俺のFateな話   作:始まりの0

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EP92 政務からの……

 ~王宮~

 

 龍牙とギルガメッシュが再会しそれを見守る老人や兵士達。

 

「取り敢えず……再会出来たのは嬉しいし、他の者達との再会も嬉しい。だけど」

 

 

「そうだな、まずはすべき事があるな」

 

 

「うん……ん? 俺も? これを?」

 

 ギルガメッシュが指を鳴らすと沢山の粘土板が並べられる。

 

「当たり前だ。我の片腕なのだ、これくらいして貰わんと困る」

 

 

「戻ってすぐ政務やらせるの?! 俺をまた過労で倒れさせる気か!?」

 

 

「そう簡単に倒れんだろう?」

 

 

「簡単には倒れないけどさ! 感動の再会から直ぐに仕事って酷くない?」

 

 

「知らん、口を動かさず手を動かせ」

 

 

「はぁ……分かったよ」

 

 龍牙はそう言うと粘土板を手に取り政務を始めた。それを見た老人達は静かにこの場から離れて行った。

 

「これは……シドゥリ、南側に物資補給。東には修理依頼だ。物資の数は……」

 

 龍牙はギルガメッシュと共にシドゥリや兵士に適格に指示を出していく。

 

「……そういや藤丸君達は?」

 

 

「あの方々でしたら一先ず来賓館に案内しました。本日は王はお会いになられないと思いまして」

 

 

「ぁあ……流石シドゥリ。こっちは北だ……と言うか仕事多過ぎじゃない?」

 

 

「仕方なかろう。状況が状況だ」

 

 

「此処に来るまでに何体か魔獣が居た……威嚇したら逃げて行ったけど。相手は誰だ?」

 

 

「それについては後で話す。シドゥリ、これも北側だ」

 

 2人でせっせと政務をこなしていく。すると積まれていた粘土板は1時間もしない内に消えてしまった。

 

「ふぅ……取り敢えず片付いたな」

 

 

「帰って直ぐに政務やらされるとは……まぁこの数倍の仕事を日常的にこなしてたんだけど……1人で」

 

 龍牙がそう言うとギルガメッシュは見る。それに気付いたギルガメッシュは顔を反らす。

 

「数日寝ないなんて当たり前だったんだけどな。俺1人だけ」

 

 ジッとギルガメッシュの方を見ている。

 

「どっかの誰かさんは酒飲んで寝てたな」

 

 

「えぇい! ネチネチと嫌味を言いおって!」

 

 

「ハハハ、これぐらい言っても罰は当たらんだろ……それはそうと聞きたい事がある」

 

 

「なんだ?」

 

 

「【エルキドゥ】の事だ」

 

 エルキドゥの名を口にした瞬間、辺りの空気が温度が一気に下がった。その原因となっているのは勿論、ギルガメッシュである。

 

 表情こそ変わらないが彼女から感じるのは強い怒りと悲しみだった。

 

「……そうか」

 

 龍牙はそれを見て何があったのかは大体は想像出来たのかそれ以上追求する事はなかった。周囲を確認すると、シドゥリを始め全員が暗い表情をしている。

 

「あっ……そうだ! シドゥリ! 久しぶりにシドゥリのバターケーキが食べたいな!」

 

 

「わっ分かりました! 直ぐにご用意しますね! 龍牙様、王がサボらない様に監視お願いしますね!」

 

 

「待てシドゥリ、我が何時サボった?!」

 

 

「つい先日も息抜きと称してサボっておられたではありませんか?」

 

 

「……我にも頼む」

 

 

「はい! では失礼します」

 

 龍牙が何とか話題を変えた事で場の空気が少しだけ和んだ。それにより兵士達の表情も明るくなった。

 

 それから龍牙とギルガメッシュは夜まで政務を行い、それを終えると龍牙の私室で食事をすることになった。

 

 

 

 ~龍牙の私室~

 

「おぉ、昔のまんまだな……よく維持してたな」

 

 龍牙がこの時代から去って、数十年は経っている筈だが、部屋は当時のままであった事に驚いていた。

 

「当然だ、手入れはしっかりとしている」

 

 

「ありがとう……おっこりゃ旨い」

 

 ギルガメッシュと共に運ばれてきた食事を食べている。互いに酒は入っているものの会話が続かない。

 

「ん? ……なぁ、ギル。その杯って……」

 

 

「ぁあ、これか。聖杯だ」

 

 

「聖杯使って酒飲むな!」

 

 

「たかが杯であろう?」

 

 ギルガメッシュの使用しているのは聖杯だった。

 

「そりゃそうなんだけどね……これはこの時代の物か」

 

 

「その通りだ……つまり我の物、なので我がどう使っても問題ない」

 

 

「……さようですか」

 

 相変わらず贅沢な使い方をするなと思いながら龍牙は食事の手を進めていた。

 

 食事を終え少し落ち着くと、互いに情報の共有を行った。

 

「成程。三女神同盟……ティアマト、ケツァルコアトル、それにあのエレちゃんがねぇ。

 

 魔獣はティアマトの子供達か……さてどう動いたものか」

 

 

「何にせよ、ディンギル完成まで後少し……決戦の時はそう遠くはないだろう」

 

 ギルガメッシュからの情報を整理しつつこれからの動きを考える龍牙。

 

「貴様の力、当てにしているぞ」

 

 

「あぁ……ふぅ、さっさと解決してゆっくりと休みたいなぁ」

 

 ベッドに倒れ込む様に寝るとそう呟いた。

 

「そうだな……さっさと終わらせたいのは分かるが」

 

 ギルガメッシュはそう言いながら龍牙の上に跨がった。

 

「えっと……何を?」

 

 

「少々疲れと魔力不足でな……問題を解決する前に我を満足させて貰うとしよう」

 

 

「えっ……ちょ……」

 

 その日、龍牙の私室の明かりが消える事はなかったそうだ。


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