TV版恋姫†無双・・・覇気と六爪流を使う転生者   作:ヒーロー好き

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第八十二席 馬岱、修行するのこと

居間にて、朝食を味わう一同

 

「……」

 

「……」

 

馬岱は気まずそうに横目で様子を窺う。対して翠はいかにも不機嫌なオーラを出しており、しかめっ面を通している

 

「ご、ごちそうさまぁ!」

 

「たんぽぽ」

 

「ギクッ!?」

 

「まったく……脳筋ってどういう意味だよ、脳筋って」

 

「の、脳筋っていうのは、脳みそ筋肉の略で」

 

机を強く叩くと、翠は椅子から立ち上がった

 

「そういう事を言ってるんじゃない!」

 

「てへ」

 

「たんぽぽ、お前が西涼から出てきて修行したいって言うから、ここにおいてやってるのに、毎日毎日イタズラばっかして…………。今度こんな事したら西涼に強制送還だからな!!」

 

「えぇ~~!?」

 

「まあまあ、翠ちゃん。そんなに怒らないで。馬岱ちゃんはうちの璃々とも遊んでくれてるし……時々はお手伝いだって」

 

「だからって、あんなイタズラは……」

 

「……ぷっ!」

 

紫苑は今朝の事を思い出してまた笑いが込み上げる

 

「そ、そうね……今朝のはちょっとアレだったけど。でもほら、悪気はないんだし……ね?」

 

「そうそう、罪のないイタズラなんだから大目に見なきゃ」

 

「ってお前が言うな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

桃花村から少し離れた場所にある裏山。翠と馬岱の二人は、そこで修行を行っていた

 

「よしっ!それじゃあ、今日も特訓始めるぞ!」

 

「ほいっ!」

 

「まずは…兎飛び」

 

おもりを付けて行うが途中でこける馬岱

 

「腹筋」

 

木の枝に足でぶら下がり、上半身を起き上がらせる。翠はすいすいやるがタンポポは途中で木から落ちる

 

「腕立て」

 

翠が上に乗り、タンポポが腕立てを行うが動けない

 

「素振り」

 

木の棒での素振りをする二人

 

「ハイハイハイハイ!」

 

なぜかコサックダンスをする二人

 

「ぜぇ…はぁ…はぁ」

 

馬岱は息を荒くしながら、地面に寝転ぶ

 

 

「準備運動はこんくらいかな……じゃあ本番行くぞ!」

 

「はぁ~~い」

 

 

 

 

着た場所が

 

 

 

 

「………………えっと、一つ聞いていいかな?いったいここ、どこ?」

 

馬岱が指差す下の場所には、激しい渦潮が発生している湖があった

 

「いいか?激しい渦の回転に耐える事で、どんな動きにも対応できる身体能力を養うんだ。危なくなったら引き上げてやるから、心置きなく行ってこい」

 

用意した縄は、馬岱の腰にしっかりと巻き付いている

 

「いや、だからここは一体どこか」

 

「そらっ」

 

蹴飛ばして馬岱を渦の中に入れる翠

 

「うわあああああ!!」

 

 

渦の中でぐるぐる回る馬岱

 

 

「だから、ここ、何処なの~~~~~~~~!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さらに別の場所

 

 

「…………ええと、もっかい聞いていいかな?」

 

「ん?」

 

「いったい!ここ、どこぉぉぉぉぉ!!?」

 

場所は分からないが、火山口に二人はいた

 

「次の特訓は、こうやって」

 

「えっ!!」

 

「逆立ちして、この周りを十周だ」

 

「ええっ、わざわざこんな所で?それに…………」

 

「どうした?早くやってみろ。逆立ち歩きは得意だろ?」

 

「たんぽぽは別にいいんだけど、姉様その格好だと、丸見えだよ?」

 

「えっ?」

 

翠はミニスカートを穿いているので、見えるのだ

 

「にししし」

 

「い、いいからさっさとやれ!!」

 

「は、はいっ!」

 

