〜玉座の間〜
「はぁ……どうすんの、これ」
現在、この玉座の間では多くの者が嘆いていた。
自分達を導いていたギルガメッシュが死したからである。
『ちょ、本当にギルガメッシュ王が死んだのか?!』
『ロマニうるさいよ、モニター見ればギルガメッシュ王が死んでるのは分かるだろう』
どうやらギルガメッシュの死はカルデアでも騒ぎになってるようだ。
「それにしても……あのギルが過労死とはなぁ」
龍牙はそう言いながら食事をしていた。
『なんで君は平然としてるの!?』
「ロマニ、うるさい。それにしても……過労死……生命力の枯渇……あっ」
龍牙は何かに気付いた様だ。
「龍牙様、何か知っておいでなのですか?」
「ぁ〜……まぁ、心辺りがあると言うか、原因は俺と言うか、でも今回の件は元々、ギルが悪くもあって」
「龍牙様……御説明を」
シドゥリだけでなく、周りの者達も龍牙が原因を知っていると知り彼に迫る。
そして龍牙が事の次第を話し出す。
ギルガメッシュの死因は過労、その兆候は彼がこの時代に来た時から分かっていたらしい。
龍牙は魔力的なパスを彼女と繋ぎ、彼女の使用する魔力の全てを肩代わりしていた。既に身体もボロボロ、生きる為に必要な生命力も枯渇していた。
そして龍牙は彼女の身体を癒やし、生命力を補填する為に自身の生命力を分け与えていた。
「成程、ギルガメッシュ王の御身体はそこまで……」
「まぁ、本人は他の者に心配かけまいと隠していたがな。手先なんて半分壊死してたし、他にも不調があったろうに気合だけで耐えてたな」
それを聞き、周りの者達が嘆いた。何故、自分達はそれに気付かなかったのかと。
半神であるギルガメッシュが本気で隠そうとした事を人間が見抜くのは難しい。しかし、ギルガメッシュと共に歩んできた臣下達はそれでも自分達が気付いていればと考える。
「ですが、ならば何故王は」
「最近は忙しくて時間がなかったからな……パスだけじゃ限界だったか……取り敢えず、冥界に降りて迎えてくるか」
「可能なのですか!?」
「蘇生可能だ。しかし、魂は冥界の女神エレシュキガルの元にある。こっちに呼び出すのが難しいし、俺が直接迎えてくるよ」
「ではお願い致します。それまで王の御身体は我等がしっかり御守り致します」
シドゥリを始め、他の臣下達も頭を下げた。臣下達はこの時、心の底からそう願った。
「あぁ……じゃあ、少しの間、頼むよ」
龍牙は身を翻し、何かを取り出した。それは鐘の様だ。
その鐘を振ると「チリーン」と辺りに音が響く。
すると龍牙の床が盛り上がり、そこから門が現れる。ギィィと鉄の重い音が鳴り、門が開いた。その先は真っ暗で、冷たい空気が流れてくる。
「行ってくるよ。ぁあそうだ、バターケーキ食べたいから作っておいてね」
龍牙はそれだけ言うと門の中に飛び込んだ。