俺のFateな話   作:始まりの0

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EP51 冥界事変終結

 ~燃え盛る街~

 

 

「はぁぁぁぁ!」

 

 龍牙は破壊龍の鎧を纏い、龍の牙(ドラゴ・ファング)をネルガルの悪意に対して振るっていた。

 

 

 ―ぐおおぉぉぉぉぉ!!なんだ、なんだのだ!貴様は?!―

 

 

「唯のマスターですけど!」

 

 

 ―おおぉぉぉぉ!!!神であるこの身が人間如きにぃぃぃぃ!―

 

 ネルガルは凄まじい魔力の砲撃を放つ。

 

 

「例え威力があろうと、当たらなければどうという事はない(キリッ」

 

 

 ―おのれ!おのれ!おのれぇ!人間に圧されるなど!在ってたまるかぁ!!!―

 

 ネルガルの雄叫びと共に凄まじい衝撃波が放たれる。龍牙はそれを龍の牙(ドラゴ・ファング)を振るい衝撃波を放ち、打ち消した。

 

 

 ―邪魔をするなぁ!!!エレシュキガルさえ、取り込めば我が冥界を地獄の様な世界に変え、永遠に人間共の神話として語り継がれるのだ!!!―

 

 龍牙はそれを聞くと目を細める。

 

 

「忘れられるか……」

 

 

「例えどんな理由があってもそんな事は許さないわよ!」

 

 

「えぇい!儂の事を忘れるでないわ!」

 

 エレシュキガルが光の剣を放ち、スカサハは無数のゲイ・ボルグを放つ。

 

 

 ―ぐぅ!ならばぁぁぁ!甦れ、悪しき霊達よ!―

 

 ネルガルの声により、地の底から無数の骸達が地上に蘇える。

 

 

「またかよ……」

 

 現れたのはゴースト&スケルトンの大群だった。

 

 

「仕方ない………ちょっと疲れるが」

 

【BREAK!BREAK!】

 

 龍の牙(ドラゴ・ファング)を銃形態へと変形させると、その場から飛び上がった。

 

 

「『破壊龍よ。死を司る龍よ。苦しみ続ける魂達をその力を持って、彼の者達の魂を輪廻の輪に還せ………【輪廻の龍焔(リミテッド・ノヴァ)】』」

 

 翼を広げると、全身に黒焔が彼の全身を覆い尽くす。そして龍の牙(ドラゴ・ファング)の銃口を地へと向けると、黒焔が銃口へと収束し、彼の前に無数の魔法陣が展開する。

 

 

「【破壊の咆哮は魂を導く(リミッド・ノヴァズ・ブラスター)】」

 

 そう呟き、引き金を引く。銃口から放たれる黒い閃光………それは魔法陣を通過するごとに分裂する。

 

 そして1が10に、10が100に、100が1000へと別れ、スケルトンとゴーストの大群を討ち抜いていく。

 

 撃ち抜かれたスケルトンとゴースト達は黒焔に包まれて消滅した。

 

 

 ―ばっ馬鹿な……これが……これが人間の力だと言うのか!?神たる我が力が全く意味を成さないだと!?これは、これではまるで―

 

 龍牙は地面に降り立つと、手甲を残し鎧を消した。

 

 

「かつて巨人を思い出すか?まぁいい、もう終わらせよう………ネルガル。お前の時代は終わった…………そして次の代へと紡がれたんだ」

 

 

 ―ふざけるな!まだ私は終わってなどいない!私は……―

 

 

天の鎖(エルキドゥ)

 

 龍牙は宝物庫を開き、かつて共に居た鎖を呼び出した。

 

 天の鎖(エルキドゥ)……神を縛る鎖。例え残滓であろうと、神であるネルガルを捕える事は可能である。

 

 

 ―これは?!逃れられんだと!?―

 

 

「スカサハさん………」

 

 

「あぁ。魔境、深淵叡智……」

 

 スカサハはスキル・【神殺し(B)】を発動した。そして自身の槍、ゲイ・ボルグを構えると魔力を込めた。すると槍が光り、巨大になる。

 

 

輪廻の龍焔(リミテッド・ノヴァ)

 

 龍牙はスカサハのゲイ・ボルグに触れ【輪廻の龍焔(リミテッド・ノヴァ)】を纏わせる。

 

 

「これは……成程、これがお主の力か」

 

 

「まぁ……じゃあ、お願いします」

 

 

「良かろう……【貫き穿つ死翔の槍(ゲイ・ボルグ・オルタナティブ)】!」

 

 放たれた神殺しの槍はネルガルを貫き、黒き龍焔が彼の全身を包み燃やしていく。

 

 

 ―ああぁぁぁぁぁぁっぁ………消える……我が消える―

 

 

