TV版恋姫†無双・・・覇気と六爪流を使う転生者   作:ヒーロー好き

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第九十九席 魏延、一目ぼれするのこと

玉座の背後に設けられた隠し扉。そこは石造りの壁に囲まれ、地下牢に似た部屋があった

 

「(何でこんな所にこんなのがあるんだよ)」

 

魏延は両腕を上げる様にして拘束され、身体中も縄できつく縛り付けられていた

 

「さぁて、今回はどれにするかな?」

 

品定めをする様に、武器の数々をじっくりと眺める厳顔

 

「あの、厳顔さん……あまり手荒な事は……」

 

「いやいや、そういう訳には……ん?よし、今日はこれにするか?」

 

厳顔が取り出したのは、綿付きの耳掻きだった

 

「(えっ?)」

予想だにしない物に、一同は目を丸くする

 

「き、桔梗様……そ、それは……」

 

魏延は、顔をひきつらせていた。

 

「焔耶よ、覚悟は出来ておろうな?」

 

「やめ、やめてください!」

 

逃げる様にして仰け反るが、厳顔は綿の部分を魏延の腹に接触させる

 

「あっ……ああ……!」

 

「ここはどうだ~?それともこっちか?」

 

「(どっかの悪代官か!アンタは!!)」

 

「桔梗様……っ、そこは、駄目ぇ……!」

 

するとうずうずと眺めていた、たんぽぽが

 

「ねえねえ、タンポポにもやらせて!」

 

「やってみるか?では」

 

「こ、こらっ!」

 

綿で魏延を擽っていき、喘ぎ声が更に増した

 

「え、え~と、これはちょっとなんていうか」

 

「……っ!だ、だめです」

 

朱里は、はっ、とすると鈴々に目隠しをした

 

「これ以上は鈴々ちゃんの健全の育成にとって有害です!!」

 

「なんでなのだ!?なんで鈴々は見ちゃだめなのだ!!

 

魏延の淫らな悲鳴が響き渡るのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜になり

 

 

「ふぅ……」

 

湯船に浸かり、旅の疲れを癒している桃香

 

「旅に出てから、毎日歩いているからちょっと引き締まってきたかも」

 

「劉備殿」

 

湯室の扉の向こうから声がする

 

「湯加減は如何です?」

 

声の主は魏延だった

 

「丁度いいです」

 

「良かった……。それでは、お背中を御流しします」

 

「……へっ?」

 

魏延は胸にさらしを巻き、スパッツを履いて、湯室に入ってきた

 

「あ、あの……本当、お気持ちだけで結構ですから……」

 

「いいえ、御迷惑をお掛けした償いとして、これくらい当然です」

 

「は、はあ」

 

少し困惑気味の桃香

 

「い、如何ですか?」

 

「あっ、はい。気持ちいいです」

 

「そうですか!気持ちいいですか!」

 

ゴシゴシも更に拭く力を強める

 

「あ、あの、背中はもうそれぐらいでいいですから……」

 

「了解しました!それでは、次は前を洗わさせて頂きます」

 

「えっ?」

 

「身体中、隅から隅まで、隈無く、ねっとり、丁寧に……!」

 

「あっ、ちょっ、そこはだ、だ、駄目ぇ~~~~~!!」

 

今度は、湯室に桃香の声が響き渡った

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして

 

「おお、孔明殿、劉備殿の具合は?」

 

「ちょっとのぼせましたみたいですけど、しばらく横になっていれば良くなると思います」

 

「すまぬ。孔明殿…もてなすつもりがまたまた迷惑をかけてしまって」

 

「ああ、いえ、そんな……けど魏延がああした行為に及ぶなんて、もしかして劉備さんのことを」

 

「う~ん…どうやら焔耶の奴、劉備殿に一目ぼれしてしまったようじゃな」

 

「ええっ!」

 

「実は焔耶には姉が一人いてな、あ奴が幼いころ病で亡くなったのだが、それが劉備殿によく似ているのだ」

 

「まあ」

 

