俺のFateな話   作:始まりの0

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明けましておめでとうございます。

今年の初投稿になります。


EP88 それぞれの幸せ

 第4次聖杯戦争。

 

 大聖杯を汚染していたこの世、全ての悪(アンリ・マユ)は龍牙の一撃により、聖杯と共に消滅。それと同時にサーヴァント達も、世界を救った事で満足し退去した。

 

 

 

 

 ・セイバー陣営

 

 小聖杯であったアイリスフィールとその娘イリヤスフィールは龍牙の治療により、普通の人間と変わらぬ身体に。その後、切嗣と切嗣が引き取った士郎、メイドのセラとリーゼリットと共に冬木で生活しており、たまに舞弥が遊びに来ていた。

 

「おーい、イリヤ、士郎、こっち向いて~」

 

 

「「切嗣(じいさん)また写真?」」

 

 

「そうだよ、さぁ笑って笑って」

 

 

「あらあらっ切嗣ったら親バカねぇ」

 

 

「えぇ、元の切嗣の面影がありません。ですが……あの切嗣が本来の切嗣なのですね」

 

 幸せそうな切嗣を見たアイリと舞弥、彼女等も幸せそうである。

 

 

 

 

【いいのかな、これ? 士郎君はまだしも……舞弥さんは……まぁ本人達がいいならいいか】

 

 

 

 

 

 

 ・アーチャー陣営

 

 時臣と葵は桜の件を反省し、娘達に自分の未来を選ばせる事に決めた。しかし魔術を継ぐことも考え、通常の教育と共に魔術も学ばせる事に。桜は特殊な属性持ちの為、どうにか護れないかと思っていた所、ケイネスから桜を養女にしたいと話が出てくる。何でも龍牙から頼まれたらしく、養女と言うのは形だけで、エルメロイ家の養女となればそう簡単に手を出させない様にするらしい。

 

「桜! 今度はあっちで遊びましょ!」

 

 

「うん」

 

 子供らしく笑っている凛と嬉しそうな表情の桜、それを見守る葵。

 

 その光景を遠くから見守る時臣。

 

「……」

 

 

「何だ、時臣、落ち込んだ顔をして」

 

 

 

「雁夜か……落ち込んでいる訳ではないさ。こんな場所からしか我が娘達を見守れないとは……親として情けないと思ってね」

 

 

「当然だろ……そんだけの事をしたんだ」

 

 

「あぁ……私は親としては失格だ。出来るだけ魔術の道以外の事を示してやりたいが、根っからの魔術師の私には無理だ。どうしても魔術と絡めて話をしてしまう」

 

 

「……それで?」

 

 

「だから雁夜、君があの子達に魔術以外の事を教えてやってほしい」

 

 

「ちっ……らしくないな。常に優雅だとか言ってるくせに……俺だって完璧な人間じゃない、むしろダメダメな大人だ。けど出来るだけの事はあの子達に教れる事は教えるよ、だからお前も諦めるな。あの子達の親であることを」

 

 

「雁夜……すまない」

 

 

「別にお前の為じゃない……」

 

 雁夜はそれだけ言うと子供達の元に向かった。

 

 

【まぁ……子供達が幸せならそれでいい。後は彼等次第だ】

 

 

 

 

 

 

 ・ランサー陣営

 

 ケイネスは婚約者のソラウと共に帰国、ソラウは現在ケイネスにベタ惚れ、結婚からそこそこ経っているものの、新婚の様に仲がよく、子宝に恵まれた。龍牙に頼まれ、あらゆる方面に手を回して、桜を養女に迎えた。しかし形だけなので、桜本人は家族と一緒に日本で暮らしてる。ケイネス曰く龍牙には感謝してもしきれない恩が出来たと語る。

 

「ケイネス、ご飯よ」

 

 呼びに来たソラウ、彼女の腹部は膨らんでいる。彼女はケイネスの子供を身籠っている様だ。

 

