TV版恋姫†無双・・・覇気と六爪流を使う転生者   作:ヒーロー好き

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お久しぶりです

遅れてしまい、申し訳ありません

「余命一ヶ月の北郷一刀」は一週間以内には投稿するようにします

では、どうぞ


第七十九席 朱里、鳳統と薬草を摘みに行くのこと

夕食を終え、風呂の時間となった

 

「先生〜!お風呂空きましたよ〜」

 

客間の方では、劉備が懲りずに剥いた蜜柑を愛紗に食べさせようもしていた

 

「はい、あ~~ん」

 

「りゅ、劉備殿…それはもう」

 

「もう、まだ劉備殿なんて…ちゃんとお姉ちゃんって呼んで下さい」

 

「だから」

 

「愛紗お姉ちゃんは鈴々にあ~~んなのだ」

 

「おいおい」

 

「皆さんの寝台は客室に御用意致しましたから、そちらで休んで下さいね」

 

「かたじけない」

 

「ありがとうございます」

 

「朱里、あなたのお部屋…今はこの子が使っているの。だから、今夜はそこで二人で寝て頂戴ね?」

 

「はい」

 

朱里は快く引き受けてくれた。しかし、鳳統は水鏡の服の裾を握る

 

「えっ?なぁに?どうしたの?」

 

「嫌…知らない子と一緒に寝るの、いや……」

 

「えっ……?」

 

静かに駄々をこねる鳳統

 

「……しょうがないわね。それじゃあ、今夜は私と一緒に寝ましょうか?」

 

鳳統は嬉しそうにコクコクと頷いた。それを見ていた朱里は、どこか残念そうに顔を暗くしていた

 

「……あら、高杉さん」

 

水鏡が廊下の方を見ると、勇作がいた

 

「どうも」

 

「貴方、部屋に居たはずでは」

 

「ちょっと、厠に行きたかったんで」

 

「そのために片足で、ここまで」

 

「なんともないですよ。それに良い訓練にもなりますし」

 

「はあ」

 

「じゃあ、俺は行くんで」

 

「けど、まだ遠いですよ」

 

「…なら鈴々がおぶるのだ」

 

「えっ、いや、でも」

 

「気にするななのだ」

 

「その」

 

勇作が困惑していると

 

「…あの…これを」

 

鳳統が何かを持ってきた

 

「使ってください」

 

「あれ、これって」

 

それは木造の車いすであった

 

「それは私が作った」

 

「そういうばそれがあったな」

 

勇作は車いすに座る

 

「ふう、楽になった」

 

「じゃあ、連れて行きます」

 

「え?いや」

 

鳳統はそのまま勇作を押して連れて行った

 

 

「(あの子が、あんなことするなんて、珍しいわね)」

 

 

 

 

 

 

それぞれが寝台に入り、朱里もかつて過ごしていた部屋で寝ていた

 

「(この部屋で寝るのも久し振り……あの頃と同じ布団……あの頃と同じ枕……)」

 

そう感慨に耽っていると

 

「(私の髪とちょっと違う匂い。そっか……今はこの部屋、鳳統ちゃんの部屋なんだ……)」

 

鳳統の言葉を思いだし、表情を寂しく染める朱里。

 

「明日は…仲良くなれるといいなぁ……」

 

朱里は眠りについた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日

 

「う〜ん、ポカポカして絶好のお昼寝日和なのだ」

 

鈴々は物置小屋の藁でできた屋根に寝そべっていた

 

「張飛ちゃん!」

 

「なんなのだ?」

 

「そんな所でお昼寝してたら危ないですよ~?」

 

「って言われても、なんとかと煙は高い所が好きだからしょうがないのだ」

 

「なんとかって……」

 

「はあ」

 

劉備は苦笑い、愛紗はため息をついた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「みんな、お昼もいっぱい食べてくれましたね」

 

「そうね」

 

水鏡と朱里は、台所で食器を洗っていた。すると、水鏡の服の袖を小さく引っ張る鳳統。背中には、竹で編んだ籠があった

 

「ん?どうしたの?」

 

「先生、今日……」

 

「ああ……そういえば、今日は一緒に薬草を摘みに行く約束してたんだったわね」

 

鳳統はコクコクと頷いた

 

「う〜ん……でも、今日はお客さんが来てるから、それはまた今度に……」

 

「………でも……約束……」

 

「そうね……確かに約束したわね。けど、いい子だから、聞き分けて頂戴。ね?」

 

鳳統は更に顔を俯かせ、悲しい表情を見せる

 

「あの、先生」

 

「ん?」

 

「よかったら、先生の代わりに私が一緒に行きましょうか?」

 

「っ!」

 

「そうしてもらえると、助かるけど……」

 

「いつも薬草を摘みに行っていた山、私も久しぶりに行ってみたいですし」

 

「……それじゃあ、お願いするわね」

 

「はい!よろしくね、鳳統ちゃん」

 

水鏡からの頼みを聞き、朱里は鳳統に明るく声をかける。しかし、鳳統は朱里と顔を合わさず、水鏡の服の袖を握ったままであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわ~前来た時と少しも変わってない!」

 

朱里は懐かしく感じ、目を輝かせている

 

「ほら鳳統ちゃん、これが肩こりに効く安芽流草。それで、こっちが胸やけに効く班白草これが便秘に効く後楽草」

 

薬草の解説をしながら、朱里は鳳統の方を振り向く。しかし、鳳統は彼女から距離を置き、一人で採集を行う。朱里は一人、寂しい表情を浮かべる

 

「鳳統ちゃん、薬草見つかった?」

 

そんなこんなで、採集は夕方まで行ったが、二人の距離は一向に縮まらなかった

 

「……」

 

朱里の籠には、中身が溢れる程の薬草が摘んであったが、鳳統の籠は、まだ半分も入っていなかった

 

「……」

 

黙々と薬草摘みを行う鳳統

 

「し、しょうがないよね……。鳳統ちゃんは、まだこの山の事をあまり知らないから……」

 

「…………」

 

「あっ、そうだ!もし良かったら、私の摘んだ薬草を分けてあげる」

 

籠を両手で持って近づく

 

「あ!!」

 

鳳統は前触れもなく立ち上がった。その拍子、朱里にぶつかって、彼女の籠が地面に落ちてしまった

 

「あっ……」

鳳統は表情を暗くした。朱里は謝りながら、薬草を拾い集める

 

「ご、ごめんなさい!私…ただ鳳統ちゃんとお友達になりたくて……だから」

 

「私はお友達になんかなりたくない……」

 

「えっ?」

 

「嫌い……嫌い……大嫌い!」

 

そう叫ぶと、どこかへ走っていった

 

「あっ、待って!」


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