俺のFateな話   作:始まりの0

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7月6日サブタイトル変更しました。


EP32 オルレアンへ進軍

 ~オルレアン~

 

 無数のワイバーン、無数の海魔、狂化を施されたサーヴァント達……キャスターのジル・ド・レェ……そして竜の魔女ジャンヌ・ダルク・オルタ。そして最大の敵……邪竜ファヴニール。

 

 それに対して、立香達はマシュ、エミヤ、クーフーリン、ダレイオス、マリー、清姫、エリザベート、アマデウス、ジャンヌ、牛若丸……そして対ファヴニールに呪いの解けたジークフリート。

 

 数では圧倒的に魔女側が有利だ……真面に正面から戦い数で押されれば、如何に英霊たちと言えどやられてしまう。

 

 だが今回は龍牙(イレギュラー)がいる。そんな彼がたてた作戦は……

 

 

「あっあの……なんで戦場(こんな所)で電車ゴッコしてるんですか?!」

 

 

「藤丸君、静かに……此奴は姿は隠せても声は消せないから(ボソッ」

 

 立香はそう言われると、慌てて口を押えた。

 

 彼等は何をしているのかと言うと、布を持って敵のど真ん中を歩いていた。それは子供達がする電車ゴッコの様だった。

 

 因みに此処に居るのは、龍牙、牛若丸、ジャンヌ、立香、マシュ、清姫、エリザベートの7人だった。

 

 

「この布はどう見ても神秘の塊、龍牙先輩はどうしてこんな物を持っているのですか?(ボソッ」

 

 

「さぁ、分からないけど……敵に見つからずに此処までこれたんだし(ボソッ」

 

 

(流石は【ハデスの隠れ兜】……ステルス性は抜群だ。よくこれで、ギルやエルキドゥにイタズラされたっけ……おっと懐かしんでいる場合じゃないか)

 

 今回の作戦は龍牙が宝物庫から取り出した宝具【ハデスの隠れ兜】を使い、7人は敵の大群の中へと進行する。残りのメンバーは現フランス軍の方へ合流し、開戦の合図を待っていた。

 

 

「この辺りでいいか……皆は此処で待機していてくれ。ドデカい一撃をかますから」

 

 龍牙はハデスの隠れ兜から出ると、破壊龍の仮面を出現させた。

 

【破壊龍:龍鎧化(ARMOR DRIVE)

 

 そして、破壊龍の鎧を纏うと空へと翔け昇る。ワイバーンよりも高い高度までいくと彼は地上を見降ろした。

 

 

「さて開戦の花火だ!」

 

壊す(BREAK)壊す(BREAK)壊す(BREAK)壊す(BREAK)壊す(BREAK)!】

 

 鎧から【壊す(BREAK)】と言う音声と共に、龍牙の手の禍々しい力が収束していく。

 

 

「『破壊の力よ、槍となりて我が敵へ降り注げ』」

 

 龍牙が収束した力を左手で握ると、槍へと変化した。龍牙に気付いたワイバーン達は彼に向かい突撃を開始する。

 

 

「遅い!破壊の力、受けるがいい!!」

 

破壊龍の槍(SPEAR THE NOVA)

 

 龍牙は破壊の槍を地上に居る敵軍に向かい投擲する。すると破壊の槍が光り始め、無数に分裂を始めると意志があるかの様にワイバーンと海魔へと向かう。

 

 ワイバーン達は回避しようとするが、追尾機能がついているのかワイバーン達を追い掛けている。海魔達もそれに追い掛けられ、槍に串刺しにされた。槍に貫かれたワイバーンや海魔達は悲鳴を上げる間もなく、黒い光となって消滅してしまった。

 

 

「ふぃ~……これをすると疲れるんだよな。ぁあ~……まぁワイバーンや海魔は殆ど倒したし、後はサーヴァントか」

 

