TV版恋姫†無双・・・覇気と六爪流を使う転生者   作:ヒーロー好き

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第六席 勇作と関羽、趙雲と死地に赴くのこと

屋敷の外。勇作、関羽、趙雲は外に居た。

 

「ここに隠れるのか?」

 

「うむ、少々窮屈だがやむおえまい」

縦130センチ横60センチ高さ60センチぐらいの赤い箱だ。

 

「この中に二人で入るとなると、相当体をくっ付けないと・・」

 

「心配するな、私はその気が無くも無いので・・むしろ大歓迎だ」

 

「なるほど、それなら・・っへぇ!?その気て・・その・・あの・・ええ!」               

 

「(イタズラ好きだなーこの人)あれ?」

 

「どうしました?」

 

「いえ、箱がもう一つあることが気になりまして・・・」

 

「ああ、これは高杉殿の入る箱です」

 

「え?」

 

「武に心得があると知ったので、一緒にどうかと・・・」

 

「そうなのですか」

 

「よろしいですか?」

 

「趙雲殿」

 

「わかりました。行きます」

 

「では、入ろうか」

 

関羽と趙雲が一つ目の箱に入り勇作が二つ目の箱に入り出発した。尺銅山の山中を関羽達を乗せた偽の隊商が進んでいく。箱の中の関羽と趙雲はというと。

 

「ちょ、趙雲殿!」

 

「シッ、いつ賊が来るのか知れんのだ声を出されたら困る」

 

「そ、それはわかっているのだが趙雲殿の膝が///」

 

「私の膝がなにか?」

 

「あ///・・あぁ///」

 

「・・・///」

そばで聞いていた偽の隊商の男は恥ずかしながら運んでいく。

 

「(何をしているんだろ・・・・・ん?2人いるな)」

 

もう一つの箱の中で二人を心配する勇作、するとなにか感じた。それは偽の隊商を木陰から見る二人の賊だった。

 

その頃の公孫賛は執務室で仕事をしていた。するとそこに文官の男が入って来た。

 

「公孫賛様」

 

「どうした?」

 

「先程、囮の隊商が賊に襲われたの報告が」

 

「で、首尾は?」

 

「はい、隊商を装っていた者に怪我は無く荷物の方はまんまと賊供の手に」

策が成功し公孫賛の顔は笑みを浮かべた。

 

賊たちは、荷物を貯蔵庫に運んでいる、そして赤い箱を床に置いた、

 

「んぁ」

 

賊の一人が

 

「ん?」

と辺りを見回す、

 

「どうしゃした?」

 

「今、女の声がしなかったか?」

 

「ハァ?何言ってるんですかアニキ、幻聴がするなんてよっぽど飢えてるんですね」

 

「ふぅ、そうかもな、よし!村の娘に酌でもさせるか」

 

「今日も祝杯ですね!」

賊どもは、部屋を出て行った。

 

「行ったな」

と勇作が箱から出てきた。そして辺りを警戒しながら趙雲は顔を出す、

 

「大丈夫なようだな・・ふぅ」

 

「あ~ぁ~あ~ぁあ~ぁハァハァハァ」

 

関羽は、疲れきった様子でフラ~と立ち上がると、その場に座り込む。息が乱れ服も乱れていた。

 

「大丈夫ですか?」

 

「はい」

 

「どうやら地下のようだな」

 

「地下?」

 

三人は倉庫を出て辺りを警戒しながら進んでいく。

 

「恐らくここは昔、鉱山だったのだろう」

 

「その坑道を隠れ家にしたという訳か」

 

「いくら探しても見つからないはずだ」

 

「思った以上に広いようだがこれでは出口を探すのは一苦労だな」

 

「しかし、適中にあって得物がこれとは些か心もとないな」

関羽が懐から短剣を取り出した。関羽と趙雲の得物が長すぎるため持って来れなかったのだ。勇作は刀を一本しか持ってこれなかった

 

趙雲は関羽の揺れる胸を見ながら

「やむおえまい、おぬしのちちが邪魔でこれ以上大きい武器が入らなかったのだ」

 

「なぁ、べ、別に私の胸だけが場所を取っていたのではあるまい!」

 

「ふむ、確かにちち因りもおぬしの尻の方が場所塞ぎだったのかもしれぬな」

 

「な!///」

 

「(なんか、師匠みたい・・・ん!)」

 

「シィ」

趙雲は、辺りの音に聞き耳をたてる。関羽の表情が変わった・・おそらく賊たちであろう声が聞こえる

 

「(50人ぐらい居るな)」

 

 

 

