俺のFateな話   作:始まりの0

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EP41 女神の島へ逝こう

 龍牙達はローマ軍の元へ赴き、立香達の事を聞くことにした。

 

 始めこそ、警戒されていたが、皇帝の元に連れていかれ立香達の知り合いだと歓迎された。

 

 

「カルデアの勇者よ、良く来た!そなたの事は立香やマシュ達から聞いているぞ!」

 

 

「光栄です、ネロ陛下……それで彼等は?」

 

 

「ブーティカやスパルタクスの元に行っておる。そなたが望むなら案内させるが?」

 

 

「いぇ……彼等が此方に戻るまで待たせて頂きます。その間に情報が欲しいのですが」

 

 

「ウム」

 

 龍牙達の目の前に居る少女こそ、第5代ローマ皇帝、ネロ・クラウディウス・カエサル・アウグストゥス・ゲルマニクスである。

 

 咬みそうな程長い名前だ。彼女こそ後世に暴君と呼ばれる皇帝だ。

 

 彼女の生涯・思いを知る龍牙は思うところがあるが、今は人理修復が優先だ。気持ちを入れ換えてネロから情報を聞いていた。

 

 

 情報を整理すると、どうやらDE……カエサルを倒してガリアを取り戻したらしい。現在はその帰路で【古き神がいる島】へと向かう話をしていた所だそうだ。

 

 余談だが、ブーティカさんの母性の象徴とあのエロい服装を見ていてジャンヌ達に抓られてしまった。

 

 後、スパルタクスはバーサーカーらしい発言だったけど、同朋と認めてくれたらしい。それに清姫やランスロット、と会話をしたのだが………一番、ランスロットが話し易かったよ。

 

 エリザベート?はてなんの事だろう………藤丸君達の話によると、レイシフトした場所がズレたらしいので一緒ではないらしい。心の底からよかったと思う………まぁ恐らく直ぐに会う事になるだろうがね。

 

 

 

 

 

 

 ~移動中~

 

 

「ぎゃあぁぁぁぁ!!!!」

 

 

「ぎょぇぇぇぇぇ!!!!」

 

 

「あばばばばば!!」

 

 

「ちょw浮いて、ドリフト!?」

 

 ネロ陛下が操舵する舟に乗った一同なのだが、絶叫マシン宜しく凄まじい操舵だった為に島に着く頃には皆が顔を青くしていていた。

 

 

 

 

 

 

 

 ~噂の島~

 

 

「うっ…………」

 

 

「おぇ……うぷっ」

 

 

「…………」

 

 サーヴァント達は特に三半規管が強化されているのでそうでもないが、ネロ以外の生身の人間……龍牙、立香、ネロ以外の護衛の兵士達は着くなり地面に膝を付いた。

 

 

『ぁ~立香くん、龍牙くん、バイタルが凄く不安定になっているけど大丈夫かな?流石はネロ陛下の操舵だね……浮いたり、ドリフトターンしたり………僕なら耐えれないかな』

 

 ドクターロマンがそう通信を入れてきた。

 

 

「だっ大丈夫です……」

 

 

「こっこれくらい……あいつらにヴィマーナで引きずり回された事に比べれば……うぷっ」

 

 

『えっとご苦労様……でも休んでいる暇はなさそうだ、サーヴァント反応だ、気を付けて』

 

 そうドクターが言うと、島の奥の方からサーヴァントがやって来た。

 

 

『ん?なんだ、この数値……普通のサーヴァントとは違う?』

 

 

「えぇ、そうよ。ふつうのサーヴァントではないわ」

 

 そして現れたのは唯のサーヴァントではなく、その姿からまさに()()という言葉が相応しい可憐な少女だ。龍牙は彼女の正体を知っていた。

 

 

「御機嫌よう、勇者の皆さま。当代における私のささやかな仮住まい、()()()()()へようこそ。

 

 あら、あら、どんな立派な勇者が到来したのかと思ったのだけど……サーヴァントが……混じって……」

 

 女神は龍牙の姿を視界に捉えると驚いた様な表情をしている。

 

 

「この感じ……」

 

 マシュはデミ・サーヴァントになった影響からか彼女から感じる神性に驚いていた。

 

 

「貴方……面白いわね。その身に宿るのは原初の力かしら?でももう1つあの巨人(セファール)を思い起こさせる破滅の力………それにその洗練された魂。まるで大神が手ずから創り出した宝物みたいね………数々の英雄と呼ばれる人間を見て来たけど貴方の様な存在は初めてよ」

