~隠れ家~
「ねぇねぇ、おかあさん」
「あぁ、なんだ?」
ジャックにおかあさんと呼ばれて嬉しそうに笑う
「おかあさん」
「なんですか、ジャック?」
始めは戸惑っていたが、今では受け入れている
「これ、美味しいね、おかあさん」
「そうか、そうか、一杯食べるといい」
自分作った料理を美味しいと言って貰えて笑みを浮かべるスカサハ。
「おか……おじいちゃん、これ暖かいね!」
「そうか。これもつけるといい」
自分が作った毛糸の手袋をして喜んでいるジャックを見て、帽子も追加する
何故「おかあさん」じゃないのか?流石に「おかあさん」は止めさせてくれと彼に懇願されたので、ジャックには「おじいちゃん」と呼ばせる様にした。「おじさん」ではないのか?ちょっと無理があったので、「おじいちゃん」にした。ヴラド三世はそう呼ばれて嬉しかったようだ。
「………」
「ちっ父上(オロオロ」
Xは部屋の端で膝を抱えており、モードレッドはそれを見てどうしていいか分からずオロオロしている。
何故そうなったのかと言うと……時はジャックを連れて此処に来た時まで遡る。
~回想~
ジャックを連れてきた俺達。勿論、皆、驚いたのは言うまでもない。
問題は此処に来た時のジャックの反応だ。
「うわぁ~おかあさんがいっぱい!」
ジャックはそう言った。女性陣の胸を見ながら。
ジャンヌ、スカサハ……凄い(何がとは言わない)。
アタランテ、牛若丸……そこそこ。
この時は女性陣を見てそう言った。それからヴラド三世が寒いだろうと腹巻きを作り、ジキルも何かと構うようになり、おかあさん認定された。
ふっとそこでXが気が付いた。鎧を着ていたモードレッドは仕方ないにしろ、何故女である自分は呼ばれないのだろう?と。
ジャックに聞いたところ。
「?」
首を傾げられた。女の人の匂いは分かるらしいが、Xからはご飯の匂いがしたそうだ。
~回想終了~
という訳で、彼女は現在進行形で落ち込んでいる。
「主殿!ただいま、戻りました!」
牛若丸が周囲の偵察より帰って来た。
「見て下さい!主殿!デーモンが居たので首を取って来ました!」
牛若丸の手にはデーモンの首がぶら下がっていた。加えてホモンクルスの首まである。
あれぇ、デーモン居たっけ?
「ごっご苦労様、取り敢えず血が飛ぶから向こうに置こっか」
「はい!」
(以前に敵から聖晶石を取ってきたので褒めた。それを切っ掛けに、牛若丸は首やら心臓を取って来る様になった。
カルデアにいた時……丁度、オルレアン攻略中だったかな、朝起きたら、目の前にワイバーンやらモンスターの死骸があった時はマジでビビったね)
「………ふっ……フフフ………ご飯の匂いって…」
「ちっ父上、落ち着いてくれ!オレはそんなの気にしないから!」
「貴女に慰められても嬉しくありません」
「まぁまぁ、ほらっX。グラタン出来たよ」
「食べます!」
結局はご飯で機嫌が直る様だ。
「いぇ、私は可憐で強くて優しい王アルトリア・ペンドラゴンではありません。セイバーの中のセイバー(本当はアサシン)、謎のヒロインXです」
グラタンやサラダ、龍牙の用意した料理を頬張りながらそう言うヒロインX。
「もぐっもぐっ……これうめぇ!」
「バカ娘!マスターが私の為に作って下さった物を勝手に食べんじゃありません!」
「一杯あるんだから、モードレッドも人の分を取らない。親子揃って、顔についてるぞ」
「おかあさん、おいしい!」
「そうか、良かった………ほらっ付いてるぞ」
皆で楽しく食事している。こうしていると、世界が本当に終わろうとしているなんて思えない。だが、もう直ぐ魔神達の主が降臨する。その時こそ、龍牙にとって本当の始まりとなるだろう。