賊の連中は坑道の広間らしき場所で酒を飲み交わしている。そして奥の方にには盗賊の親玉らしき人物が玉座で女の子に酌をさせている

 

「イヤ!やめてください!お願いします」

 

「へへへ~ぃ、いいじゃねーか減るもんでもない」

 

その様子を三人は影から見ている、関羽は怒りを露にしている

 

「おのれ、無体な・・成敗してくれる」

 

「関羽どうするつもりだ?」

 

「どうするも何も、助けに行く」

 

「とは言え、相手はあの人数だ」

 

「しかし」

 

「俺に任せてください」

と飛び出した

 

「高杉殿!」

 

「おい」

 

「ん?」

と数人の賊が振り向いた

 

「誰だ、テメェ!」

 

「俺の名は高杉、お前たちを退治しに来た」

 

「お前一人で」

 

「えへへ」

 

「クククッ」

 

勇作の前に大人数の賊が立ちはだかる

 

「この人数で勝てると思っているのかい」

と勇作は賊に向かって歩き出した

 

「高杉殿」

 

「バカ、戻れ」

 

「野郎ども、やっちまえ」

と賊たちは、勇作に向かって来たが

 

「うるさい」

と賊たちを睨む。すると

 

バタバタバタバタバタ!

 

賊たちは全員、気絶した

 

「ありゃ、もう、終わりかよ」

 

 

「なっ!」

 

「何をしたのだ!?」

と関羽と趙雲は勇作のやったことに驚いていた

 

「大丈夫?」

 

「はい、危ない所をありがとうございました」

 

「別にいいよ。当然の事をしたまでだ」

と関羽と趙雲が近ずいてきた

 

「(全員、気絶している!?)」

 

「(何故だ!?)」

 

「どうしました?」

 

「いえ」

 

「高杉殿」

 

「何?趙雲殿」

 

「これが終わったら手合わせして貰えますかな」

 

「こんな時にからかわないで・・・・・」

 

「今度は本気ですよ」

 

「・・・・・・」

趙雲殿は本気の目をしていた

 

「分かりました、お受けします」

と約束した

 

 

 

三人と村娘はその場所から離れた。そして事情を説明した。

「私はこの山の麓に住む者ですが、村の子供達と山菜摘みに山に入った時、偶然、ここへの出入り口を見つけてしまい・・」

 

「なるほど、それで捕まったという訳か」

 

「実はここの地下牢に村の子供達が捕まっているのです。もし、私が逃げ出した事が知れたらあいつらに何をされるか・・」

 

「どうするつもりだ?」

 

「無論、助けに行く」

 

「俺も」

 

「だろうな」

 

子供達の救出に地下牢へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、その頃の公孫賛は鎧を身に着けながら、

 

「何!張飛殿が」

 

「はい、関羽殿のお戻りが遅いので心配だから自分も賊の隠れ家に行くと・・」

 

「しかし行くと言っても、そもそも賊の隠れ家の場所が分からぬからこその今回の策であろう」

 

「はぁ、それは私も申したのですが、行けば何とかなるだろうからとにかく尺銅山の場所を教えろと」

 

「で、教えたのか?」

 

「はい、そしたら風の様に飛び出していかれて・・・」

 

 

 

 

 

尺銅山の山中。鈴々は歩いていた。

 

「迷子になったのだ~!」

 

涙目で叫ぶ声にカラスが一斉に飛び立った

 

「うぅー困ったのだ、これだと愛紗を迎えにいけないのだ・・そうだ!山で迷ったら木の切り株を見ればいいって、じっちゃんが言ってたのだ」

張飛は切り株を見付けてジィと見つめる

 

「んー年輪の広い方が南だから・・こっちなのだ!」

張飛はそちらに歩き出した。

 

 

 

賊の隠れ家の地下牢。賊の一人が地下牢を見張っている、中には子供たちがいるようだ

 

「なんで、俺だけ・・とんだ貧乏くじだぜ」

 

コン、コン

 

「ん?」

 

音の方を見ると壁に隠れて誰かは分からないが布切れを垂らすように持っている・・布切れを落としたと思ったら、そこから女性の生足・・そして(こちらにいらっしゃい)と言わんばかりのような手招き・・見張役の目がハ-トになると、吸い寄せられるようにそちらに向かっていく。そして

 

バキ!ドカ!ドゴ!

