俺のFateな話   作:始まりの0

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EP23 召喚、ドッキリと幸運E

 ~龍牙のマイルーム~

 

 医務室より自分の部屋に戻ってきた龍牙。牛若丸も部屋に居る。

 

 

「ふぅ……一先ずは成功という所かね。まだ先は長いな………オルレアン、セプテム、オケアノス、ロンドン、イ・プルーリバス・ウナム、キャメロット………長過ぎだな。まぁ1つ1つ潰していかないと駄目だからなぁ……それにしても特異点のこと……どうにも疑問だな」

 

 

「主殿、どうかしたのですか?」

 

 

「俺達はこれから各時代の特異点を修正する。でもそこで出た犠牲の事について考えていた………特異点が修正されたとしても、その時代で出た犠牲はどうなるかなと思ってな」

 

 

「それは……」

 

 牛若丸は言葉に詰まる。

 

 

「特異点が修正されれば死ぬ筈のなかった者達は蘇る………と言うのは素人の考えだ。その時代で50人が魔物に殺されたとする。特異点を修正したとしても50人が魔物ではなく、獣に殺されたという事実に変わる」

 

 簡単に言えば【死んだ人間は蘇らない】という事だ。例え特異点を修復してもその時代で死んだ者達は蘇らない。特異点が修復されても、死んだという事実は変わらずその原因だけが違う事象に変わるだけ……。

 

 

「これからは出来るだけ、被害を出さない様にしないと……」

 

 

「主殿、1つお聞きしても宜しいでしょうか?」

 

 

「あぁ……構わないよ」

 

 

「主殿は何故、戦うのですか?」

 

 

「話しておくか。俺自身の事も含めてね」

 

 龍牙は牛若丸に自分の事、目的を話した。牛若丸は何故、そんな重要な事を自分に話したのかと聞いた。

 

 

「長い戦いになる、これから共に戦うので在れば俺の事も知っておいて欲しい。俺は世界を救うと同時に個人的な戦いをする事もある………それには牛若丸が見た、あの力を使う事もあるだろう。大体の魔術師やら英霊がアレをみれば」

 

 牛若丸はそれを黙って聞いていた。

 

 

「俺はサーヴァントを唯の道具として見るつもりはない、1人の人間として接する。だから不満が在れば遠慮なく言って欲しい」

 

 

「……分かりました」

 

 

「じゃあ改めて宜しくな、牛若丸」

 

 

「はい!この牛若丸、誠心誠意尽くさせて頂きます!」

 

 

『ピッー!ピッー!ピッー!』

 

 話が終わったタイミングで通信が入る。

 

 

『龍牙くん、立香君が目を覚ましたよ。彼への説明はダ・ヴィンチちゃんがしてくれている。君は制御室に来てくれ』

 

 ロマンからそう通信が入る。

 

 

「分かった………じゃあ牛若、行こうか」

 

 

「はい!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~カルデア 制御室~

 

 龍牙と牛若丸が部屋に入ると、先に立香とマシュが来ていた。部屋には立香、マシュ、ダ・ヴィンチちゃん、オルガマリー、龍牙、牛若丸が揃った。

 

 

「無皇さん」

 

 

「龍牙先輩」

 

 

「やぁ2人とも……アレ、ダレイオス三世は?」

 

 

「あぁ、彼なら此処に入りきらないんで別室に居て貰ってるよ。じゃあ揃った所で、新たなサーヴァントを召喚しようか」

 

 ロマンがそう説明した。そうしてダ・ヴィンチちゃんが小さい虹色の石を渡してきた。

 

 

「これは聖晶石……これを使って召喚して貰う。自分の魔力で召喚するのもいいが、これは純粋な魔力の塊だからね。君達の魔力を無駄使いはして欲しくないからね。扱いには気を付けてね」

 

 

「この石……そう言えばシャドウサーヴァントを倒した時に落としましたね」

 

 マシュがそう言って戦闘中にシャドウサーヴァント聖晶石を取り出した。

 

 

「シャドウサーヴァントやサーヴァントからは取れるみたいだね……これからも頑張って集めてくれたまえ。今回は所長からの出血大サービスで藤丸君と無皇君にそれぞれ15個ずつ用意してくれたよ……因みに一回の召喚で3つ消費だ。合計5回だね」

 

 

「ふっフン!別に貴方達の為じゃないわ!このままじゃ人類が危ないからよ!勘違いしないでね!」

 

 顔を真っ赤にしながらそういうオルガマリー。

 

 

「そりゃ有難い……石……石……石……ふっふふふ……どうせ星3とか礼装しかでないんだ」

 

 石を受け取った龍牙は何やらブツブツと呟いている。周りの者達は何か分からず首を傾げている。

 

 

「なにやら無皇君はトリップしているから、先に藤丸君がするといい。方法は簡単、これをそこにある魔法陣に放り込んで詠唱すればいい」

 

