俺のFateな話   作:始まりの0

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EP91 ウルクに到着、そして再会

 龍牙、立香、マシュ、フォウ、マーリン、アナはウルクに辿り着いた。

 

 因みにマーリンの顔には引っ掻き傷だらけである。理由? 

 

「マーリン、シスベシフォーウ!」である。

 

「おー懐かしいなぁ~……でも帰りたくないなぁ」

 

 龍牙は都市へ入る門の前でそう言うとその場にしゃがみこんだ。

 

「どうしてですか?」

 

 マシュは龍牙にそう訪ねる。先程まで嬉々としていた龍牙が突然そう言い出した事を不思議に思った様だ。

 

「ほらっ……だって、王宮から凄いオーラ出てんだよ。戻ったらどんな目に合わされるやら」

 

 

「「「「?」」」」

 

 龍牙の言葉を聞いて首を傾げる。どうやら王宮から出ている何かは彼しか感じていないらしい。

 

「でも此処まで来て戻らなかったら後でどんな恐ろしい目に合わされるしなぁ……」

 

 等とぼやいていると、王宮の方から何やら集団が向かってきた。それに気付いてない龍牙は更に続ける。

 

「お腹痛くなってきた……帰りたい」

 

 

「えっとあの……龍牙さん」

 

 

「聞かないといけないこともあるし、でも頭も痛くなってきたぁ」

 

 

「アハハハハハ、これはこれは」

 

 

「龍牙先輩」

 

 

「ん?」

 

 声を掛けられている事に気付き振り返ると、ニッコリと笑みを浮かべる女性と沢山の兵士達がいた。

 

「あれ? ……もしかしてシドゥリ?」

 

 

「はい、お久しぶりです。龍牙様」

 

 

「本当に久しぶりだな! 元気にしてた? でも……昔からあんまり変わってないな」

 

 

「えぇ、我が儘な王を叱って、政務を手伝っていましたら歳を取る暇もありませんもの」

 

 

「えっと……ご苦労様です」

 

 

「龍牙様の苦労がよく分かりましたわ……それは、そうと失礼します」

 

 シドゥリと呼ばれた女性はゆっくりと龍牙に近付くと手を大きく振り上げる。

 

「シドゥリ?」

 

 シドゥリはその手を勢いをつけて振り下ろす。

 

 

パンッ

 

 辺りに大きな音が響く。シドゥリは龍牙に平手打ちをした。

 

「……ぇえと」

 

 龍牙は叩かれた理由を探す。

 

「申し訳ありません。王の大切な方に手を上げるなど……」

 

 叩いた本人はその場に膝を付き龍牙に謝罪する。

 

「いや……いいよ、シドゥリの事だ。きっとギルとエルキドゥの為だろ……俺もごめんね、勝手に居なくなって」

 

 

「いいえ、龍牙様はウルクを、国に生きる人々を救う為に戦われました。それは承知しております。ですが……」

 

 シドゥリはその先の言葉に詰まる。それを見た龍牙は何を言いたいのか分かっていたらしく、笑みを浮かべる。

 

「シドゥリ、顔を上げて」

 

 

「龍牙様」

 

 

「ありがとう……アイツの為に怒ってくれて」

 

 

「龍牙様もあの頃から変わっておりませんね」

 

 

「そうかな? ……それでシドゥリ、此処には?」

 

 

「そうでした」

 

 パンッパンッと手を叩くと兵士達が龍牙を囲い、縄で縛り上げた。

 

「ぇえ……」

 

 

「王がこのままでは何処か行きそうなので捕まえてこいとの仰せでしたので」

 

 

「ハハハハハ……よくご存知で」

 

 

「では皆さん、戻りますよ。その方はウルクにとって、王にとって大切な方なので、丁重に御運びする様に!」

 

 

「「「ハッ!」」」

 

 こうして龍牙は兵士達に丁重に運ばれた。

 

 

 

 

 ~王宮 玉座の間~

 

 玉座に座っているのはこの国の王、女帝ギルガメッシュである。

 

 入り口から玉座までの階段まで多くの兵士と綺麗な布を纏った老人達が並んでいた。

 

「王、ただいま戻りました」

 

 シドゥリと運ばれてきた龍牙が入ってくると、兵士や老人達が一斉に入り口に視線を向ける。

 

「シドゥリ、やっぱ縄外さない? 逃げないからさ」

 

 

「そうでした……縄を」

 

 シドゥリは近くにいた兵士にそう言うと、その兵士は龍牙の縄を切った。

 

「ふぅ……」

 

 床に降ろされた龍牙は息を吐くと周囲を見回した。

 

 周りの兵士達、老人達が此方を見ている。その目には涙が浮かんでいた。

 

「そっか……態々集まってくれたのか」

 

 この場に集まっている老人や兵士達は若かりし頃、幼い時に龍牙に助けられ、彼に様々な事を教えられ、その背に憧れた者達だ。

 

 龍牙の言葉を聞いた彼等は溢れん涙を必死に堪えている。

 

「さて……」

 

 龍牙は立ち上がると、彼等との再会も喜ばしいが、待たせてる人がいる。

 

「久しぶり、ギル……えっとただいま」

 

 龍牙は玉座の前まで進むとギルガメッシュにそう言った。

 

「ウム……よくぞ、帰ったな龍牙」

 

 女帝ギルガメッシュは龍牙に向かいそう言い立ち上がるの、宝物庫から分厚い粘土板を取り出す。

 

「ギル、ちょっと待て、なんだその手の粘土板は?」

 

 

「簡単な話だ。勝手に出ていって、サーヴァント(他の女)を侍らす男には仕置きが必要だと思わんか?」

 

 ギルガメッシュは笑みを浮かべながらそう言うものの、目が笑ってない。

 

「ちょっと待って……何かその粘土板から神性感じるんですけど?! そんなで殴る気か?!」

 

 

()を待たせた罰だ!」

 

 

 

ドゴッ! 

 

 

 振り下ろされた粘土板は龍牙の頭に吸い込まれ、砕け散った。

 

「いっ~!!」

 

 

「ふぅ……さて、改めてよく戻ったな龍牙」

 

 スッキリした顔のギルガメッシュは何事もなかったかの様に玉座に腰掛けた。

 

「おまえなぁ……」

 

 

「お前が悪い……」

 

 

「だからって粘土板で殴る事ないだろ! 俺じゃなきゃ死んでるわ!」

 

 

「お前なら大丈夫であろう?」

 

 

「確かに大丈夫だけどさ! 痛いものは痛いんだよ! と言うか何だその格好は?!」

 

 

「ん、似合うだろう? 流石()、何を着させても似合ってしまう」

 

 

「似合うけどもさ! 胸隠せっ!」

 

 露出の激しすぎるギルガメッシュの服を指摘する。ギルガメッシュはそれを自分に恥ずべき所はないと言っているが、龍牙も龍牙で下がらない。

 

 そのやり取りを暖かく見守っている周囲の者達はとても嬉しそうである。


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