TV版恋姫†無双・・・覇気と六爪流を使う転生者   作:ヒーロー好き

54 / 143
第五十四席 勇作、公孫賛に再び会うのこと

桃花村から旅立った勇作達は、道を歩いていた

 

 

「公孫賛、公孫賛・・・思い出せないのだ・・・・・・あ!ああ、街が見えるのだ」

ようやく公孫賛が治める街へと辿り着いた

 

「あれが公孫賛さんが治める街なんですね」

 

「ああ、やっと着いたな」

 

「白珪ちゃんが持っている宝剣、あたしのだったらいいのだけれど」

 

 

 

屋敷へ向かう途中、ある十字路が目に入った。

 

「あっ、この道見覚えがあるのだ」

と十字路の真ん中に立つ。

 

「この向こうに鈴々の村があって、確かこの辺で愛紗とお兄ちゃんに真名を預けたのだ」

 

「そうだったな、鈴々・・・よく覚えてるじゃないか」

 

「なつかしいな」

 

勇作と愛紗も、鈴々との出会いを懐かしむ。そのまま先を行くと、今度は大きな山を目にした

 

「あれが赤銅山か」

 

「ああ、お主達と賊退治に行った山だ」

 

「あれもなつかしいな」

 

赤銅山に蔓延る賊を討伐するため、三人が賊の隠れ家へと侵入した

 

「あ、あの、潜入の為に小さな箱にお2人で入ってくんずほぐれつしたっていう・・・」

顔を赤くして俯く

 

「星、朱里にどんな話をしたんだ・・・・・・・」

 

「ありのままをだが?」

 

「おい!」

 

 

 

 

そんなこんなで、一行は公孫賛の屋敷の門前に着いた。

 

「これは趙雲殿、関羽殿、張飛殿に高杉殿。本日は我が主に御用で?」

 

「うむ、取り次ぎを頼む」

 

星は門番にそう頼む。

 

「はい。関羽殿、相変わらず綺麗な黒髪ですね」

 

門番は屋敷へと案内する

 

「(黒髪の山賊狩り)の名は伊達じゃないですよね」

 

「前来た時も褒められたのだ」

そう言うが

 

「ああ、黒髪だけ・・・な」

複雑な心境だった。

 

「大丈夫だよ・・・自信を持ってもいいから」

 

「ありがとうございます・・・ご主人様」

 

「ああ、それと高杉殿!」

 

「ん?」

 

「貴方の噂は聞いております・・・ぜひ話を聞かせてください・・・我ら兵一同聞きたがっていますので」

 

「はあ」

 

「おや・・・これは愛紗以上ですな・・・主」

 

「そうかな」

と勇作は少し困惑していた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勇作たちは屋敷の庭にある、客間で待っていた。そこへ、支度をした公孫賛がやって来た。

 

「待たせたな!ん?」

と劉備の顔を見ると、

 

「おおっ、桃香!どうしてお前がここに?」

と喜びと驚きの声を上げる。

 

「実はね、白珪ちゃん」

 

「おいおい、私とそなたの仲ではないか。昔共に机を並べて学んでいた時の様に、私の事も真名で呼んでくれ」

 

「え?」

 

「どうした?まさか私の真名を忘れた訳ではあるまい」

 

「ギクッ!う、うん!もちろん!え、えーと確かー」

 

「(本気で忘れてるな・・・これ)」

考えている姿を見てそう思う勇作

 

「あっ!パイパイちゃん!」

 

「白蓮だ!!」

間違えを指摘するように、自分の真名を叫ぶ

 

「ほ、ほら、ちっちゃい時はそう呼んでたから、つい・・・・・・」

 

「ちっちゃい時はちっちゃい時だ!これからはちゃんと、白蓮と呼んでくれよ?」

 

劉備に呆れながら公孫賛は溜め息をつく。

 

「それにしても、懐かしいね」

 

「ああ。ほら、皆で盧植先生の所へ遊びに行ったのを覚えるか?」

 