 龍牙は溜息を吐きながら、頭部の鎧を解除し立香達の元へと戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その光景を見ていた立香やジャンヌ達は唖然としていた。

 

 

「そ……そんな」

 

 

「ぁ~……疲れた。流石にあんだけの数を一気に破壊すると目が痛い」

 

 

「りゅ…龍牙先輩、今のは一体……」

 

 

「この声はマシュ……ぇえ~とこの辺か」

 

 何もない空間に手を伸ばし、何かを掴むと引っ張った。どうやらハデスの隠れ兜を掴んだ様で、それを引っ張った様だ。

 

 

「盛大にやったけど怪我はないか?」

 

 

「はっはい……ですが、その姿は?」

 

 

「そうよ、何よ!その姿は!?」

 

 破壊龍の鎧を見た事ないジャンヌやエリザベートが龍牙に詰め寄る。

 

 

「ぁあ……ジャンヌ達はこれを見るのは初めてか、此奴は破壊龍を鎧化した物……創造龍と対なす鎧だ。そんで今の攻撃は、破壊の力を槍へと変えて放つ。放った槍は俺の意志で操れるんだけど……これがまた疲れるんで、今の俺だと1日に1回が限界」

 

 先程の技【破壊龍の槍(SPEAR THE NOVA)】は、破壊の力を槍へと変え、それを放つ技だがかなり使っている本人はかなり疲れるらしく1日に1回しか使えないらしい。

 

 

「さてと……マシュ、ジャンヌ、牛若丸。此処から先はサーヴァントがいるみたいだから気を付けてくれ」

 

 龍牙は鎧を解除すると、ハデスの隠れ兜を消した。その代わりに、エンキを呼び出し装備する。

 

 マシュ達は聞きたい事が山積みだが、龍牙から放たれる殺気を感じ此処が戦場であると再認識して、先へと進み出した。

 

 少し進むと、そこには強化を施された黒騎士、狩人がいた。

 

 

「殺す!コロス!コロス!!」

 

 

「Aaaaaaa――!!!」

 

 どうやら黒騎士達は戦闘する気満々の様だ。

 

 

「湖の騎士と純血の狩人……狂化されているか。痛々しいな」

 

 

「Arrrrrthurrrrr!!!」

 

 黒騎士はジャンヌを見た途端に襲い掛かった。いきなりの事だったが、マシュが直ぐに反応して盾で黒騎士の攻撃を防ぐ。

 

 

「やっぱジャンヌとアーサー王が似てるから襲い掛かってきたか……」

 

 

「どっどう言う事ですか!?」

 

 マシュは龍牙の呟きにそう聞いた。

 

 

「アイツの真名はランスロット……円卓最強の騎士であり、誰よりもアーサー王を敬愛した。だが裁かれる事がなかった為に苦悩し狂戦士に身を落とした存在だ。ジャンヌとアーサー王……アルトリアの魂が似てる。だから襲ってきたんだろうさ」

 

 

「どうしてそんなに詳しいんですか?!くっ!はあぁぁぁぁ!」

 

 会話しながらも攻撃を防いでいるマシュ……一瞬の隙をついて、彼女は盾でランスロットを押し返す。

 

 

「藤丸君、マシュ達に指示を……俺は狩人の方を相手するから。牛若、行くぞ」

 

 

「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やぁ、初めましてアタランテ」

 

 

「汝、何故我の名を知っている!?」

 

 

「さてね……狂化されてさぞ、悔しかろう。だが安心しろ、直ぐに解放してやる」

 

 

「ぐぅぅぅ……コロス!コロス!コロス!あのルーラーも貴様も全部!」

 

 どうやらジャンヌ・オルタの狂化の所為で自分でも衝動を抑えきれずにいる。

 

 

「(ジャンヌを目の敵にしている。ぁあ、そう言うのもあったか)牛若、彼女の矢は早い、俺も手伝うから上手く躱せ!」

 

 

