俺のFateな話   作:始まりの0

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EP76 

 ~冬木市 港~

 

「さてと…………騎士王と魅了の騎士の戦闘が始まったか」

 

 コンテナの上にいる龍牙。彼は座りながら、遠くで戦っている騎士達を見下ろしていた。

 

「流石は騎士対騎士の対決だな…………でもそろそろ来そうだな」

 

 龍牙はそう言うと彼の視線の先に戦っている2人の間に雷が落ちた。土煙が晴れると、そこには戦車に乗った大男がいた。

 

「我が名は征服王イスカンダル。此度の聖杯戦争においてはライダーのクラスで現界した!」

 

 と堂々と名乗った征服王イスカンダル。本来、聖杯戦争において英雄達の真名は隠す物だ。何故ならその英雄の名を知られると言う事は、宝具を知られ、弱点を知られる事に他ならないのだから。

 

征服王は真名を名乗っただけでなく、セイバーとランサーを勧誘を始めた。

 

「アハハハハ、本当真名名乗ってに勧誘するとは…………おっ断られた。さて…………そろそろアイツが出てくる頃か」

 

 

『我を差し置いて王を名乗る不埒者が2匹も現れるとはな』

 

 総てを平伏させる様な覇気が籠った声と共に外灯の上に黄金の粒子が集まった。

 

 長い金色の髪、血の様に赤い瞳、この世の者とは思えぬ美しい相貌、そして黄金の鎧…………人類最古の王にして、英雄達の王、龍牙にとっては再会を約束した相手だ。

 

 女帝ギルガメッシュが今この場に現界した。

 

「取り敢えず、止めないとね…………はぁ、止まってくれるかな? 止まって貰わないと困るんだけど…………する事が一杯あり過ぎて、頭が痛くなってきた」

 

 

「大丈夫ですか、マスター?」

 

 彼の後ろにジャンヌが現界する。

 

「私が行きましょうか? これでもルーラーですから、何とか止められるかと」

 

 

「大丈夫…………ジャンヌはセイバー、ランサー、それとライダーに話を付けてきてくれ。俺がいるのに出てこないのが分かると絶対機嫌損ねるし、あいつの機嫌損ねると、被害が余計に大きくなるからな。

 

 あの時は大変だったなぁ……城の修理に政……睡眠時間を削って削って……フフフ……1日28時間労働、一睡も出来ずに……よく生きてたな俺」

 

 龍牙は昔の事を思いだしているらしく、段々と死んだ目になっていく。

 

「まっマスター?」

 

 

「おっと嫌な事を思い出していた。さてと……とそろそろ行きますか」

 

 彼はそう言うと、コンテナから飛び降りギルガメッシュの元へ向かい飛んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 ~ギルガメッシュside~

 

 第四次聖杯戦争……聖杯なる願望器を求め、七人の魔術師(雑種)共が七人の英霊を召喚しその覇権を競うと言うものだ。

 

 (わらわ)は聖杯等に興味はないが、宝である以上は我の物だ。だが我の許可なく有象無象がそれを手に入れる事など不敬極まりない故に、我は召喚に応じた。後は裁定者として現代に生きる人間(雑種)を見定めてやるのも王の役目だからだ。

 

 我自身に願いはあるが、願望器などに頼るつもりはないがな。

 

 我を召喚した雑種……魔術師、遠坂時臣。一言で言うなら「退屈な男」である。

 

 我が現界する為の魔力を献上し、臣下として敬意を払っている故に従ってやっているが……これならば、弟子である言峰とやらの方が面白そうだ。あやつはまだ自身の悦に気付いてないが中々の逸材のようだしな。

 

 我は霊体のまま街を彷徨いていた。理由は暇潰しだ、だが途中でサーヴァント同士の戦闘の気配を感じそちらに赴いた。

 

 そこではランサーと思われる男と、セイバーであろう男装の騎士が攻防を繰り広げていた。

 

 ランサーはそこそこの美形であるものの幸運は低そうだ。セイバーは……ウム、金髪碧眼の美少女か。我の好みだな。

 

 更に途中でライダークラスだと思われるサーヴァントが乱入してきた。ライダーは真名を名乗り、他のサーヴァントを勧誘し始めた。

 

 マケドニアの征服王イスカンダル、ブリテンの騎士王アルトリア・ペンドラゴン、輝く貌のディルムッド。

 

 それぞれ名のある英霊達であるが……我を差し置いて王を名乗るとは不敬である。

 

 我こそが唯一無二の王であると言うのに……故に奴らに真の王がどういう物か知らしめてやろう。

 

 

 

 

 

 

 バビロニアの英雄王……ギルガメッシュは電灯の上に現界し、セイバー達を見下ろしていた。

 

「貴様も名のある王と見受ける。ならば、名乗りくらい上げればどうだ?」

 

 イスカンダルが、顕現したギルガメッシュに向かいそう言った。

 

「問いを投げるか? 雑種風情が、 王たるこの我に向けて? 

 

 我との拝謁の栄に浴してなお、この面貌を見知らぬと申すなら、そんな蒙昧は生かしておく価値すら無い」

 

 そう言いながらギルガメッシュは二丁の宝剣、宝槍を展開し待機させる。

 

 要するに自分の顔くらい知っていて当然、知らぬなら生きている価値はないと理不尽極まりない事を言っている。

 

 言っている事はさておき、彼女から放たれている殺気と覇気は本物である故に、セイバー達は警戒している。今、まさにギルガメッシュの宝具が放たれようとしていた。

 

 だが次の瞬間、光球が両者の間に舞い降りた。

 

 『相変わらず無茶をいう』

 

 光が消え、金色の翼が広がり白い鎧が現れた。


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