TV版恋姫†無双・・・覇気と六爪流を使う転生者   作:ヒーロー好き

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第九十五席 呂蒙、孫権の警護に就くのこと

呉へと向かうため、愛紗は一人で旅をしていたが暇そうにあくびをしていた

 

「ふあわ~一人旅は気楽でいいがいささか退屈だな」

 

そういうとその場で止まり偃月刀を振る……がすぐにやめる

 

「暇つぶしに一人しりとりでもするか?最初は……鈴々…だと終わってしまうから張飛!」

 

歩きながら考える愛紗

 

「ひ……ひ……昼飯!し……し……汁粉!こ……こ……江東!」

 

江東という言葉に愛紗は空を見ながら

 

「江東か。以前あそこに行ったのは随分前の事になるが…孫家の人達は、どうしているであろうな……?」

 

そんなことを考えていると

 

「………」

 

後ろに視線を向ける

 

「隠れてないで出てきたらどうだ。ずっとつけているのだろう」

 

愛紗がそういうと

 

「「「「「へへへ」」」」」

 

賊らしき男が五人出てきた

 

「良く気付いたな。本当はてめえが油断している時に襲うつもりだったが」

 

「あれだけの気配…私が気付かないとでも」

 

「兄貴…やっちゃいましょう」

 

「へへへ、そうだな」

 

「下郎が!貴様らのような悪党はこの関羽が成敗してくれる!」

 

「関羽だと」

 

「関羽ってたしか…天の御使いの所にいる武人で黒髪の山賊狩りと言われている」

 

「はん!山賊狩りは黒髪の綺麗な絶世の美女はずだ!こんな奴が黒髪の山賊狩りな訳ないだろ!」

 

「………」

 

「言われてみればそうですね!」

 

「そうだな」

 

「こんな奴、御使いが好きになるわけなだろう」

 

「そうっすね」

 

「仮にそうなら御使いの見る目が悪いだろうな」

 

「そうだな」

 

「「「ハハハハハ」」」

 

 

そんなふうに賊たちが言っていると

 

 

 

 

 

 

 

 

ぶっちぃぃ~~~~~~~ん!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?何だ音?」

 

「何かが切れたような」

 

「あ、兄貴」

 

「どうした?」

 

「あ…あれ」

 

「あれって……ん?ひぃ!!」

 

五人の賊の視線の先には

 

 

「フフフ、フフフフフ」

 

尋常じゃない雰囲気をだし、笑顔でこちらを見ている愛紗がいた

 

「ア、アニキ」

 

「な、何だこいつは」

 

「恐ろしいんだな」

 

「キサマラ!!」

 

「「「「「ひ、ヒィィィィィィィ!!!」」」」」

 

恍惚の表情で妖艶で狂気に満ち溢れている愛紗に怯え始める賊たち

 

「シヌカクゴ」

 

青竜偃月刀を構え

 

「デ・キ・タ?」

 

「や、やばい!!逃げるぞ!!」

 

賊たちは後ろを向いて逃げようとするが

 

「ニ・ガ・サ・ナ・イ」

 

「「「「「!!?!??」」」」」

 

そこにはまるで瞬間移動でもしたのか愛紗が立っていた

 

「……」

 

賊に近づく愛紗。賊たちは逃げようとするが

 

「「「「「(体が動かない)」」」」」」

 

金縛りにあったのか動かなかった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして五人の断末魔と女の笑い声が響き渡るのであった

 

 

 

 

 

「(ご主人様。私が愛するご主人様。私の心の居場所のご主人様。この関羽、ご主人様を愚弄した者を見事成敗いたしましたよ!ご主人様ご主人様ご主人様ご主人様ご主人様ご主人様ご主人様ご主人様ご主人様ご主人様ご主人様ご主人様ご主人様ご主人様ご主人様ご主人様ご主人様ご主人様ご主人様ご主人様ご主人様!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

別の場所

 

 

「うお!!」

 

「どうました?ご主人様?」

 

「いや、俺のせいで断末魔が聞こえたような」

 

「断末魔?」

 

「そんなの聞こえなかったのだ」

 

「気のせいでは?」

 

「そうかな?」

 

「きっとそうだよ!」

 

「(おかしいな?見聞色の覇気は今は使えないのに愛紗が向かっている江東の方から聞こえたようだったみたいだけど)」

 

考える勇作

 

