~燃え盛る街~
「はぁぁぁぁ!」
龍牙は破壊龍の鎧を纏い、
―ぐおおぉぉぉぉぉ!!なんだ、なんだのだ!貴様は?!―
「唯のマスターですけど!」
―おおぉぉぉぉ!!!神であるこの身が人間如きにぃぃぃぃ!―
ネルガルは凄まじい魔力の砲撃を放つ。
「例え威力があろうと、当たらなければどうという事はない(キリッ」
―おのれ!おのれ!おのれぇ!人間に圧されるなど!在ってたまるかぁ!!!―
ネルガルの雄叫びと共に凄まじい衝撃波が放たれる。龍牙はそれを
―邪魔をするなぁ!!!エレシュキガルさえ、取り込めば我が冥界を地獄の様な世界に変え、永遠に人間共の神話として語り継がれるのだ!!!―
龍牙はそれを聞くと目を細める。
「忘れられるか……」
「例えどんな理由があってもそんな事は許さないわよ!」
「えぇい!儂の事を忘れるでないわ!」
エレシュキガルが光の剣を放ち、スカサハは無数のゲイ・ボルグを放つ。
―ぐぅ!ならばぁぁぁ!甦れ、悪しき霊達よ!―
ネルガルの声により、地の底から無数の骸達が地上に蘇える。
「またかよ……」
現れたのはゴースト&スケルトンの大群だった。
「仕方ない………ちょっと疲れるが」
【BREAK!BREAK!】
「『破壊龍よ。死を司る龍よ。苦しみ続ける魂達をその力を持って、彼の者達の魂を輪廻の輪に還せ………【
翼を広げると、全身に黒焔が彼の全身を覆い尽くす。そして
「【
そう呟き、引き金を引く。銃口から放たれる黒い閃光………それは魔法陣を通過するごとに分裂する。
そして1が10に、10が100に、100が1000へと別れ、スケルトンとゴーストの大群を討ち抜いていく。
撃ち抜かれたスケルトンとゴースト達は黒焔に包まれて消滅した。
―ばっ馬鹿な……これが……これが人間の力だと言うのか!?神たる我が力が全く意味を成さないだと!?これは、これではまるで―
龍牙は地面に降り立つと、手甲を残し鎧を消した。
「かつて巨人を思い出すか?まぁいい、もう終わらせよう………ネルガル。お前の時代は終わった…………そして次の代へと紡がれたんだ」
―ふざけるな!まだ私は終わってなどいない!私は……―
「
龍牙は宝物庫を開き、かつて共に居た鎖を呼び出した。
―これは?!逃れられんだと!?―
「スカサハさん………」
「あぁ。魔境、深淵叡智……」
スカサハはスキル・【神殺し(B)】を発動した。そして自身の槍、ゲイ・ボルグを構えると魔力を込めた。すると槍が光り、巨大になる。
「
龍牙はスカサハのゲイ・ボルグに触れ【
「これは……成程、これがお主の力か」
「まぁ……じゃあ、お願いします」
「良かろう……【
放たれた神殺しの槍はネルガルを貫き、黒き龍焔が彼の全身を包み燃やしていく。
―ああぁぁぁぁぁぁっぁ………消える……我が消える―
「お前の事は俺が記憶に刻もう」
―お前が覚えておくと……人間のお前が、神である我を―
「あぁ」
―フッ………フハハハハハ………それはそれで面白い…―
「その焔は魂をあるべき場所へと還すものだ……神であろうと、人であろうと、関係なくな」
―ふっ………あぁ……心地良い……神の悪意たる我がこんなにも安らかな気持ちで消えれるとはな―
「お休み……偉大な神・ネルガル」
ネルガル神の悪意である筈の彼は……最後の最後で安らかな表情となり消滅した。
ネルガルが取り込んでいた聖杯を回収し、封印を施した龍牙。
「これで終わりか……さて」
龍牙はエレシュキガルの方を向く。
「なっなによ…」
「いや、別に………それよりもその姿」
「あぁ……イシュタルの奴が今のウルクに呼び出されたのよ。アイツ、依代で呼ばれたから、その影響ね」
「エミヤが見たら、胃潰瘍になりそうな話だな」
「?………そういや、貴方。お父さま達に追放されたんじゃなかのったの?」
「されたよ。追放されたのは遥か未来でね」
「あぁ……成程」
龍牙の一言で彼女は納得した様だ。
「取り敢えずこの聖杯は俺が回収させて貰うよ。君は戻るかい?」
「えぇ………やっと地上に出れたとは言え、このままにはしておけないもの。私が戻れば、この穴も綺麗に戻るわ」
「そりゃ残念だ……折角、再会できたのに」
「えっ……あっ……わっ私だって残念だと思ってるし……(ごにょごにょ」
「まぁ……また会えるさ」
「べっ別に私は……」
と言いつつも、顔がにやけているエレシュキガル。
「あっそうだ………まぁ、無いとは思うがギルに会う事が在ったら『 』って伝えておいてくれ」
「……分かったわ。貴方も無理するんじゃないわよ……貴方の力、無償ではないんでしょ?」
エレシュキガルがそう言うと、龍牙は笑みを浮かべる。
「そう………じゃあ、またね」
エレシュキガルは彼を見ると、冥界へと続く穴へと飛び込んだ。すると、穴は閉じた。
「聖杯を回収した。取り敢えずどうにか戻るか」
「まぁ、待て」
どうやって戻ろうかと考えている龍牙をスカサハは止めた。彼女は満面の笑みを浮かべている。
「ぁ~………(凄く嫌な予感がする)」
「お主の力、しかとこの眼で見たぞ」
「ハハハ……俺の力なんて微々たる物ですよ。さて、どうやって帰ろうかな」
「待て………少し儂と殺り合っていけ。あの力、神殺し……いやそれ以上の力と見た。あの力なら儂を殺せるかもしれん」
「アハハハ、やっぱり……そう来たか。でも今は人理を護るのが優先で」
「なに、最後までせよとは言わんよ。一撃でよい、それでお主の力も分かる」
「俺も疲れてるんだけどなぁ」
何としてでも彼女との戦いは避けたい龍牙なのだが……スカサハ本人はやる気満々だ。さて、どうやって断わろうかと考えていたのだが……
「もしお主が儂の満足のいく力を見せたなら、儂がお主の槍となってやろう」
「つまりはサーヴァントとして契約して頂けると?」
「勿論……この槍、この身体、お主の好きにしてくれて構わん」
「それはつまり……」
―ほぅ……我の目の届かぬ所で女に手を出すか。戻ってきたら覚えておけ―
―アハハハハハ、龍牙も命知らずだね。ギルを怒らせるなんて―
「!?………きっ……気の所為だよな……うん……アハハハ。
コホン、貴女が味方になってくれるなら心強い。なら一撃だけ付き合いましょう」
残していた手甲が光を放ち、
「彼の有名なスカサハが相手なら気が抜けないか……」
龍牙が構えを取ると、その眼が破壊龍に物へと変化し、全身から凄まじい力が溢れ出した。
「ッ………面白い!」
スカサハも槍を構えた。
「「………」」
両者、無言のまま静かな時間が流れる。
「はあぁぁぁぁぁぁ!!!」
「それぇぇぇぇぇぇ!!!」
両者が駆け出し、剣と槍が衝突した。