TV版恋姫†無双・・・覇気と六爪流を使う転生者   作:ヒーロー好き

53 / 143
第五十三席 英雄、再び旅に出るのこと

一泊することになった劉備。今彼女は、屋敷の風呂場で体を安らいでいた。

 

「お風呂なんて久し振り・・・うふふ・・・お魚になった私・・・なんちゃって」

桃色の長髪をタオルでまとめ、湯に浸かっていた。

 

「えっと・・・黒髪が綺麗なのが関羽さん、お利口な方のチビッ子が孔明ちゃんで、そうじゃない方が鈴り・・・じゃなくて張飛ちゃん・・・言葉にしにくい雰囲気の趙雲さんに、おっぱいが一番大きい黄忠さんと娘の璃々ちゃん、皆さんからご主人様と呼ばれている高杉さん、最後に馬超さん」

 

劉備は今日あった人たちの名前を憶えていた

 

「みんな優しい人達でよかったなぁ・・・」

と心からそう思った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

快晴の青空の下、劉備の見送りに勇作、愛紗、鈴々と朱里、そして星の五人が村の前の一本道に来ていた。

 

「それじゃあ皆さん。お世話になりました」

 

「ああ、また賊に襲われぬ様、道中気を付けてな」

 

「はい。けど、いくら私がぼんやりでもそう度々襲われる程、間抜けじゃないですよぉ?」

 

「い、いや、そういう意味では・・・」

愛紗に対して、ふてくされた様に言った後、すぐに笑顔を返す劉備。

 

「達者なのだ!」

 

「皆さんも」

と皆が戻ろうとした時

 

「・・・!!ちょっと待て!」

声を上げる

 

「どうしましたか?」

 

「劉備の所へ行くぞ!!」

と同時に

 

 

 

 

〈きゃああああああっ!!〉

 

 

森の方向から聞いた事のある悲鳴が聞こえ、急いで駆けつける。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「大人しくしやがれぃ!!」

昨日、劉備を襲った三人組がまた彼女を襲っていた。アニキは劉備の胸元を掴むと、力一杯引っ張った。服はビリビリに破け、劉備の胸が露になる。

 

「嫌っ!!」

 

顔を羞恥に染め、嫌がるように胸を隠す劉備。

 

アニキ「昨日はしくじったが今日こそは・・・」

 

 

 

〈そこまでだっ!!〉

 

「あぁっ?ってまたお前らか!」

声のする方を向くと、勇作達がいた。

 

「これはこっちのセリフだ!性懲りもなく悪行を繰り返すとは言語道断!今度こそ、この青竜偃月刀の錆にしてくれる!!」

皆それぞれ、武器を構える。しかし、賊は慌てる様子を見せない。

 

「へっ!?威勢がいいのは結構だがこいつがどうなってもいいんだろうな!

 

「ひっ」

と剣を向ける。

 

「くっ!卑怯な!」

 

「ん~どうしたぁ?人質が居ちゃ手も足もでないか!ひゃははははは」

 

「スゲー!アニキ。本当の悪役みたい」

 

「さーて昨日の分も含めてたっぷり借りを返させてもらうぜ!」

 

「そこまでだっ!!」

と聞こえ、上を向く。大木のてっぺんに、蝶の仮面を被った水色の髪の少女がいた。

 

「何だてめぇは!」

 

「ある時はメンマ好きの旅の武芸者。またある時は露天風呂に華を添える謎の全裸美女。しかしその実態は・・・!乱世に舞い降りた一匹の蝶!美と正義の使者!華蝶仮面推参っ!!」

 

とうっ!という掛け声と共に、華蝶仮面は飛び降り、華麗に着地する。この名乗りを何度も聞いた勇作達は、呆れ混じりに見ていた。

 

「悪党共・・・観念するなら今の内だぞ?」

 

「へっ、何言ってやがるこっちには人質がいるんだぞ?へへへ」

 

賊が余裕をかましている中、劉備はキラキラと尊敬の眼差しを送っていた

 

「くっ、やむおえない。この技だけは使いたくなかったが・・・秘技!(影分身)!!」

 

華蝶仮面は、賊の周りを残像が出来る程の速さで走り出した。円を描く様に回り、彼女が数人いるように見える。

 

「アニキ!か、仮面野郎が仮面野郎がだんだん増えて!?」

 

「び、ビビるたことはねぇ、只の目眩ましだ!!」

 

賊の三人は動揺を隠せない。

 

「(スゲー・・・(かすが)みたい)」

暫くすると、華蝶仮面が動きを止めた。

 

「こ、今度は何しようってんだ・・・?」

 

彼女は頭を押さえ、膝に手を置く。どうしたのかと、皆が思った。そして、口を開いた。

 

「・・・・・め・・・目が回った・・・」

 

「だあーーー!!」

賊は勢いよくずっこけた

 

キラーン

 

その瞬間、華蝶仮面は目を光らせる

 

「隙ありっ!」

 

「あ、てめぇっ!!」

 

彼女は劉備を抱き抱え、賊から離れる。

 

「さぁ、もう大丈夫だ」

 

「あ、ありがとうございます・・・」

 

「怪我はないか?」

 

「はい・・・華蝶仮面様」

 

うっとりと彼女を見つめる劉備

 