馬岱も逆立ち歩きを始めるのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

無数の林に挟まれた、数十段はある石段の先に、紫苑が弓を構えていた。馬岱は、木の棒を手に構え、右横には、的が置いてあった。その様子はまさに野球そのものであった

 

「いきますわよ」

 

「っ!」

 

紫苑は矢を手に取り、弦を強く引いた。馬岱も気を引き締める

 

「っ!」

 

紫苑は狙いを定めた後、矢を放った

 

「どっこいっ!」

 

が当たらす、的である丸太に深々と突き刺さる

 

 

「目を反らすな、タンポポ!」

 

「はぁ……はぁ……!」

 

木の棒で体を支える馬岱

 

「どんなに速くても、ちゃんと目を開いて見てさえいれば、動きは捉えられる」

 

翠からの助言を受け、馬岱は再び立ち上がる

 

「いきますわよ」

 

 

 

 

紫苑は弓矢を構え、対して馬岱も木の棒を構える。放たれた矢は的へと向かっていく。

 

 

「うぉぉりゃあっ!!」

 

的の丸太にまた刺さるが、棒にかすらせる事が出来た

 

「それじゃあ駄目だ!もっと真芯で捉えろ!」

 

馬岱はめげずにバットを構える

 

 

「……」

 

三度放たれた矢。馬岱は片膝を着き、そのまま振り抜いた。

 

「うぉぉぉりゃあああああ!!」

 

棒の真芯に捉え、矢は棒の芯に突き刺さった

 

「よしっ……!」

 

翠は笑みを浮かべる

 

「も、もう、駄目……」

 

限界が来たのか、馬岱は息を切らしながら地面に寝転ぶ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

午前の鍛練を終え、翠と馬岱は、屋敷の居間で休憩していた

 

「昼飯はちゃんと食っとけよ!」

 

昼食を食べ終えると、翠は立ち上がる

 

「さあって、少し休んだら特訓の続きやるか!」

 

「えぇ~、もうヤダ!疲れたよ~~」

 

「何いってんだ。お前修行の為に西涼出てきたんだろ?こんな程度で音ねを上げてちゃ駄目じゃないか……そもそも武術というものは日々の鍛練が大切で、どんなに辛くてもそれを我慢して修行し続けて、初めて身に付くものなんだ」

 

「……鍛練だの我慢だのって言われても、おしっこ一つ我慢出来ないお漏らしっ子のお姉様に言われても説得力ないんですけどぉ?」

 

「だ、誰がお漏らしっ子だ!お漏らししてたのは子供の頃の事だろ!?」

 

翠は顔を赤くして否定する

 

「へぇ、じゃあ今はちゃんと我慢出来るんだ?」

 

「当たり前だ!」

 

「なら証拠見せてよ」

 

「あっ?証拠?」

 

台所に移動した二人。その間にある大きな水瓶。高さは翠の腰までで、中には、大量の水が入っていた

 

「この水ぜぇんぶ飲んで、そうだな……晩ごはんの時までおしっこ我慢できたら、もうお漏らしっ子じゃないって認めてあげる」

 

「ようしっ!」

 

翠はゆっくりとその水を飲み干していく

 

「にひひ」

 

「……ぷはぁっ!これでいいんだな?」

 

「いい?我慢するのは晩ごはんの時までだからね?それまではぜっっったい厠に行っちゃ駄目だよ?」

 

「ああ、分かった」

 

「にひひ、おもらししたら、お姉様がご主人様って言っている人はどう思うのかな」

 

「な、なな何言ってんだよ!!」

 

「嫌いなったりして」

 

「そんなわけないだろう!!そんな…わけ…」

 

「まあ、それまで楽しみにしているよ」

 

「ううう」

 

「私も早くご主人様に会いたいし」

 

「随分と楽しみだな」

 

「だって、お姉様がまったく敵わないぐらい強いんでしょ。それにお姉様その人こと好きみたいだし」

 

「な、何言ってんだよ!!」

 

「にひひ」

 

「たんぽぽ!!」

 

「(お姉さまもそうだけど、璃々ちゃんのお母さんもその人のこと好きみたいだし、これはこれで楽しみだね。早く帰ってこないかな…ご主人様!)」


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