TV版恋姫†無双・・・覇気と六爪流を使う転生者   作:ヒーロー好き

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第九十八席 勇作、魏延と厳顔に出会うのこと

「団子~食べたらうまかっ~た!馬を飼ったら~鹿だった~!」

 

竹藪に囲まれた道を、勇作達は歩いており、鈴々は歌を歌っている

 

「(みたらし団子美味いな……みたらし団子よりずんだの団子のほうが好きだけど)」

 

茶店で購入したみたらし団子を食べながら、談話していた

 

「ねぇ、孔明ちゃん…さっきの茶店で、知らないおじさんと何を話してたの?」

 

「あの人、旅の商人で、都の方から来たと行っていたので、洛陽の様子を聞いていたんです」

 

「へぇ~、そうなんだ。で、どうだった?何か面白いこと聞けた?」

 

「……やはり洛陽には、近寄らなくて正解でしたね」

 

「……」

 

「今や朝廷は、完全に董卓が牛耳っていて、とんでもない悪政を強いているとか」

 

「悪政って何なのだ?」

 

「酷いまつりごとです。民に重い税を課した上に、大規模な土木工事を起こし、逆らう者は片っ端から捕まえられて牢に入れてしまうため…民の間では、怨嗟の声が満ち満ちているそうです」

 

「酷い……」

 

「…………」

 

「ええ、それに噂ですけど捕まえられた者の中には董卓を暗殺しようとしたものがいたそうでその人たちを全員処刑したとか」

 

「…処刑」

 

「ただ、勝手にそう言っている事でしたので、もしかしたら冤罪で処刑されてしまったかもしれません」

 

「そんな、いくら何でもひどすぎるよ!!」

 

「(…冤罪)」

 

「でも、それってなんかおかしいのだ。鈴々とお兄ちゃんは前に董卓に会った事があるけど、そんな悪い奴じゃなかったのだ」

 

「そうですね……私は本人を知らないので、はっきりとした事は言えませんが、董卓といえば、あの呂布さんの飼い主じゃなくて、御主人な訳ですから、それを思うとちょっと腑に落ちない所はありますね」

 

会話をしながら歩いていると

 

「……」

竹藪から何かが飛び出してきた

 

「あっ」

 

「ああああああああ」

飛び出してきた一人の少女は、たんぽぽにぶつかってしまう

 

「あっ!?」

 

「あああああああああああああ!!?」

突然の事で対応できず、少女は尻餅をつき、たんぽぽは前向きに倒れ、手からみたらし団子が手放され、地面に落下した

 

「はっ!!」

少女は我に帰ると

 

「あっ!おい!待て!!」

背を向けて走り去っていった

 

「あんにゃろう、ぶっとばしてやる!待て~~!!」

 

たんぽぽは槍を手に、女性を追いかける

 

「ちょっと!!たんぽぽ!!」

 

 

 

 

 

 

 

「待て!!」

 

野道を走り、徐々に距離を縮め、タンポポは跳躍し槍を振り下ろす

 

「っ!!」

 

それに気づいた女性は、咄嗟に得物である剣を抜いて防御する

 

「何のつもりだ!!」

 

「団子の恨み、晴らさせてもらうぞ!!」

 

槍を構え直し、タンポポは攻撃を行う

 

ガキン!ガキン!ガキン!

 

連続して繰り出される槍の突き、少女はそれを剣で捌いていく

 

「餓鬼の癖に少しはやる様だな」

 

数回打ち合うと、距離が開かれた

 

「何だと!」

たんぽぽが若干息切れをしているにも関わらず、相手はまだ余裕を見せている

 

「もう少し遊んでやりたい所だが、今はその暇が惜しい。ケリを着けさせてもらうぞ!」

少女は剣を手に、距離を詰める

 

「とお!!」

素早く、鋭い突きを繰り出す

 

「ぐっ!!」

 

防戦一方になるたんぽぽ

 

「とおおおお!!!」

相手は剣を振りかぶり、上から一気に振り下ろした

 

ガキンッ!

 

重い音と共に、足元の石に躓き、バランスを崩して尻餅をついてしまう

 

「もらった!!」

 

「っ!!」

剣を振り下ろす少女。タンポポは思わず目を瞑る

 

 

 

 

ガチン!!

