俺のFateな話   作:始まりの0

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EP97 動き出す時

 〜王宮 玉座の間〜

 

 ギルガメッシュが説教をされてから約1週間。

 

「ギル……仕事が終わらないんだけど」

 

 

「此方もだ……」

 

 龍牙とギルガメッシュは山の様な政務に囲まれていた。

 

「次は……魔獣達に目立った動きがない。何か企んでいるのか?」

 

 

「さぁな……問題は三女神同盟だ」

 

 

「イシュタル、ティアマト、ケツァル・コアトルか。取り敢えず何処から手をつけたものか……」

 

 

「ティアマトに関しては話し合いは無理だ、藤丸達にはイシュタルの方に行って貰う。お前はケツァル・コアトルの方へ行け」

 

 

「分かった。出来れば味方に引き込めればいいんだけどな……よっと」

 

 龍牙は立ち上がると粘土板を整理し、出ていこうとする。

 

「待て」

 

 

「ん?」

 

 龍牙はギルガメッシュに呼び止められ、振り返ると、引っ張られる感覚と共に顔に柔らかな感触が襲う。

 

「……え〜と」

 

 ギルガメッシュの胸に抱き寄せられている龍牙、当の本人は目を点にしている。

 

 彼女は一度龍牙を離すと、彼の首筋に歯を立てた。

 

「っ……お前は吸血鬼か?」

 

 ギルガメッシュはどうやら彼の血を飲んでいる様だ。

 

「少しばかり魔力不足でな……後、余計な虫がつかんようにマーキングだ」

 

 それだけ言うとギルガメッシュは彼を離し、そのまま席へと戻っていった。

 

「マーキングって……そもそも俺を好く奴などそうは居らんだろうに」

 

 

「いいから早くいかんか!」

 

 

「引き止めたのはお前だろうに……まぁいいや、行ってきます」

 

 龍牙はそのまま出ていった。

 

「王……偶には素直になりませんと龍牙様に愛想をつかれますよ」

 

 そう言ったのはバターケーキを持ってきたシドゥリであった。

 

「知らん……それに奴とはずっとあぁだったのだ、今更だ」

 

 そう言ってシドゥリの持つバターケーキに手を伸ばすが、パシッとその手を叩かれた。

 

「っ……シドゥリ」

 

 

「王……龍牙様はかなり良い男性です」

 

 

「うっ……ウム、知っておる」

 

 

「今は王の大事な方だと分かっているからこそ、誰も手を出す事はありません。しかし王! 龍牙様も男性です! 優しくされればころっと転びますよ!?」

 

 ギルガメッシュはそれはないと考えるが、龍牙が自分以外の女とイチャついてるのを想像し、怒ったらしく、場が怒気に包まれる。

 

「王、何を想像されたのかは分かりませんが、いい加減にしないとそれが現実になるかもしれませんよ?」

 

 

「……そんな事をしている暇はない」

 

 

「はぁ…………失礼します」

 

 

「なn……あいたっ!」

 

 シドゥリはギルガメッシュの頭に手刀を落とす。そして彼女の顔を両手で掴むと顔を近付ける。

 

「王……私は……いえ、ウルクの民(私達)は王や龍牙様、エルキドゥのお力なくては此処まで来れませんでした。情けないことですが……。

 

 今も王のお力なくては此処に居なかったでしょう。故に我々は貴方達に感謝し、信じております。

 

 ですが、それと同時に貴女達には、幸せになって欲しいのです」

 

 シドゥリは母親が子供に諭す様にそう言う。ギルガメッシュはそう言われて照れたのか少し顔を赤くしてる。

 

「だから少し素直になりましょう。性格は問題ありですが、見た目は美しいのです……もう少し素直に甘えれば龍牙様の心を鷲掴みです!」

 

 

「うっ……ウム。ん? シドゥリ、誰の性格が問題だ?」

 

 

「王です」

 

 キッパリと言い切るシドゥリ。此処まで言えるのは龍牙やエルキドゥを除けば彼女くらいだろう。

 

「我の何処が問題なのだ?!」

 

 

「あらっ……お分かりではないと?」

 

 ニッコリと笑うシドゥリ、そんな彼女を見てギルガメッシュは思った。藪をつついて蛇を出してしまったと。

 

 ギルガメッシュは衛兵達に目を向けた。

 

「そろそろ交代の時間だな!」

 

 

「ぁあ! 我々は見回りを!」

 

 

「異常なし!」

 

 

「今日もいい天気だ」

 

 衛兵達は全力でこの場から去ったり、何事もなかったかの様に過ごしている。

 

(アイツ等ー!)

 

 

「何処が問題なのか……じっくりとお話致しましょう」

 

 

「まっ待て、待つのだ……」

 

 

 

あああああああああっ! 

 

 

 その日、ギルガメッシュの叫び声が王宮に響き渡った。

 

 

 

 

 

 龍牙はギルガメッシュの命令を受けてケツァル・コアトルの元に向かってジャングルを進んでいた。

 

「暑い、蒸す、こういう時はクーラーの効いた部屋に篭もりたい……ああああもぅ! 無理!」

 

 周囲の気温と湿度の高さにより汗を掻きながら進んでいたが、我慢が出来なくなったのか、創造龍の翼(クリエィス・ウィング)を呼び出す。

 

「日陰を飛んでいこう、風の力で物が当たらない様にしてと」

 

(WIND)

 

 龍牙の周囲に風が纏わり付き、葉っぱなどが彼に当たらない様になった。

 

「神殿はこっちの方向だな……じゃあ、さっさと終わらせよう」

 

 龍牙は翼は羽ばたかせると、加速し木々の間に抜けケツァル・コアトルの元に向かった。

 

 

 

「待て! 待てぃ! 此処から先はこのじゃgぶへらっぁ」

 

 

「ん? 何か轢いたか? 動物の気配はなかったし、気の所為か……」

 

 主人公、気が付かぬ内に襲撃者を撃退しました。




という訳で次回、ケッアル・コアトル戦です。

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