 

趙雲は鍵とついでに槍を取り上げる

 

「(普通、分かるだろう)」

 

「カギだ!」

倒れた賊からカギを取り地下牢の扉を開け子供達と逃げ出した。

 

「娘!出口の見当はつかないのか?」

 

「すみません」

 

「(探しながら行くしかないか!・・・ん?)まずい!引き返すぞ!」

 

「え?」

と趙雲は勇作のことに驚いていた。すると目の前に賊が横の通路から出てきた。

 

「なっ!」

 

「あ、いたぞ!こっちだ!」

見つかってしまい別の通路へと逃げる。

 

「(何で、分かった)」

方向を変え走り出した、分かれ道を抜け坂道を登ってゆく太陽の光が見えた

 

「出口だ!」

 

先頭を走っていた関羽に光が見えその先に行くと、行き止まりだった。下には深い谷底が見え向こう側との距離はかなりあった。

 

「くっ」

 

 

 

 

一方、鈴々は南に向かって歩いていた。

 

「はぁ、よく考えたら南に向かったからって何がどうなるものでもなかったのだ」

 

鈴々は落ち込み、ふっと横を見るとその先に関羽達の姿が見えた。

 

「ん?」

 

 

 

 

 

関羽と勇作は谷底を見てどうするか悩んでいたその時、

 

「愛紗~!お兄ちゃん~!」

 

向こう側から鈴々が居たのだ。

 

「やっと見つけたのだ!」

 

「「鈴々!」」

 

「そんな所で何をしているのだ?愛紗~!お兄ちゃん~!」

 

崖の反対側に鈴々は立っていた、勇作の目には横の大木が映り

 

「鈴々!その木をこっちに向かって切り倒せ!」

 

「なんでなのだ?」

 

「早く!」

 

「わかったのだ!うりゃあ~!」

 

蛇矛の太刀筋が木を一閃すると・・バキ!バキ!バキ!・・・ドーーン!轟音とともに木が倒れ橋が出来た

 

「なるほど!」

 

「これを渡って向こうへ逃げるんだ」

 

「さ、みんな」

 

「うん!」

 

子供たちは木の橋を渡ってゆく

 

「(よし、これで・・・・・もう、来たか)」

 

「ん?」

趙雲は後ろから追っての気配に気付いた。

 

「まずいな、急げ!」

 

「早く渡るんだ」

 

「大丈夫だ」

 

「はい」

 

「皆も焦らず落ち着いて」

 

賊が入り口から姿を現す、と同時に趙雲が槍で洞窟内部に叩き戻した。坂道を転げ落ちるように賊は転がり、中に居た数名を巻き込んで倒れていた。子供たちと女の子は、無事、橋を渡り終えた

 

「よかった~」

 

「怖かったよ~」

勇作と関羽が安心した顔で見ていたその時、二人の足場に亀裂が入り崩れ木が落ちた。

 

「きゃあ~!」

 

「うわっ!」

 

「愛紗~!お兄ちゃん~!」

 

その光景を向こう側から見ていた鈴々が叫んだ

 

「あぶな!」

 

「高杉殿!」

 

関羽が谷底に落ちそうになったが勇作が寸前に関羽の手を掴んでいた。そしてそのまま引き上げた

 

「危ない所でした」

 

「ありがとうございます、高杉殿」

 

「無事か、二人共!」

 

そこに趙雲が駆け寄る。

 

「危ないところだったな」

 

「ああ、だか橋が」

 

「万事休すか・・」

 

「クククッ」

洞窟の中から賊たちの声が近づいて来る。

 

「こうなったら覚悟を決めるしかないようだな」

 

「うむ」

 

「そうだな」

 

関羽は先程、趙雲が倒した賊が落とした剣を手にした。

 

「なまくらだが無いよりはマシだな、行くか、高杉殿、趙雲」

 

「星だ」

 

「えっ」

 

「共に死地へ赴く中だ、これから私の事は真名で呼んでもらう・・もちろん、勇作殿にも敬語はなしですぞ」

 

「わかった、星。私の事は愛紗と呼んでくれ」

 

「俺の事は勇作と呼んでくれ、星」

 

「では、行くぞ!勇作殿、愛紗」

 

「ああ!」

 

「おう!」

 

三人は賊達へ向かって行く

 

ザシュゥ!ザシュウ!肉を切る音と共に賊たちが倒れて逝く

 

「ぐは!」

 

「ギャー!」

 

「うあぁぁぁ!」

 

愛紗と星と勇作は賊の屍を乗り越えると、また賊たちへと斬りかかって行く劣勢を感じた親玉は、

 

「取り囲んで一気に押し込めー!」

 

声と共に賊たちは、三人を円方で包囲した。

 

「(キツイ、けど)」

 

「不思議だ。お主達に背を預けていると負けぬ気がせぬぞ、愛紗、勇作殿」

 

「私もだ!背中は任せたぞ!星、高杉殿」

 

「了解!」

 

「「「ハァ!」」」

 

三人は賊達に向かって行った。


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