「生き写しと言ったら少々大げさだが顔形といい…乳の張り具合といい、ちょっとゆるそうな所といい…本当に良く似ている。焔耶の奴、よほどその姉が好きだったようで、今でも姉に似ている女性をみると、ほーっとなって、カッとなって訳がわからなるなしくて」

 

「そうだったんですか……うん、所で魏延さんは?」

 

「焔耶の奴はとりあえず、縛って吊るしておいた。これからじっくりおしおきしてやるつもりだ」

 

「は、はあ」

 

「所で孔明殿」

 

「はい」

 

「お主たちと一緒に居たあの男は?」

 

「ご主人様のことですか?」

 

「うむ、只者でない雰囲気をしていたが、あ奴の名前は?」

 

「はい、ご主人様の名前は高杉さんです」

 

「高杉……なるほど、噂の天の御使いであったか」

 

「はい」

 

「なるほど、奴が噂の……なかなかいい男ではないか」

 

「は、はい」

 

「それで孔明殿は御使い殿と何処まで進んだのだ」

 

「え?」

 

「添い遂げしたとか、子種を貰う行為をしたとか」

 

「はわわ!!!何言っているんですか」

 

「その慌てようからしてまだしていないようだな!」

 

「ううっ!!」

 

顔を真っ赤にする朱里であった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

「何だと!!もうぺん言ってみろ!!」

 

屋敷の中庭に大声が上がる

 

「ああ、何度でも言ってやる」

 

「どうしたんですか!?二人とも」

 

大声を聞き付け、朱里と勇作に桃香、鈴々がその場に駆け付ける

 

「こいつが、たんぽぽの武術がショウベンくさい子供の遊びだって」

 

「本当の事を言ったまでだ!」

 

「なんだと!」

 

「二人とも喧嘩はよすのだ!」

 

「つるぺたのチビは黙ってろ!!」

 

「何てこというのだ!朱里に謝れ!なのだ!」

 

「(おい!お前の事だぞ!)」

 

「あの、鈴々ちゃん…それってどういう」

 

「孔明!張飛!止めるな!こいついっぺんブッ飛ばしてやらないと気が済まないんだ」

 

「なら、一生気が済むことがないな」

 

「言わせておけば!!」

 

「能書きはいいからさっさと来い!!」

 

「いい加減にせんか!!」

 

全員が声のした方に視線を向けると

 

「焔耶…わしの部屋までこい」

 

厳顔がいた

 

 

謁見室へと呼ばれ、その前に立つ魏延

 

「焔耶よ…儂は貴様に事あるごとにつまらぬ喧嘩はするなと言い聞かせてきた。己の力の使い方をもっと良く考えろと……」

 

厳顔は一枚の紙を取り出す。そこには、黒い筆字で厳顔、魏延と、二人の名前が書かれていた

 

「だが、貴様はそれには耳を貸さず、己が力をひけらかす為だけに、意味もなく剣を振るってきた」

 

今度はその紙を紐状に丸め、魏延の得物である剣。その鍔と鯉口に付属している輪に通し、それを結び付ける

 

「よいか?今見た通り、この紙縒こよりには儂と貴様の名前が書いてある。儂に断りなく剣を抜けば、この紙縒は切れる。そしてその時は、師弟の絆も切れたものとして貴様は破門だ!分かったな」

 

魏延は拳を強く握り締めた

 

「が、焔耶よ」

 

「はい」

 

「そこにいる高杉殿と一騎討ちをして勝つことができれば、この件は不問にしてやる」

 

「えっ!」

 

「いや、厳顔さん!いったい何を言っているの!!」

 

「どうだ!やるのか」

 

「やります!」

 

「えっ!」

 

「私があんな貧弱な男に負けるはずがない」

 

「貧弱って」

 

「じゃあ決まりだな!!」

 

「(なんか勝手に決められてしまった)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして中庭

 

「……」

 

勇作と魏延が対峙していた

 

「……両者準備はいいか」

 

厳顔が審判を務める

 

「はい」

 

「……」

 

「おにいちゃん頑張るのだ!」

 

「ご主人様、そんなやつブッ飛ばしちゃえ!!」

 