「うん!あれ?その時パイパイちゃんいたっけ?」

 

「白蓮だ!!」

 

その後も公孫賛はその時の話をするが、劉備は思い出す気配がない。

 

「うーむ」

 

「どうした?星」

 

「いや、流石にああいうのを見せられると、影が薄いのをネタにしていたこと罪悪感が・・・」

 

「そうですね。劉備さん、悪意がない分、ある意味星さんよりたちが悪いかも・・・」

 

「たしかに・・・」

 

「む!主!どういう事ですか」

ムッとする星

 

 

「思い出したのだ!公孫賛は、このお姉ちゃんなのだ!」

 

今頃思い出した鈴々。公孫賛は忘れられていた事に気づき、またも肩をガクンと下ろす。

 

「ま、まあ、それはさておき、張飛、関羽、趙雲、高杉。お主達も久し振りだな」

四人を見渡すと、見たこともない女の子、朱里がいることに気づいた。

 

「そちらは」

 

「この子は諸葛孔明!軍師だよ」

 

「おお、そうか・・・てっきり」

 

「違いますからね!!」

 

「えっと・・・私はまだ何も・・・」

 

「なんとなく予想は付きます」

と言う

 

「(なんで何かしらと子供につながるんだ)」

と覇気で読む勇作

 

「それはそうと高杉・・・桃花村での活躍!耳にしたぞ」

 

「え?」

 

「何の話?」

 

「何だ・・・桃香は知らないのか」

と公孫賛は話す。村に襲いかかる五千人の賊を一人で壊滅させ、村を救ったこと、勇作が前に流れていた天からの御使いだということ、そのことがあっちこっちの所で噂になっていて、一部の所じゃ、勇作のことを(天竜王)天の国からきた竜の王と言われている

 

「という訳だ」

 

「へえ・・・高杉さん・・・凄いですね」

 

「別に・・・そういうわけじゃ」

 

「そういうことはない・・・誇って良いことだぞ」

 

「そうですよ」

勇作をほめる公孫賛と劉備

 

「どうも」

少し顔を赤くしながら頷く勇作

 

「・・・・・・・・・」

その様子に少し不機嫌な表情になる・・・愛紗 星 朱里

 

「(なんで愛紗達、不機嫌になっているのだ)」

と3人の様子に?マークを浮かべる鈴々であった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え!!宝剣はここにはない?」

宝剣がないことを知る劉備。公孫賛は暗い表情になり、顔を俯かせている。

 

「うむ・・・実は去年、我が領内は大変な不作でな。どうにか遣り繰りしてきたが、とうとうそれにも行き詰まり、少し前・・・袁紹の所へ行って、食糧を貸してくれる様頼んだのだが・・・私が宝剣を手に入れたという噂を何処かで聞いたのだろう。食糧を貸すのはいいが、そのかたに宝剣を預けていけと言われ、やむ無く・・・・・・」

 

「袁紹殿の所に宝剣を置いてきた、と」

 

「すまぬ!そなたの物だと分かっていれば、食糧のかたになどしなかったのだが・・・」

思いきり頭を下げ、劉備に謝罪する公孫賛

 

「しょうがないよ。知らなかったんだし」

と答える

 

「いや、今にして思えば、あの見事な鞘の造りといい、柄に填められた赤く輝く宝珠といい、あれは正しく子供の頃、家で見せられた宝剣に違いない。気づいて当然だったのに・・・!」

 

「もういいって・・・」

自らを責め続ける公孫賛。そんな彼女に、優しく微笑む

 

「それに、宝剣をかたにしたのって、ご飯を食べられなくて困っている人を助ける為にした事なんでしょ?だったら私文句なんて言えないよ」

 

「・・・・・・桃香」

 

「うん!」

 

「ほう」

 

「(仁徳の王だな・・・劉備は)」

 

「事情はともあれ、宝剣がないのなら、長居は無用だな」

 

「何日もかけて旅してきたのが無駄になっちゃったのだ」

 