「承知!」

 

 牛若丸は龍牙の指示により飛び出した。

 

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 牛若丸はその俊敏性を活かしてアタランテの懐に入ろうとするが、相手は神話に出てくる狩人だ。

 

 

「でやあぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 そう簡単に懐を許す訳もない。常人が追いつけぬ速さで移動して矢を連射し、牛若丸の接近を阻む。

 

 龍牙はその様子を見ながら、次にどうするかを考えていた。

 

 

(さっき破壊の力を使ったから、後数十分は鎧も宝物庫も使えない………ならば使える力で戦うまで)

 

 

「牛若!いっきに決めろ!」

 

 

「はい!【壇ノ浦・八艘跳】」

 

 牛若丸の宝具・【壇ノ浦・八艘跳】……凄まじい跳躍力で敵に接近し一撃を放つ。だがアタランテも易々とそれを決めさせる訳がない。

 

 

「『二大神に奉る……【訴状の矢文(ポイボス・カタストロフェ)】!』」

 

 アタランテの宝具……『弓に矢を番え、放つと言う術理』そのものが具現化したもの。太陽神と月女神に加護を訴え、それに答えた神々は敵へと光の矢を降らせる。

 

 それは非常に広範囲への攻撃で、対軍宝具に分類される。それが牛若丸を倒す為だけに放たれた。

 

 跳躍を始めた牛若丸に光の矢が雨の様に降り注ぐ。

 

 

「広域殲滅……しかし!」

 

 龍牙は魔力を筋力強化に回し、エンキを弓状態にして矢を番えた。そして矢に魔力を収束させ、最大限の力で放つ。

 

 その矢はアタランテに当たらずに、彼女の上を通り何処かへと飛んでいく。

 

 

「何処をねらっ……まさか?!」

 

 アタランテは矢が来た方向を見た。最大の力と魔力が収束した矢により、光の矢が弾かれ、真っ直ぐと自分に向かう道が出来ていた。

 

 龍の力を使わぬ、龍牙だけの力で放たれた一撃は一瞬だけ、アタランテへの道を開いた。

 

 だがその一瞬だけで十分だった。龍牙が開いた道を通り八回跳んだ牛若丸がアタランテへと迫っていた。アタランテは直ぐに避けようとするが、既に時は遅い。

 

 

「がっ?!」

 

 一閃の元に狩人は斬り伏せられた。

 

 

「……ふっ……これで終わりか」

 

 

「ぁあ、そうだよ。アタランテ……終わりだ」

 

 

「そうか……やっと終われるのだな。これでいい……これで………礼を言う、見知らぬ人間よ」

 

 アタランテはそう言うと、光の粒子となって消えて行った。

 

 

「ふぅ……ご苦労様。牛若」

 

 

「はい、主殿。大丈夫ですか、御顔の色が」

 

 そう言われると、龍牙はその場に膝を付いた。

 

 

「封印状態の俺じゃこれが精一杯か…………俺の破壊って言うのはその物質や存在ごと消し去ることだ。1つの存在を消すって言うのは俺もそれなりの対価を払う、本来なら俺の力を代償にどうにでもなるけどね………流石に数が多すぎた……ふぅ」

 

 龍牙はそう言うと、その場に座り込んだ。

 

 

「俺の方は少し休めば回復するよ………さてと」

 

 龍牙は立香の方を見る。

 

 立香とマシュやジャンヌ達がランスロット(狂)と戦っていた。

 

 経験は浅いが的確に指示を出している立香。マシュ、ジャンヌ、エリザベート、清姫に指示を出しランスロット(狂)といい勝負をしていた。だが相手は理性を封じ狂化された戦士……しかもアーサー王の円卓騎士最強と言われるランスロット卿だ。

 

 

「流石は円卓最強……今のマシュ達じゃ少しキツイか」

 