「あぁ、ありがとうソラウ。ぁあ! またそんな重そうな鍋を持って! 何かあったらどうするだ!? 私に言ってくれればいいのに」

 

 

「ケイネス、心配し過ぎよ」

 

 ケイネスは重そうな鍋を持っている身重なソラウを案じてそう言うが、ソラウからすれば心配し過ぎらしい。

 

「いやはや、我が叔父ながら面白い」

 

 

「ライネス、何しに来た?」

 

 

「なぁに、叔母君と産まれてくる子供の様子を見に来ただけさ」

 

 彼女はライネス・エルメロイ・アーチボルト。ケイネスの姪に当たる人物だ。

 

「あらっ、ライネスいらっしゃい。ライネスもご飯食べていく?」

 

 

「あぁ、叔母上のご飯は美味しいから頂こう。それはそうと……叔父上は心配症だね」

 

 

「心配されるのは嬉しくはあるのだけど……何処に行くにも着いてこようとするの」

 

 

「しっしかし重い物があるなら私が持てばいいし、それにソラウは美人だから他の男が寄って来ないとも限らないし……」

 

 

「大丈夫よ、私が貴方以外の男に靡く訳ないでしょう?」

 

 

「ソラウ……」

 

 互いに顔を赤くして見つめ合うケイネスとソラウ。

 

「ぁ~お邪魔の様だし、私はこれで失礼するよ。食事は次回に、するよ」

 

 惚気に当てられたライネスはそそくさとその場から退散した。

 

 

【ぁ~口から砂糖が出そう。人間、変われば変わるものだ】

 

 

 

 

 

 

 ・ライダー陣営

 

 ウェイバーは時計塔へ帰り、魔術の勉学に励む事に。始めこそ、イスカンダル召喚の媒体を盗んだ事をケイネスにネチネチと嫌みを言われたものの、ケイネス本人も彼の魔術の腕に見込んでいる。数年後にはケイネスの補佐等を行う事になった。イスカンダルに認められ、臣下の1人となったのは言うまでもない。

 

「ふぅ……はぁ~、ライダー。お前、こんな大変な道のりを渡ったのか」

 

 彼は現在、砂漠の真ん中にいた。彼は休みを利用して、イスカンダルの軌跡を辿っていた。

 

「……何時かお前に色々話してやるからな。待ってろよ!」

 

 

『ぁあ、それは楽しみだ。待ってるぞ坊主』

 

 

「ライダー!?」

 

 ウェイバーがその声に振り返るが、それにライダーの姿はない。

 

「むぅ……そんな訳ないか、よしっ! 行こう!」

 

 ウェイバーはそう言って立ち上がるとまた歩を進め始めた。

 

 

 

【頑張れよ、ウェイバー君。いずれ王に会えるといいな】

 

 

 

 

 

 ・アサシン陣営

 

 言峰璃正、綺礼、カレンは冬木の教会にて仲良く? 暮らしている。カレンは祈りを捧げ、町人達とのコミュニケーションをとり、年相応の子供として暮らしていた。璃正は爺馬鹿になり、孫娘に近付く男は年に似合わぬ筋肉で排除している。綺礼は始めこそ戸惑っていたものの、共に過ごす内に自分の娘である事を身をもって痛感した。最近ではカレンに対する報復なのか、教会主催の遠足の弁当をキャラ弁にして、満足している。似た者親子である。

 

「お父さん、遠足があるのですが……」

 

 

「ほぉ、そう言えばそうだったね。今度は何のキャラ弁にしようか?」

 

 

「キャラ弁は止めて下さい。普通のでいいです」

 

 

「遠慮するなカレン。可愛い娘の為なら苦労は惜しまない」

 

 

「私はそこまでお子様ではないんですけど……「カレンちゃん!」お爺様」

 

 

「ついさっき可愛い服を見つけたので買ってきた! 是非着て欲しい!」

 

