〜玉座の間〜
「ギル……俺は行くぞ」
龍牙はギルガメッシュにそう言う。現在彼らはこの場で指揮を取りながら、遠見水晶でウルク北方の山岳地帯に派遣した立香達の様子を見ていた。
現在、北方の山岳地帯はティアマト神……正確にはティアマトの権能を取り込んだゴルゴーンが支配していた。ギルガメッシュはそこに立香、マシュ、アナ、マーリン、イシュタル、自分の召喚したサーヴァント、牛若丸、レオニダスを派遣した。
そして彼等は劣勢を強いられており、龍牙は自分も出ると言い出したのだ。
「駄目だ、お前の力は最後まで取っておく」
「しかし……」
「龍牙」
ギルガメッシュは真っ直ぐ龍牙を見つめる。
ギルガメッシュとて状況は理解している。だが今の龍牙を出すことは出来ない。彼女はこれから先の事も考え龍牙の力を温存すると決めていた。
彼女は玉座から立ち上がると彼の手を取る。
「気持ちは分かる。だが、お前の力を使うのは今ではない。
それに奴等とてこれまでの特異点を乗り越えてきた。信じてやるのも先達の務めではないか?」
ギルガメッシュがそう言うと、龍牙は息を吐いた。
「俺としたことが少し過保護過ぎたか……まさか俺がギルに諭されるとはな」
「これでも我は王ぞ? 為になる事を言うのは当然だろう」
「まぁ、昔に比べて落ち着いたか。無駄に年取っt「フンッ!」ごほっ」
余計な事を言った為、ギルガメッシュに腹に拳を叩き込まれる龍牙。
「あーいたい……ふぅ。よしっ、気を取り直して政をやるか」
そう言うと粘土板を取り、政を始める龍牙。本人も立香達の安否は気になるものの、自身がすべき事に精を出すのであった。
それから数日後、立香達は帰還した。
結果的にゴルゴーン討伐は成功したものの、牛若丸、レオニダス、アナを失ってしまった。
〜翌日〜
「ふぅ……一先ずは終わった。だが休んではいられないか。取り敢えず備えを」
朝起きた龍牙は準備を終え、玉座の間に向かおうとしていた。
「りゅ龍牙さま!」
何やら慌てた様子でシドゥリが走ってきた。
「どうした、シドゥリ?」
「ぎっギルガメッシュ王が!」
「なんだ、また抜け出したか? 全くそんな所は昔かr「ちっ違います!」ではなんだ?」
「ギルガメッシュ王が……お亡くなりになりました」
「はっ?」
シドゥリの報告に唖然とする龍牙。
数秒程して我に帰るとその場から駆け出し玉座の間に急ぐ龍牙。
龍牙が玉座の間につくと近衛兵や側近達が静かに涙を流し嘆いていた。
「ギル」
龍牙は直ぐに玉座に近付くとギルガメッシュに触れた。
「冷たい……死んでから数時間は経ってるな。死因は……過労死か」
賢王ギルガメッシュ……死す。
〜 ? 〜
ギルガメッシュは真っ暗な岩だらけの場所で目を覚ました。ゆっくりと周りを見渡し、自分の状況を把握する。
「……フム、王が居眠りから覚めると、冥府の底であったか……」
頬杖をついて溜息を吐くギルガメッシュ。
「って……死んでいるではないか、我!」
ギルガメッシュが死にこれから先、どうなるのか……。