俺のFateな話   作:始まりの0

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EP21 黒幕(笑)

 セイバーとの戦いが終わり、龍牙は鎧を消した。

 

 

「すぅ……ふぅ……ぁ~久々に使って疲れた」

 

 そう言いながら立香達の元へと戻る。

 

 

「無皇さん……」

 

 

「龍牙先輩」

 

 立香とマシュが龍牙を見ている。

 

 

「怖いか?別にいいんだ……慣れてるから、何言われても問題ない」

 

 先程の姿と力は彼等を恐怖させるには十分なものだった。かつて龍牙はその力の性で周りから恐怖され、最後には人類全てに敵と見做され殺された。だから彼等が恐怖しても仕方ないと考えていた。

 

 

「たっ確かに怖かったですけど………凄かったです!」

 

 

「はい!あのセイバーさんと真面に戦うなんて……ですよね!所長!」

 

 と2人は興奮した様子で龍牙に詰め寄り、マシュはオルガマリーを見る。オルガマリーは震えて岩の影に隠れていた。

 

 

「まぁいいよ。それよりマシュ、これ回収しておいてね」

 

 龍牙が出したのはセイバーが持っていた聖杯だった、マシュはそれを受け取ると自分の盾の収納スペースに入れた。

 

 

「(もう少し威厳を見せて欲しいな)さてと、居るんだろう?出て来いよ」

 

 龍牙がそう言うと、大聖杯の方から1人の男が現れた。

 

 

「いやはや、まさか君達が此処までやるとは。私の計画の想定外……それにイレギュラーが現れようとは」

 

 緑のスリーピースとシルクハットの紳士風の男……その男をこの場にいる全員が知っていた。レフ・ライノール。ロマンと共に魔術を学んだ魔術師であり、オルガマリーが絶対的な信頼を寄せる存在。

 

 

「レフ?ああ、レフ!良かった、貴方生きてたのね!?」

 

 オルガマリーはそう言ってレフに近付こうとするが、龍牙が止めた。

 

 

「止めときな、所長。あれは人間じゃない」

 

 

「なっ何をいって」

 

 

「いいえ、マリー所長!下がって下さい……レフ教授は……危険です。マスターも下がって下さい」

 

 

「外見は人ですね……ですが妖魔の類でしょう。飛び切り邪悪なものだと思います。主殿、お下がりを」

 

 マシュもデミ・サーヴァントになった影響か、レフが人間でない事を感じ取り、牛若丸も龍牙を下げる。

 

 

「フム……やはりデミ・サーヴァントとなったマシュやサーヴァントは私が人間とは根本的に違う存在だと分かるようだね……まぁ予想はしていたが……分からないのは、そこの貴様だ」

 

 レフは忌々しそうに龍牙を殺気を込めた目で睨む。

 

 

「無皇龍牙……貴様は何故、初めて会ったあの段階で私を疑いの目で見ていた?マリーやロマンすら長年騙してきたのに……唯一、カルデアの人間ではお前を除いて誰1人、私が人間だと疑わなかった。なのに何故、貴様は初めて会った私を疑った?教えてくれないかな、無皇龍牙?」

 

 

「なぜ?……簡単の事さ、ただ【知っていた】。そしてお前……臭いんだよ」

 

 

「知っていた?臭い?どう言う事かな?」

 

 

「前者については答える気はない………後者については俺は鼻が利くんでな、64番目の伯爵」

 

 

「!!!……私の真名まで知っているとは……腹立たしい…人間如きに正体を見破られるなど……もっと早く殺しておくべきだったか」

 

 

「ハハハ……お前如きが俺を殺すって?まずはそいつを倒してからにしてくれるかな?」

 

 そう言って龍牙はレフの後ろを指差した。

 

 レフは振り返ると、そこには巨大な獣がいた。

 

 

「なっ!?」

 

 

【潰れろ!】

 

 巨大な猛禽類の様な脚がレフに振り下ろされた。

 

 

「ぐぇ!?」

 

 

 -ドガッ!ゴンッ!ガンッ!ガンッ!-

 

 

「ちょ……ぐぉ…潰r……ごほっ!?やめ」

 

 

 -グシャ!ベキッ!-

 

 

「序でに毒」

 

 

【了解】

 

 毒々しい色の液体がレフに垂らされた。その液体はレフの身体を溶かす。

 

 -ジュウゥゥゥゥ-

 

 

「ぎゃあぁぁぁぁっぁぁ!……くっ…クソッ!」

 

 レフは何とか獣の脚から逃げ出すと、宙に浮き身体が消えていく。

 

 

「ぜぇぜぇ……何なのだその野獣は!?」

 

 

「俺の使い魔」

 

 

「なっ人間がこんな巨大な魔獣を?!……まぁいい!どうせ、貴様たちはこれから知る地獄と化した世界と残酷な未来で絶望するがいい!あぁ!そうだ、良い事を教えてやろう!」

 

 身体が4分の3くらい消えた所でレフは醜悪な笑みを浮かべ、オルガマリーを見ている。

 

 

「マリー……君は既に死んでいる」

 

 

「えっ?わっ私が死んでる?どういうこと……レフ?」

 

 

「どう言う事もなにも、そのままの意味だよマリー。レイシフト実験時の爆発……あれを行ったのは私だ。そしてその時に使った爆弾の1つは君の足元に設置していたのさ。そして爆発で死に、魂だけの存在となりこの次元にレイシフトした。でなければマスター適性のなくレイシフトできない君が此処にいる筈ないだろう?」

 

 オルガマリーはそれを聞くと、絶望し俯いてしまう。

 

 

「まぁ信じるか信じないかは君の自由だ。そろそろ私は退散させて貰うよ……君達の絶望した表情を見れないのは残念だよ、ははは…ぶへっ?!」

 

 レフは高笑いしている最中に巨大な石を顔面にぶつけられ、そのまま消えてしまった。

 

 

「ナイス!流石俺の使い魔……」

 

 どうやら石を投げたのは龍牙の使い魔の様だ。使い魔は何やらドヤ顔をしている。

 

 

「私が……私が…死んで……いや死にたくない!死にたくない!」

 

 錯乱を始めたオルガマリー。その身体は徐々に消えていく。

 

 

(ぁあ……どうするか、今後の為に助けるか?)

 

 龍牙はそんな事を考えながら、錯乱しているオルガマリーに近付いた。

 

 

「いや!いや!未だ私は誰にも」

 

 

「所長、生きたいですか?」

 

 

「えっ……」

 

 

「生きたいですか?それともこのまま死にます?」

 

 

「いや!死にたくない!生きたい!……だって未だ誰にも認められてない!このまま死にたくない!」

 

 龍牙はそれを聞くと、手を上に伸ばす。眩い光と共に金の輝きを放つ果実が現れた。龍牙はそれを取ると、その一部を千切りオルガマリーに差し出した。

 

 

「このまま消えたくないなら食え」

 

 

「あっ……うん。パクッ……ゴクッ」

 

 すると消えかけていたオルガマリーの身体が徐々に元に戻って行く。

 

 

「身体が元に……」

 

 

「取り敢えず、これで肉体は元に戻ったな。ドクター、レイシフト宜しく頼む。この果実を食って、肉体再生している途中なら所長もレイシフトできる筈だ」

 

 龍牙の持っていた果実が消えると、通信でドクターロマンに繋いだ。何が何なのか分からないロマンも一先ず急いでレイシフトの準備を行った。

 

 そして龍牙達はカルデアに戻るのであった。


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