俺のFateな話   作:始まりの0

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前に更新してからかなり経ちました。また少しずつ更新していきますので、宜しくお願いします。


EP99 イシュタルを引き込みました

 〜王宮〜

 

 

 顔を晴らし、全身包帯を巻いた龍牙は粘土板に目を向けていた。

 

「全身打撲、肋骨5本、右腕、左足、骨折。切り傷多数、こんな状態で政務させるとか……お前は鬼か?」

 

 ケツァル・コアトルの一件でギルガメッシュにボコボコにされた龍牙は、今日も今日とて政務をしていた。

 

「フン……その程度で音を上げる程、柔ではなかろう。そう言えば藤丸達が訪ねて来たのであったな。シドゥリ、通せ」

 

 

「はい、王」

 

 

「藤丸君達にはイシュタルを任せたんだったか……」

 

 シドゥリと共に立香、マシュ、イシュタルが入ってきた。

 

「藤丸、マシュ、よく戻った…………見たくない顔ではあるが、それをよく下した」

 

 

「アンタねぇ……これでも一応女神なのよ、それ扱いはいないんじゃない?」

 

 

「フン……宝石に目の眩んだ女神などそれで十分であろう」

 

 

「ごはぁ」

 

 ギルガメッシュにそう言われ倒れ込むイシュタル。それを見ない様にしているのか、違う方向を見ているシドゥリ。

 

 今回ギルガメッシュが立香達に命じたのはイシュタルを味方に引き込む事だ。立香とマシュはそれを果たしイシュタルを連れてきた。

 

「クハハハハハッ! アハハハハハハ!」

 

 立香の報告を聞いたギルガメッシュは腹を抱えて笑っていた。

 

 立香はギルガメッシュに宝物庫の宝石類の3割まで解放する事を許し、それでイシュタルを買収する様に言った。だが立香はイシュタルを1.5割で買収したことで笑っているらしい。シドゥリはそんなイシュタルを見ない様に顔を反らしている。

 

「まぁ……味方になってくれるからいいじゃないか」

 

 

「チッ……だがこれで戦力はある程度整ったか。藤丸、マシュ、ご苦労だったな。追って次の命があるまで休め」

 

 そう言って立香とマシュを下がらせる。シドゥリには彼等の世話を頼んだ様だ。

 

 その場に残った、龍牙、ギルガメッシュ、イシュタル。

 

「さて……イシュタル」

 

 

「なによ」

 

 

「貴様には言いたい事も、聞きたい事も山のようにある」

 

 

「残念だけど三女神同盟の事は言えないわよ。互いに不干渉でいることが条件だもの……」

 

 

「それはケツァル・コアトルから聞いている……聞きたいのは、これについてだ」

 

 ギルガメッシュはそう言うと水晶を取り出す。その水晶から光が出ると何かが投影された。イシュタルはそれを見ると驚いている。

 

「仮に全力の貴様であれば『彼女』をどうにか出来るか?」

 

 ギルガメッシュはそう尋ねる。イシュタルは少し深呼吸すると、ため息を吐く。

 

「はぁ……例え私が本体でも無理ね。足止めくらいならできるでしょうけど」

 

 

「だろうな……龍牙」

 

 

「ん?」

 

 

「お前であればどうだ?」

 

 

「可能か不可能か……世界へのダメージ、生きてる者への犠牲、代償の全てを無視すれば可能だよ。

 

 そもそも俺は根源が産んだ神や世界に対する存在だ。世界……星や宇宙を破壊し、再び創造するのが俺の役目だ」

 

 龍牙はそう言う。

 

「まぁ……ある程度の犠牲は致し方なしとして。そう言えば聞いてなかったな、お前の力の代償を」

 

 

「確かに……あれだけの力、何の代償もなしに使える訳がないわよね」

 

 ギルガメッシュとイシュタルがそう言うと、龍牙は顔を反らす。2人はかつて龍牙の全力であろう力を目の当たりにした。それを用いるにどれ程の代償があるのか……。

 

「ぇっ……と。さて、腹が減ったな。飯を」

 

 龍牙がその場を離れようとするが、ギルガメッシュとイシュタルに掴まれる。

 

「とっとと吐け。吐かないなら、無理矢理にでも吐かすだけのこと」

 

 

「なら私も同行させて貰うわ」

 

 

「なに?」

 

 

「だってこの人が口が硬いのは昔からでしょう。1人で吐かないなら2人でしょ。それに魔力も必要だもの」

 

 

「チッ……だが必要ではあるか」

 

 

「ちょっと待って、俺の意見は」

 

 

「「必要ない(わ)」」

 

 龍牙はそのままギルガメッシュとイシュタルに引き摺られていく。

 

 

 

 〜?〜

 

 白と黒、対を成す2つがそれぞれ龍の形を成した。

 

 其れ等は自分達の間にいる小さな光を見つめていた。その光は眠っている龍牙だった。彼から複数の光が放たれ、それぞれの龍へと取り込まれた。

 

【王は使われるのですね】

 

 

【あぁ……例え御自身を犠牲にしても世界を守られるのだろう。これまでも、これからも】

 

 

【根源なる母はいつまで王を……】

 

 

【分からぬ。創造と破壊の理である我々であっても根源なる母の意志は分からない。今我等に出来るのは王の力となることのみ】

 

 2つは静かにただ龍牙を見守っている。


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