 璃正が持っているのはヒラヒラのついた可愛らしい服だ。璃正はカレンが普段からシスター服以外着ないのを気にして、頻繁に服やらを買ってくる……と言うか度が過ぎて爺馬鹿だ。

 

「はぁ……それよりお爺様、この間、教会の土地を買い取ろうとしていた反社会組織の方々ですけど」

 

 

「うむ! お爺ちゃんが(肉体言語で)説得してきた!」

 

 

「父上……その時、服を脱いでませんでしたか?」

 

 

「あぁ、手榴弾で焼け焦げてしまってな」

 

 

「教会の評判が……」

 

 半裸の不審者が出ると近所の噂で聞いた綺礼はもし父親とバレれば教会の評判が落ちそうなのを心配していた。

 

 そんな父親を愉悦顔で見ているカレン。

 

 

【血は争えないなぁ】

 

 

 

 

 

 ・キャスター陣営

 

 龍牙の介入により、聖杯戦争には召喚されなかったが、聖杯戦争中に冬木の警察署前にボコボコにされた青年が居たとか。

 

「最高にCOOLなことねぇかなぁ?」

 

 

「ちょっとそこのお兄さん」

 

 

「ん……俺?」

 

 

「あぁ……ちょっといいかな?」

 

 

「雨生龍之介だね?」

 

 

「そうだけど、アンタ誰?」

 

 

「通りすがりさ……マルタ(姉さん)お願いします」

 

 

「誰が姉さんですか、マスター? まぁいいです……さてと」

 

 

「へぇ、イカしたお姉さんじゃん」

 

 

「鉄拳制裁!」

 

 

【取り敢えず再起不能にしておいた】

 

 

 

 

 

 ・バーサーカー陣営

 

 雁夜は龍牙の治療により、髪色以外は元通りに。現在は龍牙が残した資金を元手に投資等を行い、遠坂家の近くの家を購入し、桜と共に暮らしている。週に何度か葵と凛が訪れて桜と共に過ごしているのを見守っていた。

 

「ふぅ……一段落ついたな」

 

 雁夜は仕事に一段落つけると椅子に座る。彼の現在の職業は主に写真館と投資である。龍牙の残した金を基に、家と写真館を兼ねた物件を購入していた。元々写真撮影が趣味だった為、それを仕事にした様だ。後は投資もそこそこ上手くいっており、桜と共に暮らしていくには十分な稼ぎを得ていた。

 

 ーコンッコンッー

 

「はい、どうぞ」

 

 雁夜がそう言うと桜が入ってきた。

 

「おじさん、今大丈夫ですか?」

 

 

「あぁ、大丈夫だよ、桜ちゃん」

 

 

「……えっと、その」

 

 

「?」

 

 桜は1枚の紙を持っていた。それを受けとると、それを見た。

 

【保護者参観案内】と書かれていた。どうやら桜が通っている小学校からのプリントらしい。桜はある程度まで精神的にも回復したので、つい最近小学校に復帰し、

 

「保護者参観か……そんな時期かぁ。分かった、葵さんに連絡しておくね」

 

 

「あの……雁夜おじさんにも……来てほしいです」

 

 

「えっ俺?」

 

 桜は肯定した。

 

「でも保護者じゃ……いや保護者ではあるけども」

 

 

「ダメですか?」

 

 

「そっそんな事ないよ! でも俺でいいのかな?」

 

 

「おじさんに……『雁夜お父さん』に来てほしいです」

 

 

「分かったよ、仕事の都合はつけるから……えっ、桜ちゃん、今なんて?!」

 

 

「おっお休みなさい」

 

 桜は恥ずかしかったのか顔を赤くして出ていった。

 

「きっ聞き違い……いや確かに……」

 

 雁夜はお父さんと呼ばれた事が余程嬉しかったのか、幸せそうな顔をして気を失った。

 

 

 

【これは、これは……まぁ良かったな、雁夜おじさん】

 

 

 龍牙の介入によりそれぞれが、各々の幸せをかみしめていた。

 

 

 

 

 

 


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