「(江東といえばあの人たちはどうしているかな)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わり江東

 

 

「………」

 

「………」

 

呉軍の訓練場で、二人の女性が組み手を行っていた

 

「ふっ!!」

 

「ふっ!!」

 

一人は、甘寧。もう一人は、丈の短い戦闘服を身に付けた薄い栗色の髪をした少女

 

「ふっ!」

 

「はっ!」

 

他の親衛隊員が観戦する中、二人は拳と拳をぶつけ合う

 

 

「………ふ」

 

模擬戦を遠くから眺めていた孫権は少し見た後その場を後にした

 

 

「……」

 

「……」

 

けん制しあう二人。その時強風が吹く

 

 

少女が勝機と見たか動く

 

 

「はあ!!」

 

「……」

 

甘寧はそれを躱し反撃する。少女が体勢を崩すと甘寧の鋭い蹴りが、少女の顎を捉える。少女もそれに反応し、回避の動きを取る

 

「(見切った!)」

 

顎を引き、甘寧の攻撃をかわし

 

バン!!

 

た見えたが、甘寧の蹴りは直撃。仰向けに倒れてしまった

 

「(かわした……筈なのに)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日が落ち、夕暮れ時となった

 

「あら、呂蒙さん。おかえりなさい」

 

湿布が貼られた顎を押さえながら、寮に帰宅する

 

「ただいま、管理人さん……」

 

「どうなさったんですか、それ?」

 

「いや、その……ちょっと訓練で」

 

寮の管理人に苦笑いで答える呂蒙

 

「ほら、呂蒙さんにおかえりは?」

 

管理人の後ろに隠れる、小さな男の子

 

「ん?」

 

目を細めて顔を見つめる

 

「ひぃぃぃ」

少々つり目気味な呂蒙を見て思わず怯えてしまう男の子

 

「もう、この子ったらいつまでも人見知りが直らないんだから」

 

「あはははは…はあ」

 

重いため息をつきながら、寮に戻っていくのであった。

 

 

 

 

 

 

 

ある日

 

 

「えっ、私が孫権様の部屋の警護に!?」

 

「ああ、日が落ちてから明け方までの夜番だ。しっかり励めよ」

机上で書類仕事をしている甘寧から、突如与えられた護衛任務

 

「で、ですが、私にその様な大役……」

呂蒙は慌て出すが

 

「親衛隊には、命令への質問も拒否もない!」

 

「も、申し訳ありません!」

 

姿勢を正し、掌に拳をつけ、礼を行い

 

「呂子明!孫権様の警護の任、慎んで拝命致します!」

 

後ろ歩きで部屋を退室するが

 

ドン

 

「はっ!失礼します」

 

扉にぶつかりながらも退屋する呂蒙。その様子に心配の表情をする甘寧であった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その夜

 

「………」

 

呂蒙は部屋の前で見張りを行っている

 

「あら、あなた……」

 

すると、孫権が戻ってきた

 

「ほ、本日より、孫権様の部屋の警護を務める親衛隊の呂蒙と申します!」

 

張り切っているのか、大声を張り上げる呂蒙

 

「そ、そう……よろしく頼むわね」

 

「はっ!」

行き過ぎるテンションに、思わず苦笑いする孫権

 

「元気が良いのはいいけど、もう遅いし、あまり大きな声は……」

 

「も、申し訳ありません!以後、気を付けま」

 

その口に孫権の人差し指が添えられ、言葉が終わり、ニコリ、と微笑み、部屋へと戻る孫権

 

「……」

 

残された呂蒙は、唇に手を添え、顔を赤くしていた

 

 

 

 

「孫氏いわく兵は国の大事であり死生の地、存亡の道、察せざるべからざるなり」

 

「(孫権様は、今夜も学問に励んでおられる。私が警護の任に就いてから、一日たりとも勉強を欠かされた事がないとは……何と熱心な)」

 

数日間、呂蒙は警護を怠る事なく、与えられた任を遂行していた

 

 

「(それにしても、孫権様の声……。凛々しくて、落ち着きがあって、それでいてどこか優しさが感じられて……)」

 

孫権の声音を耳で拾い、聞き入っていた

 

 

 

「どうだ呂蒙、孫権様の様子は?変わった事などないだろうな?」

 

「はい。毎夜、熱心に勉学に励まれております」

 

 

甘寧への状況報告を終え、今日も任務につく呂蒙であった


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