 

 

 

たんぽぽが目を開けると

 

「張飛!!」

 

鈴々が自分の得物で剣を防いでいた

 

「助太刀にきたのだ!!」

 

「くそ!!」

 

少女は後ろに下がり距離をとる

 

「何だってんだ!今日はどっかでチビの大安売りでもしているのか!?」

 

「世を乱す悪党め!冥土に逝った馬岱の仇取らせてもらうのだ!」

 

「あ、いや~まだ生きているから」

 

「うりぁやああああ!!」

 

蛇矛で突きを連続で繰り出す

 

「(何だこいつ)」

 

剣で防御するが

 

「(チビのくせに一撃一撃が重い)」

 

鈴々の攻撃に防戦一方になる

 

「鈴々ちゃん」

 

そこに遅れてきた勇作、朱里、桃香が来た

 

 

「……」

 

少女は勇作達の方をみる

 

「あ」

 

朱里と桃香は肩を上下させながら息を整え、そして少女は桃香を見た瞬間、頬が微かに赤くなる

 

「隙やりなのだ!」

 

鈴々の攻撃に少女の手から剣が離れ、上に舞う。そして少し先に刺さる

 

「覚悟するのだ!!」

 

蛇矛の突きが少女に刺さろうとした

 

 

 

その時

 

 

 

ドン!!

 

地面に何かをぶつけた音が鳴る

 

「そこまでっ!」

 

「ん?」

 

全員が音と声がした方に視線を向ける。そこには一人の女性がいた

 

「なんだ!お前も悪党の仲間か!だったらこいつと一緒に成敗なのだ!」

 

「(誰なんだ?)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

近くの茶店に場所を移した一同

 

「申し訳ない!!」

 

女性は頭を深々と下げ、謝罪する

 

「貴様も頭を下げんか!!」

 

少女の頭を掴み、無理矢理頭を下げ鈍い音と共に、机に頭をぶつけてしまった

 

「儂の名は厳顔。この巴群の太守だ」

 

「太守様ですか?」

 

「で、この馬鹿は魏延。まあ、儂の弟子というか、居候というか、とにかく手間のかかる奴で……幼い頃より手元に置いて武術を仕込んでおったのだが、長ずるに従い、少しばかり腕が立つのを鼻にかけ、今では毎日喧嘩三昧の暴れ者に」

 

「え、えっと~」

 

「今朝も町中で破落戸共と大立ち回りを演じた挙げ句、儂がその事で御灸を据えてやろうとしたら…卑怯千万にも逃げ出しよって、それだけでも許しがたいというのに、逃げる途中でまたしても人様に迷惑をかけるとは」

 

「あの、その事ならもう…お団子の方も弁償してもらいましたし」

 

テーブルの上には、大量の団子が乗った大皿があり、たんぽぽは勿論、鈴々も次々に口へと放り込んでいた

 

「(それにしても、厳顔と魏延に出会うことになるとは……団子食べよう)」

 

そんなことを考えながら団子を食べる勇作

 

「……馬岱ちゃんも、いいですよね?」

 

「えっ?まあ……うん……」

渋々と返事をする

 

「(納得していないみたいだな)」

 

「いや、団子くらいでは気が済まぬ!頼む!お主ら、この厳顔の顔を立てると思って、一つ儂のもてなしを受けてくれ!」

 

そう言われ、勇作達は厳顔の住む屋敷に行く事にした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お帰りなさいませ、厳顔様」

 

門番が挨拶をする

 

「んっ。変わりないか?」

 

「はっ!」

 

塀に囲まれた、立派な屋敷を見回し

 

「へぇ~、厳顔さん本当にこの辺りを治める太守様だったんだね」

 

「けど、全然そうは見えないよね」

 

「しっ!そんな事言っちゃ駄目ですよ!」

 

朱里は慌て出す

 

「厳顔、全然偉い人には見えないのに、本当に太守でびっくりなのだ」

 

「はっはっは!そうか、儂が本当に太守でびっくりしたか?」

厳顔は高笑いする。

 

「……」

音を立てずに去ろうとする魏延

 

「ちょっと」

 

勇作は魏延の手首を掴む

 

「な、何をする!!」

 

「どこ行くの?」

 

「おい焔耶。何処に行く?」

 

「あっ、いえ……ちょっと用足しに……」

 

「なら、その前にちょいとお仕置きを受けてってもらおうか?」

 

その一言に顔面蒼白。魏延の顔は正にその状態となった

 

「(それにしても)」

 

厳顔は勇作を見る

 

「(こやつはいったい何者なんじゃ。只者ではないことは明らかじゃが……それは後にするか)」


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