 

 

「それは光栄です、女神ステンノ………でもあまり()を見るのはお勧めしないな。特に真性の神である貴方では逆に喰われかねませんよ?」

 

 

「私、名前を言った覚えはないのですけど………でも忠告は聞いておくわ。その力、私達()を殺す物ね。あまり深入りすると本当に食べられてしまいそう」

 

 ステンノの言葉に牛若丸達以外が反応するが、龍牙が話を進める様に言い、ステンノが立香やネロに試練を出した。洞窟の中の宝物を取ってくると言うものだ。

 

 龍牙はそれを断わり、外で待つ事にした。

 

 理由はこうだ「外に敵が来るかもしれない(面倒な事になるだけだから)、外で待機してるよ」だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~海岸~

 

 立香やマシュ達が洞窟に入っている最中、龍牙は砂浜に座り海を見ていた。

 

 

「ぁ~静かだなぁ~………」

 

 

「龍牙と言ったかしら、貴方はどうして入らなかったの?」

 

 

「きっとろくな事にならないからですよ、女神様………それにそろそろ、来る頃ですしね」

 

 龍牙がそう言うと、ルーラーの力を持つジャンヌが何かを感じたのか旗を構える。

 

 

 「余、の、!」

 

 それは海から現れた。

 

 

「余の……!ふるまい、は、運命、で、ある!!

 

 捧げよ!その身体!

 

 捧げよ!その命!」

 

 現れたのは狂戦士のクラスを持つカリギュラ。暴虐の伝説を持つ古代ローマの三代目皇帝であり、ネロの叔父にあたる存在だ。

 

 彼もまたこの時代に召喚された連合ローマ帝国の皇帝の1人だ。

 

 

「なんとなく感じていたけど、やっぱ予定より早く来たか……俺と言うイレギュラーの影響か?まぁいい、彼女(ネロ)とアンタを倒させるのは俺としても心が痛む……暴虐無人なアンタでも姪の彼女(ネロ)には優しい叔父だった。だから俺がアンタを倒す……っと死霊系のエネミーまで居やがる。ジャンヌ、邪ルタ、信長!敵を各個撃破だ!」

 

 

「はい!」

 

 

「いいわよ」

 

 

「よかろう!」

 

 ジャンヌ達、3人はエネミーを撃破する為に散って行く。

 

 

「牛若、沖田、相手はバーサーカーだ……狂化されてる分、頑丈で馬鹿力……気を付けろよ」

 

 

「「はい!」」

 

 

「おぉぉぉぉ……我が妹の子……ネロはどこだ?」

 

 

「ネロ陛下なら洞窟の中だ。でも行かせないよ……牛若、沖田、交互に攻撃!」

 

 

「「承知!」」

 

 沖田が先に駆け出し、カリギュラに斬り掛かる。

 

 

「ぬぅ!」

 

 カリギュラは襲い掛かって来た刃を素手で払いのけ、拳で沖田に殴りかかる。しかし沖田は俊敏さでそれを避けた。その隙をついて牛若丸がカリギュラに斬り掛かる。

 

 カリギュラは狂化により身体能力を上げている分、理性は低く、攻撃も大振りだ。剣技と速さを主体とする戦い方の2人………攻撃が当たらなければどうという事はないのだ。

 

 牛若丸と沖田には自分の攻撃は当たらず、2人の攻撃は確実に自分を傷付けていく。

 

 

「おぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

 

 カリギュラは咆哮すると、2人を振り払った。

 

 

「ぐぅぅぅ……」

 

 

「流石は狂戦士………そう簡単にはとらせてくれないか」

 

 狂戦士(バーサーカー)のクラスを与えられたサーヴァントは理性を封じられ、狂化によりステータスを上げる。カリギュラも狂戦士(バーサーカー)のクラスを与えられている。知名度の高い牛若丸と沖田でも、無理に突っ込めば手傷を負う可能性もある。

 

 

「『魔力・強化……筋力向上………矢への魔力収束、完了』牛若丸!沖田!」

 

 龍牙はエンキを弓矢に変形させ、魔力により筋力を向上させ、更に魔力を矢へと収束させる。声を聴いた牛若丸と沖田は左右に別れる。その瞬間、龍牙は矢を放った。矢は凄まじいスピードでカリギュラの膝を貫いた。

