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そこに広がるのは黄金劇場。ネロ・クラウディウスの心に描いた黄金劇場を具現化した大魔術である。
「これは………」
「これが黄金劇場か……創造龍よ、その力を我が身に纏う鎧と化せ!」
【
龍牙は黄金劇場を見廻すと、創造龍の鎧を展開する。
「なっ!なんだその鎧は先程の物とは大違いではないか!それに……良い!とても良い!」
「それはどうも………アルテラ、夢は此処で終わらせよう。唯の破壊しかない悪夢は」
龍牙は腰の
「終わるのは私ではない……お前だ!」
アルテラは龍牙に向かい、剣を振るう。彼女の剣は鞭の様に伸び龍牙へと向かう。
「フン!流石に強い……だが!」
「うりゃあぁぁぁぁぁ!!!」
「はあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
龍牙とアルテラが剣を交える。龍牙の
だがこの黄金劇場はネロの魔力により構成されている為、彼女の魔力さえあれば直ぐに修復される。
「龍牙よ!余はこれの維持に集中せねばならん!それに壊され続ければ長い時間は維持できぬぞ!」
「了解!」
ネロは凄まじい魔力を持っているとは言え、生身の人間だ。この黄金劇場を維持する為には莫大な魔力を消費続けている。龍牙はそれ聞き、短時間で勝負を決める事にした。
「はあぁぁぁぁ!!!」
「なっ……何故だ……何故、お前の攻撃が私に当たる?」
アルテラは困惑していた。剣を交える度に龍牙の剣の早さが上がって行くのだ、やがて彼の剣の早さに追い付けなくなり始めていた。
「【筋力強化】【加速】【細胞活性】」
その理由は、龍牙が自分自身を魔力操作によりブーストを掛けていたからだ。生命が自身を護る為のリミッターも強制的に解除し、魔力で筋力・神経伝達速度・肉体治癒を行っていた。
「隙あり!」
動揺していた彼女の隙を突き、彼女に一撃を与えた。
「ぐっ……損傷、拡大。これ以上は危険」
「もう夢は終わりだ」
「終わらない……私はまだ」
アルテラの脳裏に草原が浮かぶ、それをきっかけに色々な物が彼女の頭に浮かび始めた。
「終わらない……終わるのはお前だ!」
アルテラの持つ剣が七色の魔力と共にゆっくりと回転を始めた。
「いいだろう……来い!」
龍牙が
「【
放たれた七色の破壊の光が龍牙に向けて放たれる。
「混沌たる世界を我が力にて鎮めん」
【
「うおぉぉぉぉぉ!」
文明を破壊する宝具・
始めは拮抗していた七色の破壊の光は、龍牙の大剣のオレンジ色の光に徐々に押され始める。
「なっ何故だ?何故、破壊されない?何故、私が押されている?」
あらゆる物を破壊する自分の剣を真正面から受け止め、押し返す龍牙を見て驚きを隠せないアルテラ。この瞬間、彼女は隙が出来た。
「ネロ陛下!」
「漸く、余の見せ場だな!」
ネロは劇場の維持を一時止め、剣を構えアルテラに向かい駆け出した。
「【
ネロの剣技が繰り出される。アルテラは宝具使用中の為、身動きが出来ずその直撃を受けてしまい、宙へと打ち上げられる。
龍牙はそれを見て、翼を広げアルテラより高い位置へ飛び上がった。そして、
「これで終わりだ……お休み、アルテラ」
龍牙は静かにそう言うと、その銃口に凄まじい魔力を収束させた。
「【
神をも殺す龍の息吹が放たれアルテラを包み込んだ。その瞬間、彼の翼の緑色の宝玉が光を放つ。
アルテラは龍牙の魔力の奔流の中で見た。一面に広がる花畑を。
「ぁ……あぁ……これで夢は……醒めるのか。少し残念だ……もう少しこの光景を……み……て」
最後に彼女が見たのは、
龍牙はせめて最後に彼女に世界の美しさを見せてやりたいと思い見せたものだった。
彼女はそれを見ると普通の少女が見せる笑みを浮かばて消滅した。
「お休み……アルテラ。因果が交差する機会があれば、また会おう」
龍牙は地面に降り、鎧を消すとそう呟いた。そして、彼は先にアルテラに取り込まれていた聖杯を回収する。
ネロの黄金劇場が解除され、元の荒野へと戻る。
「終わった……のか?」
「えぇ……終わりですよ、ネロ陛下」
「そうか!そうか!皆の者!良くやった!」
「さて……もう始まったか」
龍牙は自分の体の違和感を感じ、直ぐに立香達の元へ向かう。
「藤丸くん」
「むっ無皇さん」
立香に声をかけた龍牙。立香のサーヴァント達は龍牙の事を警戒しそれぞれ武器を構える。
「そう警戒しないでほしい。俺は唯、聖杯を渡しに来ただけだから」
そう言って龍牙は聖杯を差し出した。マシュはそれを見ると少し警戒しながら彼から聖杯を受け取る。
「聖杯……回収しました。マスター、これでこの特異点は修復完了です」
「あぁ……」
マシュからそう聞いた立香は返事を返すと龍牙を見る。
彼は何も言わずに、立香達から離れると自分のサーヴァント達の元へ向かう。
「無皇さん!」
龍牙は何も言わずに止まる。
「お願いです……貴方の事、教えて下さい。貴方はこれまでずっと俺達を助けてくれた。だから信じたい……でも」
事情を知らない龍化の力を見たサーヴァント達は完全に龍牙を世界を滅ぼす可能性のある存在だと見ていたから、力の事を、龍牙自身の事を聞きたいと考える立香。
「まだ……その時じゃない」
龍牙はそれだけ言うと、段々と光に包まれ始めた。彼のサーヴァント達も同様にだ。
「また……何処かに引っ張られている。母よ、少しは休ませてくれてもいいと思うのだが……まぁ仕方ないか」
龍牙はそう言うと、サーヴァント達と共にその場から消えた。
それに驚く立香達だが、自分達もレイシフトが始まっている事に気づいた。
龍牙に疑いが掛かり、すっきりとしない終わりであったが、これにて、第2特異点セプテムは修復されたのであった。
漸く、セプテム終った。
次回はあの人が出ます。
ヒント?
では、あるサーヴァントの証言をお聞き下さい。
サーヴァントA(全身タイツの槍使い)
「あっ?あの人がどんな人間か……。
フム……強いな。俺等の時代じゃ敵なしって感じだったけど……まぁ若作りはし過ぎだけどな!
何せいい年齢して、若い俺達に混じってたんだからな。もう少し年齢を考えr「我が愛弟子よ、誰が年寄りなのだ?詳しく教えて欲しいものだ……勿論、槍を交えながら」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ!」
翌日、サーヴァントAは串刺しになって発見されました。