「お前の事は俺が記憶に刻もう」

 

 

 ―お前が覚えておくと……人間のお前が、神である我を―

 

 

「あぁ」

 

 

 ―フッ………フハハハハハ………それはそれで面白い…―

 

 

「その焔は魂をあるべき場所へと還すものだ……神であろうと、人であろうと、関係なくな」

 

 

 ―ふっ………あぁ……心地良い……神の悪意たる我がこんなにも安らかな気持ちで消えれるとはな―

 

 

「お休み……偉大な神・ネルガル」

 

 ネルガル神の悪意である筈の彼は……最後の最後で安らかな表情となり消滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ネルガルが取り込んでいた聖杯を回収し、封印を施した龍牙。

 

 

「これで終わりか……さて」

 

 龍牙はエレシュキガルの方を向く。

 

 

「なっなによ…」

 

 

「いや、別に………それよりもその姿」

 

 

「あぁ……イシュタルの奴が今のウルクに呼び出されたのよ。アイツ、依代で呼ばれたから、その影響ね」

 

 

「エミヤが見たら、胃潰瘍になりそうな話だな」

 

 

「?………そういや、貴方。お父さま達に追放されたんじゃなかのったの?」

 

 

「されたよ。追放されたのは遥か未来でね」

 

 

「あぁ……成程」

 

 龍牙の一言で彼女は納得した様だ。

 

 

「取り敢えずこの聖杯は俺が回収させて貰うよ。君は戻るかい?」

 

 

「えぇ………やっと地上に出れたとは言え、このままにはしておけないもの。私が戻れば、この穴も綺麗に戻るわ」

 

 

「そりゃ残念だ……折角、再会できたのに」

 

 

「えっ……あっ……わっ私だって残念だと思ってるし……(ごにょごにょ」

 

 

「まぁ……また会えるさ」

 

 

「べっ別に私は……」

 

 と言いつつも、顔がにやけているエレシュキガル。

 

 

「あっそうだ………まぁ、無いとは思うがギルに会う事が在ったら『       』って伝えておいてくれ」

 

 

「……分かったわ。貴方も無理するんじゃないわよ……貴方の力、無償ではないんでしょ?」

 

 エレシュキガルがそう言うと、龍牙は笑みを浮かべる。

 

 

「そう………じゃあ、またね」

 

 エレシュキガルは彼を見ると、冥界へと続く穴へと飛び込んだ。すると、穴は閉じた。

 

 

「聖杯を回収した。取り敢えずどうにか戻るか」

 

 

「まぁ、待て」

 

 どうやって戻ろうかと考えている龍牙をスカサハは止めた。彼女は満面の笑みを浮かべている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ぁ~………(凄く嫌な予感がする)」

 

 

「お主の力、しかとこの眼で見たぞ」

 

 

「ハハハ……俺の力なんて微々たる物ですよ。さて、どうやって帰ろうかな」

 

 

「待て………少し儂と殺り合っていけ。あの力、神殺し……いやそれ以上の力と見た。あの力なら儂を殺せるかもしれん」

 

 

「アハハハ、やっぱり……そう来たか。でも今は人理を護るのが優先で」

 

 

「なに、最後までせよとは言わんよ。一撃でよい、それでお主の力も分かる」

 

 

「俺も疲れてるんだけどなぁ」

 

 何としてでも彼女との戦いは避けたい龍牙なのだが……スカサハ本人はやる気満々だ。さて、どうやって断わろうかと考えていたのだが……

 

 

「もしお主が儂の満足のいく力を見せたなら、儂がお主の槍となってやろう」

 

 

「つまりはサーヴァントとして契約して頂けると?」

 

 

「勿論……この槍、この身体、お主の好きにしてくれて構わん」

 

 

「それはつまり……」

 

 

 ―ほぅ……我の目の届かぬ所で女に手を出すか。戻ってきたら覚えておけ―

 

 

 ―アハハハハハ、龍牙も命知らずだね。ギルを怒らせるなんて―

 

 

「!?………きっ……気の所為だよな……うん……アハハハ。

 

 コホン、貴女が味方になってくれるなら心強い。なら一撃だけ付き合いましょう」

 

 残していた手甲が光を放ち、龍の牙(ドラゴ・ファング)を出現させる。

 

 

「彼の有名なスカサハが相手なら気が抜けないか……」

 

 龍牙が構えを取ると、その眼が破壊龍に物へと変化し、全身から凄まじい力が溢れ出した。

 

 

「ッ………面白い!」

 

 スカサハも槍を構えた。

 

 

「「………」」

 

 両者、無言のまま静かな時間が流れる。

 

 

「はあぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

「それぇぇぇぇぇぇ!!!」

 

 両者が駆け出し、剣と槍が衝突した。


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