「その旅の間に、入れ違いになってしまうとはな・・・」

 

「まあ、こういうことはあるよ」

 

「こうなったら、素直に返して貰えるかは分かりませんが、袁紹さんの所に行って頼んでみるしかないですね」

 

「そういうことなら、私も一緒に行って、返してくれる様に掛け合おう」

 

「ありがとう、パイパイちゃん!」

 

「白蓮だ!!」

 

公孫賛の手をとって、礼を言う劉備。またまた真名を言い間違えられるのを見て、愛紗星はため息をつく

 

「(そう簡単にいくかな・・・)」

と心配するのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

袁紹の屋敷の一室。目の前に鏡を置いて、下着姿の自分を眺めている顔良がいた

 

「うーん、やっぱりお腹を出す水着はやめといたほうが無難かな」

自分の体の腹部を見て思う

 

「斗詩!!」

 

突然バン!と扉が勢いよく開き、文醜が入ってきた。顔良は慌てて体を抱いて踞る

 

「ちょっと猪々子!いきなり入ってこないでよ!!」

 

「客が来たんだけど、麗羽様は?」

 

「え?きっといつもの所よ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ・・・ん、そこそこ・・・・・もっと、もっと強く」

艶々しい声を出しながら、憩いの時間をを過ごしている。しかし、突然の入室によってその時間は終わった。

 

「麗羽様!あ!」

袁紹はそこで、侍女達によるマッサージを受けていた

 

「何ですの、猪々子?私の憩いの時間を邪魔しないで頂戴」

 

「いいじゃないですかちょっと位!麗羽様は憩いの間に人生やってる様なもんですし」

 

「何ですって!?」

 

「ふん!」

 

「あの、先程から公孫賛殿がお待ちなんですけど・・・」

 

「分かってますわよ」

と面倒そうに体を起こす。

 

「あんな辺境の貧乏領主。いくらでも待たせておけばいいのよ」

 

「「はあー」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

広い謁見の間・・・勇作達六人と公孫賛は、横一列に並んでいた。正装に着替えた袁紹は、文醜、顔良と共に入室する

 

「あら関羽さん・・・あなた達も来てたんですの?」

 

「遅いぞ袁紹!どれだけ待たせる気だ」

 

「あーら公孫賛さん?人から物を借りてる割には態度が大きくありませんこと?」

 

「ぐっ」

 

「あの、袁紹さん」

 

「あなたが劉備さん」

 

「ん?」

と袁紹は玉座に腰掛ける。

 

「用件は聞いていますわ。あの宝剣を返せというのでしょう?」

 

「は、はい」

 

「駄目ですわ。あれはわたくしがそこの貧乏領主から貸した食糧のカタとして預かっているものなんですから。もし返して欲しければ、貸した食糧耳を揃えて持っていらっしゃい」

貸した分を返せと言い放つ。

 

「袁紹!そこを何とか、頼む!」

 

「お断りですわ」

 

「えっ!?」

頭を下げるも即座に断られる公孫賛!すると、袁紹はニヤリと口角を上げる

 

 

「・・・と言いたい所ですけど、丁度退屈してた所ですし・・・私達と勝負して勝てたら返してあげてもいいですわよ」

 

「「「「「「勝負?」」」」」」」

そのことに驚きの声を上げる

 

「(・・・・・・・・・)」

だが勇作は袁紹をじっと見ていた

 

 

 

 

 

 

 

場所は変わり、屋外にある鍛練場。

 

「さぁ!袁紹様の気紛れで始まった(宝剣争奪戦)!!果たして勝つのは!?・・・名門袁家を代表する可憐にして優雅な袁紹様か!?影の薄い貧乏領主の公孫賛か!?」

 

「くぅ・・・好き勝手言いおって」

陳琳の紹介に腹を立てる公孫賛。闘技場の周りには、大勢の観客が観に来ていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「注目の第一試合は・・・・・・次回の投稿で!!」

 

 

 

「(何を言っているんだ?)」


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。