 マシュ、ジャンヌ、エリザベート、清姫……4人のサーヴァント……しかしランスロット(狂)……最強の騎士が相手だ、時間と共に此方が追い詰められるのは言うまでもない。

 

 龍牙はそれを良く知っていた。彼の騎士の宝具がなんなのかを。

 

 

「Aaaaaaa!!!」

 

 ランスロット(狂)の魔力が高まり始めた。

 

 ランスロットの宝具……騎士は徒手にて死せず(ナイト・オブ・オーナー)………彼が武器として認識できるものであれば、どんな武器・兵器であろうとDランク相当の擬似宝具として、自分の支配下に置く。それが相手の宝具だろうともだ。

 

 そして何処からともなく、ガトリング砲が落ちてきた。それをランスロット(狂)が宝具と化す。

 

 

「Arrrrrthurrrrr!!!」

 

 ガトリング砲の銃身が回転を始めた。それを見て、立香達は身構えた。これから起きる事は容易く想像できるからだ。

 

 今からではマシュやジャンヌの宝具は間に合わない。普通ならば数秒後には彼等は蜂の巣になるだろう。

 

 

「ッ!先輩!私の後ろに!」

 

 サーヴァント達が立香を護る為に彼の前に移動した。

 

 

「Aaaa……」

 

 だがそのガトリングが放たれる事はなかった。何故か分からないが、ランスロット(狂)はガトリングを撃たなかった。

 

 

「Ga…la……d」

 

 ランスロット(狂)は何かを呟くとガトリングを降ろす。その行動を一同は理解できない。

 

 龍牙はその理由を知っていた……それは後々に語られるだろう。

 

 

「だが」

 

 

「Aaaaaaaa!!!!!」

 

 龍牙の呟きと共にランスロット(狂)は頭を押さえて、苦しみ出すと再びガトリング砲を構え、起動させる。

 

 

「狂化はそう簡単に抗えんか……だけどお蔭で回復したよ」

 

 龍牙はそう言うと、破壊龍の眼(ノヴァズ・アイ)を発動させる。それにより再び仮面が装備され、彼はランスロット(狂)の持つガトリング砲に意識を向け、それを発動させた。

 

 

「【破壊(Destroy)】」

 

 それと共にガトリング砲はこの世界から消去された。

 

 

「Ga?!」

 

 

「皆!今だ!」

 

 ランスロット(狂)が何が起きたのか理解できず、混乱していた。立香はその隙を逃す事なく、マシュ達に指示を出した。

 

 

「はい!」

 

 

「はぁぁぁぁ!」

 

 

「でやぁぁぁ!」

 

 

「しゃぁぁぁ!」

 

 マシュ達はそれを聞き、直ぐに攻撃を仕掛けた。ランスロット(狂)はそれを真面に受けた。

 

 

「Aaaaa……アーサー王……私は…私は」

 

 彼はそう言うと消滅した。




・破壊の誓約

 破壊龍の鎧装備時に破壊の力を発動する際に、龍牙自身が自分の力と引換えに破壊龍の力を引き出す為に必要な行動。

 自分の力を内なる破壊龍に捧げて、その代わりに破壊の力を使う権利を得る。1つの存在を完全に破壊するには相応の力を代償にしないといけない。対象の大きさ・存在に応じて消費する力は変化する。

 しかし発動されれば、物理的に防御する事は不可能に近い。

 発動時には鎧より【BREAK】と音声がなる。








・破壊龍の槍(SPEAR THE NOVA)

 破壊の力を雷を模した黒い槍へと変化させた技。

 放たれると、破壊する対象に合わせて分裂し、躱されても当たるまで追尾し続ける。また龍牙の意志で動かす事も可能。









~メンバー~

・オルレアン侵攻組

龍牙、牛若丸、立香、マシュ、ジャンヌ、清姫、エリザベート


・後方組

エミヤ、クーフーリン(術)、ダレイオス、ジークフリート、マリー、アマデウス

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