 ダ・ヴィンチちゃんにそう説明されると、聖晶石を受け取った立香は魔法陣に放り投げ詠唱を始めた。

 

 詠唱が終わる頃には龍牙も元に戻っていた。

 

 12の光の球が高速で回転し始め、青い光の輪が3つとなり、その中央から人影が現れた。

 

 

「おっと、今回はキャスターで現界か。あぁ、お前等か。前に会ったな」

 

 青いローブ、杖、それは先の特異点で共に戦ったクーフーリンだった。

 

 

「宜しくお願いします、クーフーリンさん」

 

 

「おうよ、宜しくな。坊主……おっとまだ召喚の続きがあるんだな」

 

 クーフーリンが召喚サークルの上から退くと、再び立香は聖晶石を投げ込み詠唱をした。

 

 今回は光の輪は1つの様だ。

 

 

 -激辛麻婆豆腐-

 

 

「うげっ!?」

 

 どうやら概念礼装の様だ。概念礼装とはサーヴァントに装備するとものだ。クーフーリンはそれを見て嫌な顔をしている。

 

 それから6個消費して、概念礼装「青の黒鍵」「鋼の鍛錬」が出た。

 

 

「坊主!頼むからその礼装、俺に付けてくれるなよ!」

 

 何故か必死にそう訴えてくるクーフーリン。立香は何故だろうと思うが、龍牙はニヤッと笑みを浮かべている。

 

 そして最後の石を放り込んだ。すると、青い光球が金色に変わりバチッバチッと音を立てながら高速回転していく。光と共に人影が現れた。

 

 

「サーヴァント・アーチャー。召喚に応じ参上した……って凛!?いやしかし男……他人のそら似か?」

 

 龍牙が現れた赤い外套のアーチャーを見ると、立香の後ろに隠れた。

 

 

「えっと俺はf『遠坂立香です。母親の名前は遠坂凛……父親は正義の味方だそうですが、あんまり詳しく教えてくれませんでした』えっ?」

 

 

「……がはっ!」

 

 勿論、立香の台詞を奪ったのは龍牙である。だがそんな事、知らないアーチャー……英霊エミヤは吐血した。

 

 -ドッキリ大成功-と書いたプラカードを掲げて、エミヤに見せた龍牙。それを見て、エミヤは心の底から安堵した。そして何とか立ち上がる。

 

 

「こういう冗談はこれっきりにしてくれ給え………というか、何故凛と私の事を知ってるんだ!?それに君は誰だ!?」

 

 

「俺は無皇龍牙、藤丸君と同じくマスターだ。何故、そんな事を知っているかは内緒……まぁ宜しく頼むよ」

 

 そう挨拶すると、立香と入れ替わり召喚サークル前に立ち聖晶石を放り込んだ。

 

 

 -偽臣の書-

 

 

「……次だ、次」

 

 

 -偽臣の書-

 

 

「よっ……良くある事だ」

 

 

 -偽臣の書-

 

 

「………フッ……次こそ」

 

 

 -偽臣の書-

 

 

「おのれぇ!!ワカメがぁーーー!!!」

 

 同じ物が4回も続けて出て来た事で完全にキレた。流石にこれには他の周りの皆も顔を引き攣らせている。エミヤとクーフーリンに至っては何とも言えない表情で龍牙を見ていた。

 

 

「はぁはぁ…………べっ別に狙ってないし……うん……高ランク欲しいなんて思ってない(無欲……無欲……無欲……欲を捨てろ)」

 

 自分にそう言い聞かせて、最後の聖晶石を放り込んだ。これこそ俗にいう【無欲召喚(ガチャ)】。

 

 

 -ヘブンズ・フィール-

 

 

「…………ダ・ヴィンチちゃん、ワカメは緑色のゼリーに変換で……」

 

 

「あっ……うん……」

 

 そうしてこの日の召喚が終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 立香とマシュ、クーフーリンは龍牙の事を聞きたかったが、召喚時の落ち込み様が凄まじかったので何も聞かない事にした。

 

 龍牙と牛若丸は、龍牙のマイルームに戻ってきていた。

 

 

「…………幸運E……絶対Eより低いというか俺に幸運なんてないだろう……やっと来た高ランクが概念礼装って……もうやだっ。せめてサーヴァントが良かった。ワカメめ……」

 

 部屋に用意されていたベッドの枕が涙で濡れている。「ワカメ、何時かボコしてやる」と連呼しているのは気の性だろう。

 

 

「主殿……そんなに落ち込まないで下さい。私が精一杯つくしますから!」

 

 ぽんぽこりんと笑顔を見せる牛若丸。

 

 

「ありがとう、牛若……牛若は本当に良い子だ、よしよし」

 

 と傷付いた心を牛若丸を撫でて癒す龍牙。

 

 この性で、牛若丸の忠誠度が更に上がったのは言うまでもない。


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