶりだ。この度は我がサーカス団にスポンサーとして…」

零王「おいおい、よしてくれよ、私と君の仲じゃないか。それに君のサーカス団が積極的にわが社のソリットヴィジョンシステムを使ってくれているおかげで株は上り調子さ。実体のあるリアルソリッドビジョンシステムの研究費が手に入るってもんさ。」

遊勝「私たちの夢にそれぞれ近づくことが出来るってわけだな。」

 

遊勝と零王は握手を交わす。

 

遊勝「あぁ、そうだ。君が前言っていたアークっていう者の話。」

零王「君の”エンターサーカス団”にいるとか言っていたね。」

遊勝「連れてきたよ。入りたまえ!」

 

社長室の扉が開くと銀髪に緑のメッシュが入った髪をした青年が入ってきた。

 

??「はじめまして!」

遊勝「零王、彼が精霊と会話が出来る決闘者 ズァークだ!」

 

ズァークは紹介されニコリと笑顔を零王に見せた。


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