俺のFateな話   作:始まりの0

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EP70 魔術王、顕現す

「魔元帥ジル・ド・レェ。帝国真祖ロムルス。英雄間イアソン。そして神域碩学ニコラ・テスラ。

 

 多少は使えるかと思ったが………小間使いすらできぬとは興醒めだ。下らない。実に下らない。やはり人間は時代を重ねるごとに劣化する」

 

 突如、この特異点に降臨したヒトの様な影はそう告げる。

 

「マシュ、マスター、下がれ」

 

 

「あぁ、その方がいい。ありゃあヤクいぜ。まっとうな娘っ子が直視していいモンじゃねぇ」

 

 エミヤと金時がそう言うとサーヴァント達が一斉に前に出た、立香とマシュを庇う様に武器を構える。

 

「そのようでございますねぇ。私も退散退散。一尾の身では見るだけで穢されそうです」

 

 

「オイ、なんだこのふざけた魔力は。竜種どころの話じゃねぇぞ。これは、まるで」

 

 

「伝え聞く悪魔、天使の領域か。いや、それでも物足りない。このシェイクスピア、生粋の魔術師ではないとはいえ、キャスターの端くれとして理解しました。

 

 無尽蔵とも魔力量。存在するだけで領域を圧し潰す支配力………まさに、まさに神に等しい創造物!というか神そのもののような気さえします!

 

 そうですな、我が友アンデルゼン!我々はそろそろお暇しましょうか!」

 

 

「貴様はどうしてそう大げさなんだ。だいたい神といっても種類があるだろに。俺が怖いのは編集の神だけだ。

 

 まぁ逃げるのは賛成だが、まさか本命がこの段階でやってくるとはな」

 

 玉藻の前、モードレット、シェイクスピア、アンデルゼンがそう言う。モードレット以外はどうやら逃げようとしている様だ。

 

 立香の通信機からドクターロマンの声が聞こえる。謎の敵の登場で映像は届いてない様だ。

 

「ほぅ、私と同じで声だけは届くのか。カルデアは時間軸から外れたが故、誰人も見つける事はできない拠点となった。

 

 あらゆる未来―――すべてを見通す我が眼ですら、カルデアを観る事は難しい。だからこそ生き延びている。無様にも。無残にも。無益にも。

 

 決定した滅びの歴史を受け入れず、いまだ無の大海にただよう哀れな舟だ。

 

 だが、それがカルデアであり、藤丸立香と無皇龍牙と言う個体。

 

 燃え尽きた人類史に残った染み。()の事情に唯一残った、私に逆らう愚者の名前か」

 

 影は淡々とそう語る。そして、より一層その存在が強くなり続けている。

 

 そして立香がその影に向かい叫ぶ。

 

「お前がレフの言っていた「王」か!」

 

 

「ん?なんだ、既に知り得ている筈だが?そんな事も教わらねば分からぬ猿か?

 

 だがよかろう、その無様さが気に入った。聞きたいならば応えてやろう。

 

 我は貴様等が目指す到達点。七十二柱の魔神を従え、玉座より人類を滅ぼすもの。

 

 名をソロモン。数多無象の英霊ども、その頂点に立つ七つの冠位の一角と知れ」

 

 ソモロン王。聖書にも登場する古代イスラエルの王。ダビデの息子であり、72柱の悪魔を従えイスラエルの最盛期を築いた王であり、歴史上最も偉大な魔術師だ。

 

 そのソロモンが登場した。サーヴァント達は彼の王の登場に驚愕している。

 

 ソロモンとサーヴァント達が会話する中、龍牙の耳にはそれが全く届いてなかった。

 

(アレはサーヴァントとは違う1つ上の冠位…………だがそれだけじゃない。奥に隠れているのはもっと違う………異質な存在。

 

 ソロモン、魔神柱、冠位、蘇生……………そうか、そう言う事か)

 

 

「さて………今の私は貴様に聞きたい事がある。無皇龍牙」

 

 ソロモンはあろうことか、龍牙に声を掛ける。

 

「貴様は一体何だ?フラウロスを屠る程の力を持っていながら、我が眼を持ってしても見通せぬ存在。そんな物は在ってはならぬ。

 

 それに何故、()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 ソロモンが龍牙に向かいそう言う。その言葉にこの場にいる全員が疑問を感じた。『そこに居ながら、存在しない』。その言葉はあまりにも矛盾しているからだ。

 

「生憎俺はそういう存在でな。それが分からないのならそれがお前の限界だ。

 

 まさか()()()()()()()が人理を………人類そのものを焼却しようとしているとはな」

 

 龍牙はニヤッと笑みを浮かべながら、ソロモンに言い放つ。

 

「なに?」

 

 

「人より出でた身でありながら人を否定しようとは…………命も輝きも知らず、生の喜びも知らず、他者を愛する事も知らず、怒りや憎しみと言った負の面でしか人を見ぬ存在が、人間を、歴史を否定するとはな。

 

 腹立たしい、これでは前の世界の神々(奴等)と同じ。人の全てを知った気でいる愚か者だ」

 

 龍牙は圧倒的な力を持つソロモンに対して言い放つ。

 

「くっ………クハハハハハハハハ!産まれ十数年しか生きていない小僧が知った口を聞く。

 

 だが面白い。ならば我が力を知り絶望するがいい。此度は6柱程度で遊んでやる!」

 

 ソロモンがそう言うと同時に、6柱の魔神柱が顕現した。

 

 魔術王との最初の戦いが今、始まる。


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