「(気楽でいいな)」

 

「貴様に恨みがないが勝たせてもらう」

 

「魏延」

 

「何だ!」

 

「俺、そんなに貧弱に見えるのか?」

 

「当り前だ!男は皆、貧弱だそんなやつに私が負けるはずがない」

 

「…はあ~」

 

大きくため息をつく勇作

 

「な、何だ!やる気のないため息は!!」

 

「相手の器量も分からず、男は弱いと決めつける。井の中の蛙とはよく言ったものだ!」

 

「な、何だと!!」

 

勇作は右手で指を1本立てた

 

「1回だ」

 

「何?」

 

「俺が攻撃するのは1回だ!それで貴方を倒す」

 

「貴様!舐めるのもいい加減にしろ!!」

 

「それはどうかな…来いよ」

 

魏延は剣を抜くと勇作の頭に向けて振り下す

 

「でああああ!!」

 

「ふん」

 

簡単によける

 

「この!!」

 

素早く、鋭い突きを繰り出すが

 

「ざんねん」

全て簡単に避けられた

 

「何で当たらないんだ!」

 

「(当り前だ!俺はとんでもない化け物達と修行で戦ったんだ!見聞色の覇気が使えなくても、これくらい簡単に見切れるだよ!)」

 

「くそ!!」

 

剣が一直線に勇作の首に迫る

 

「(貰った!!)」

 

決まったと確信する魏延

 

 

 

ガチン

 

 

「…え」

 

だが魏延の双眸が驚愕に大きく見開かれる

 

「……」

 

まるで時が止まったかのようにピタッと動きを止めた剣

 

「これでおしまい?」

 

疑問を声を掛けなら、剣の刃先を摘まんでいた

 

「……」

 

思考が停止する魏延。おそらく決め技だったかもしれない

 

「じゃあ、次は」

 

剣を離し、2、3歩下がって距離を置き、刀を抜く勇作

 

「俺の番だな」

 

魏延に近づき、刀を振り下ろす

 

「!!」

 

剣でガードする魏延が

 

チャリン

 

「…ぇ」

 

音と共に、視線を向けると剣身が落ちていた

 

「う…そ…」

 

そう見事に真っ二つに切られていた

 

「あ…ああ…あ」

 

そして魏延は理解してしまった。自分がいったい何と対峙していたのかを

 

「さあ、フィニッシュだ!」

 

覇王色を発動し近ずく勇作

 

ドサ

 

恐怖のあまり尻餅をついて動けなくなる魏延

 

「ヒッ!!(こ、殺される)」

 

死を悟ったのか周りの光景が遅くなった感覚になる

 

「……」

 

「(助けて!!)」

 

目を瞑る魏延

 

「……それまで!!」

 

試合終了を宣言する

 

「……」

 

恐る恐る目を開ける

 

「…大丈夫?」

 

片膝を着いて目線を合わせる勇作

 

「……」

 

何とか答えようとするが、声を出せないでいた。さらに恐怖のあまり腰が抜け、体が言うこと聞かないでいた

 

「……」

 

手を差し出す勇作

 

「…あ、ありがとう」

 

手を借りて何とか立ち上がる魏延。そして地面を見てみると濡れているのが分かった。恐怖のあまり失禁してしまった魏延

 

「(ヤバい、少しやりすぎたかも)」

 

少し後悔する勇作

 

「(ここまでとは、噂以上だったな)」

 

勇作の強さに驚愕する厳顔であった

 

 

 

 

 

 

そして、町の外れに当たる一軒の小屋

 

「なに?魏延に喧嘩禁止令?」

 

「へい。厳顔の屋敷で働いてる奴に聞いたんですがね?今度厳顔に無断で剣を抜いたら破門だって」

 

「ふ~ん……へへへ…魏延、今までの借りまとめて返してやるぜ」

 

そう言うと、手に持った酒瓶を地面に投げ捨てる

 

「チビ!デク!すぐに数を集めろ!」

 

「「へい!」」

 

数人の男達が不穏な動きを見せるのであった


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