~王宮 玉座の間~
「ハアァァァァァ!」
「ぐっ………見事……見事だ、ネロ……愛し子よ。良くぞ
立香やマシュ、サーヴァント達の協力で、ネロの一撃がロムルスを貫いた。そしてロムルスはネロを讃える。
彼自身、人類の滅びを良しとしていない。サーヴァントという立場上、やむなく従っていただけのこと。その気になれば自害も出来ただろうがロムルス自身、ネロを見定める為に戦っていた。
「レフ教授!勝負はつきました!」
この場にいるのは、レフ・ライノール……特異点Fにてカルデアを裏切った人間……。
「いやはや、ロムルスを倒し切るとは。デミ・サーヴァントや寄せ集め
冬木で見た時よりも成長した様だな。やはりあの場で殺しておくべきだったか……いやそれよりも奴はどこだ?!私をコケにした、あの人間は!!!」
どうやら、龍牙にやられたことを根にもっている様だ。
『此処に居る』
扉を破り入ってきたのは、龍牙とそのサーヴァント達だった。
「無皇……龍牙ァァァ!」
レフは龍牙を視界に入れると、激昂する。
「やっとだ……やっとこの時が来た。あの時、この私の顔に泥を塗った貴様を殺す事が出来る」
龍牙はそれを黙って聞いていた。
「させません!先輩達は私が護ります!」
「フン、デミ・サーヴァント風情が………まぁいい。
所詮、貴様等ではどうにもならない結末は確定している。人間など、無能で存在する意味などないのだからな!」
そう言うと、彼は黄金の杯……聖杯を取り出した。先の特異点でジル・ド・レェが持っていた物と同じ物だろう。
「ならば、哀れに消え行く貴様等に、我等が王の寵愛を見せてやる!」
そして、レフは聖杯を取り込み、醜悪な笑みを浮かべると彼の姿が変貌し始めた。
天井を貫く地に突き立つ巨大な醜い肉の柱……その体表は黒く、無数の赤い目玉が連なっている。
「なっなんだ、この怪物は……醜い!この世のどんな怪物よりも醜いぞ、貴様は!」
ネロがそう言い、他のメンバー達も目の前に現れた異形に警戒する。
『この反応はサーヴァントでもない、幻想種でもない!伝説上の本当の【悪魔】の反応なのか!?』
ドクターロマンが通信で、変異したレフについて言い放つ。
《全く優秀だなロマニ・アーキマン!それでは改めて自己紹介しよう!
我が名はレフ・ライノール・フラウロス!七十二柱の魔神の一柱!魔神フラウロス!
これが王の寵愛そのものだ!思い知れェェェ!》
変貌したレフ……魔神柱フラウロスの複数の眼がギョロリと動き、光ると怪光線が放たれた。
それに反応したマシュやサーヴァント達はマスター達を護る為に防御に回った。立香はマシュに守られ、龍牙はジャンヌにより護られた。
《フハハハハハハハハハ!!!これこそ、我が王の力の一端だ!》
「あぁ、そう……」
龍牙はジャンヌに下がる様に伝える。始めは自分達が戦うと言おうとしたが、パスを通ってくる魔力の変化に気付く。そして龍牙の眼が鈍い光を放っていたのを見て下がる。
《死ねぇぇぇぇぇぇぇ!無皇 龍牙!!》
龍牙に向けて、放たれる怪光線。光線は龍牙を包み込む。それを見て、立香達は叫ぶ。
「無皇先輩!!!」
だが、光線が掻き消えその場に
そして、静かに龍牙は魔神柱を見ていた。