ギルガメッシュは驚いていた。
幼き頃から共にいた従者……愛する者は神々の所為で自分の元を離れた。
生前は彼がいなくなってからは盟友と共に国を発展させることに尽くした。死後、自分は英霊として召し上がられた。
そして、聖杯戦争に召還された。この度は人の進歩を観ること、世界の財の全ては自分の物で聖杯という財を獲ろうとする者達を裁く事を目的としていた。前者に関しては分からなくもないが、後者に関してはどうかと思うが英雄王なので仕方ない。
それだけの目的であったが、彼女の求めていたものが今、目の前にいる。
故に歓喜する。
「ふっ……フハハハハハハ! まさか……まさかこの様な形で再会出来るとはな!」
「俺からすれば2回目なんだが……お前からすれば今回も前も夢の様なものだからなぁ。
と言う訳でさ、此処は俺に免じて退いてくれない?」
龍牙はギルガメッシュにそう言った。
「無理に決まっておろう! 求めていた物が目の前にあるのに我が我慢できると思うか!」
ギルガメッシュはそう言いながら
「ですよねぇ……こうなるとは思っていたけど……仕方ない。頼むから前みたいに被害気にぜす射ってくるなよ」
龍牙はそう言いながら両腰にある
それから暫し沈黙が続く。
風が吹き、ギルガメッシュの長い金髪が舞い上がる。両者は未だ全く動かず静まり返っている。
そして風が止んだ。その瞬間
「フハハハハハハ!」
「うおらぁぁぁぁ!」
まずは正面から飛んでくる宝具を
「ぁあ! ちくしょう! 相変わらず贅沢な宝具の使い方だな!」
「フハハハハハハ! そう言いながら平然と捌いているではないか!」
「当たり前だ! どんだけお前等に酷いめに合わされたと思ってる! 慣れだよ! 慣れ! と言うか何で徐々に数を増やすんだよ!」
徐々に増える宝具の数に文句を言う龍牙、それに対してギルガメッシュは笑っている……俗に言う愉悦顔である。
「その顔辞めろ! もの凄く腹立つ!」
「ならっ……次はこれはどうだ?」
ニヤリと笑みを浮かべ、パチッと指を鳴らす。
すると夜空に
この瞬間、この戦いを見ているマスターである魔術師達が唖然としたのは言うまでもない。またこの時点でギルガメッシュのマスターである遠坂時臣とこの戦争戦争の監督役……冬木教会の言峰璃正は気を失いそうになる。
何故なら、聖杯戦争……ひいては魔術は秘匿されなければならない物だ。英霊同士の戦いであればある程度の被害が出るのは予想している。監督役や他の魔術師もそれは理解しており、対策もしているのだが……今回はそれでカバーできる程、簡単な話ではない。
「
「以前の様に押し返して見せよ!」
空中に停滞していた
「……胃が痛い。なんでこんな事に……」
龍牙は鎧の上から腹を押さえている。
「はぁ……ふぅ、仕方ない」
そう呟くと
凄まじい量の力が溢れ出し龍牙に収束する。次に取った行動は
「うおぉぉぉぉ!」
その翼を大きく羽ばたかせ、一気に加速し
そして
「ハハハハハハ、それでこそ龍牙よ!」
「はい、終わり! これ以上はお前の遊びに付き合わんぞ!」
龍牙はギルガメッシュに向かってそう叫ぶ。
「よかろう、此度はこれで下がるとしよう……ではな
ギルガメッシュはそう言うと霊体化し、その場から去っていった。
「相変わらず自分勝手な……アイツらしいと言えばそうなんだが……【
そう言いながら地面へと着地し、鎧を解除し振り返るとセイバーとそのマスター、ランサー、ライダーとそのマスターが唖然として此方を見ていた。
「御無事ですか、マスター?」
そしてジャンヌが龍牙に向かい走ってくる。
「「「「「マスター?」」」」」
「あぁ、あれくらいは遊びみたいなもんだ」
「「「「「遊び?」」」」」
龍牙の言葉に反応するこの特異点のマスターとサーヴァント達。
「さてと……ジャンヌ、彼等に説明は?」
「しようとしたのですが……途中からマスターとアーチャーの戦闘が始まりまして」
「ぁあ、そりゃ無理だな。あの状況では話せないものな」
そう言うと、セイバー達の方を向いた。
「取り敢えず、お茶でもしながら話し合いでもどうかな……マスターとサーヴァント諸君」
龍牙はそう笑顔で言うのだか……怪しまれたのは言うまでもない。