 

 

「ぐおぉぉぉぉぉ!?」

 

 

「2人とも!止めだ!」

 

 

「「承知!」」

 

 牛若丸と沖田は駆け出した。先に牛若丸が、カリギュラとすれ違い様に彼の身体に斬撃を放った。そして沖田がカリギュラの懐に入りその霊核を貫いた。

 

 

「ぉぉぉぉぉぉぉぉぉおおおお!!」

 

 カリギュラは霊核を貫かれ、既に消滅し始めていた。

 

 

「なっ何事だ!?おっ叔父上!?」

 

 カリギュラの咆哮を聞いた立香とネロ達は洞窟から出てきた。そして何が在ったのか、理解した様だ。

 

 

「ぉぉぉぉぉぉぉ……ネロ……我が愛しい妹の子……お前は美しい………」

 

 カリギュラはネロの姿を捉えると、そう言い放ち、手を伸ばす。

 

 

「月の、女神……より、も…聖杯の……輝き、より、も…だ……」

 

 そうしてカリギュラは完全に消滅した。

 

 

「叔父上……敵将カリギュラ、打ち取った。見事な働きであった。礼を言うぞ、龍牙、そしてそのサーヴァント達よ」

 

 

「この程度、問題ない……ジャンヌ達も無事か?」

 

 

「はい、この程度問題ありません」

 

 

「当然よ、あんな雑魚相手にどうこうなるほど弱くないわよ」

 

 

「ウム」

 

 一先ず、戦闘が終了した事で武装を解除した龍牙。

 

 

「アレが子イヌの言っていたマスターね……正直言うと、子イヌの方が可愛い顔をしてるわね」

 

 

「ナハハハハハ!キャットはどちらかというと、向こうの方が好みだぞ?」

 

 皆が声のした方向を見ると、エリザベート(自称・アイドル)(理性がありそうにないサーヴァント)がいた。

 

 

「先輩!!戦闘準備します!」

 

 

「ウム、その方が良さそうだ」

 

 

「ぁ~賛成」

 

 マシュ、エミヤ、クーフーリン(術)が戦闘準備を始めた。

 

 

「ちょw落ち着いて!アレはエリザベートだ」

 

 

「わっ分かっています……分かっているのですが」

 

 

「酷くない?!」

 

 

 ―藤丸君の話を聞いたのだが……やっぱロクでもない事になってなかったので洞窟に入らなくて正解だったと思う。

 

 一先ず、エリザベート、タマモキャット、ステンノが仲間になったのは言うまでもないが……帰りもあの船に乗ると考えると……うっぷ。

 

 取り敢えず、敵を蹴散らしながらローマに戻ってきた。ネロに部屋を用意していた貰ったのでゆっくり休むとしよう―

 

 

 

 

 

 

 

 ~???~

 

 龍牙は純白と漆黒、2つの色に染まった世界で目を覚ます。

 

 

 ―ぁあ……蠢いている―

 

 

 ―歴史を蝕む者達が―

 

 龍牙の眼の前に現れたのは2体の龍……己の中にいる無より産まれた創造龍と破壊龍。

 

 

「魔神柱か……」

 

 

 ―それだけではないのです……王よ―

 

 

 ―原初の存在も動き始めている―

 

 創造龍と破壊龍は龍牙に対して言い放った。

 

 

「原初の存在……なんだそれは?」

 

 

 ―それは王の自身の眼で確認するといいでしょう―

 

 

 ―アレは王と関わりの深い時代にいる……近付けばやがて接触することになる―

 

 

 ―しかしアレは悲しい存在です……願わくば我等を救った様に貴方が()()を救ってくれる事を願います―

 

 2体の龍はそう言い龍牙を見降ろしている。

 

 

「相変わらず良く分からん事を……お前等は何時もそうだ、重要な事は言わない。まぁいいさ………俺は俺のすべき事をするのみ」

 

 

 ―我等が王よ、我等の力は貴方の想うがままに使えばいいのです―

 

 

 ―それがどういう結果であれ、何かに繋がる事になるだろう―

 

 

「何せよ【アレ】を使う様な状況にならなきゃいいが……万が一の場合は使う。いいよな?」

 

 龍牙がそう言うと、それに龍達が頷き、世界は白と黒に包まれた。


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