「相手がずっこけざるを得ない状況に追い込んで、その隙をつく。人間心理を巧みに利用した見事な策と言えましょう」

 

「ほ、本気か朱里・・・」

 

「いえ、冗談です・・・・・・・」

 

真顔で解説する朱里に、愛紗は苦笑いを浮かべる。

 

「卑怯だぞ!てめー!」

 

「そうだ!そうだ!」

 

「お前達がそれ言うか!」

と勇作が賊に向かって歩く

 

「何だ貴様!」

 

「高杉だが?」

 

「高杉だと・・・」

 

「兄貴!こいつは」

 

「何か知っているのか」

 

「知っているも何も此奴はヤバいすよ!こいつは高杉!義勇軍の総大将で天の御使いと言われて・・・前にこの村を襲った5千人の賊を返り討ちにし化け物っすよ!」

 

「な!何だと!」

 

「え!高杉さんが!!」

 

勇作は賊に向かってまだ歩く

 

「ビビるな!やっちまうぞ!」

と賊が武器を勇作に向けて振り下す

 

「・・・武装色・・・硬化!」

と言うと勇作の体が黒く変色した

 

ガチーーン

 

と音が響き

 

パリーーーン

 

賊たちの武器が砕けた

 

「な!なんだと」

 

「嘘だそう!!」

 

「ありえないんだな」

3人は信じられない表情をした

 

「・・・・・・」

劉備も同じだった

 

「気が済んだか・・・・・・・うせろ」

と勇作は覇王色の覇気を使い

 

バタバタバタ

 

3人は気絶した

 

 

「終わったよ!」

 

「賊はどこだっ!?賊は!?」

と何食わぬ顔で草の茂みから出てくる星

 

「賊なら、高杉さん達が退治してあそこに倒れています」

 

「くそっ、出遅れたか!」

と劉備が説明すると、星は悔しそうに歯軋りをする。その途端、他の四人は小さく集まりだした。

 

「(ど、どうするのだ?)」

 

「(取り敢えず、付き合ってあげた方がいいと思います・・・)」

 

「(だな。後でへそ曲げられたら面倒だ・・・)」

 

「(異議なし)」

話の結果、黙っておく事にした。

 

「そういえば、お主人質にとられていたのだろう?一体どうやって助かったのだ?」

 

「はい!華蝶仮面と名乗る、とってもかっこいい人が現れて、私を賊の手から救いだしてくれたんです」

 

「((((・・・えっ?))))」

 

どうやら、本人が目の前にいることに全く気づいていない様子。四人は目を丸くする。

 

「ほう、そんな事があったのか」

 

「せめて一言お礼を言いたかったのに、いつの間にかいなくなっていて・・・はぁ」

と劉備は息をつく。

 

「かっこいい上に礼も言われぬ内に姿を消すとは…きっと謙虚で慎ましい人柄なのであろう」

 

「よく言うよ・・・」

 

「凛々しく、美しいあのお顔。きっと仮面の下の素顔もさぞ素敵なのでしょうねぇ」

 

「そうかそうか!その華蝶仮面とやらはそんなに凛々しく美しかったか!」

 

「はい!」

 

機嫌の良い星は、勇作達の方を向く。

 

「なぁ愛紗、主。なんと言ってもこのご時世だ。劉備殿一人では、また賊に襲われるとも限らん。公孫賛殿の所まで、我等で送り届ける事にしてはどうだろう?」

そう提案する。

 

「星さん、劉備さんの事すっかり気に入っちゃったみたいですね」

 

「らしいな」

朱里がそう言うと、皆も同意する。

 

「どうだ?久し振りに旅に出るというのも悪くないと思うが」

 

「旅か・・・そうだな、それもいいかもしれないな・・・しかし、何はともあれ、まずは劉備殿の格好を何とかしないと・・・」

 

「!!」

 

「えっ?・・・あっ!きゃ!!」」

今の状態に気づき、劉備は体を抱く。

 

「・・・これを着てくて」

と勇作は羽織っていた青いロングコートを渡す

 

「あ、ありがとうございます・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よかった・・・寸法はぴったりだな」

 

「昨日、街で買った愛紗さんの替えの服が役に立ちましたね」

 

鏡を前に立つ劉備を、愛紗と朱里は感想を述べる

 

「あ、あのぅ、良いんでしょうか?こんな服まで頂いて・・・」

 

「なに、これから暫く一緒に旅をする仲だ。つまらぬ遠慮はなしにしよう」

 

「はあ・・・」

 

「よし、着替えもすんだしそろそろ出発するか」

 

「鈴々、お主はどうする?一緒に来るか?それとも留守番しているか?」

 

「愛紗が行くなら鈴々も行くのだ!姉妹の契りを結んだ仲だから二人は何処でも一緒なのだ!それにお兄ちゃんもなのだ」

 

「朱里は?」

 

「私もお供します。そろそろまた旅に出て、見聞を広めたいと思っていましたから」

 

「なるほど、旅をしながら世に埋もれている未知の様々な体位を見て回ろうと言うわけか」

 

「はい、広い世界にはきっと私達には想像もつかない様な格好でくんずほぐれつ・・・ってそれだけの為に行くんじゃありません!」

 

朱里は顔を真っ赤にして否定する。途端にその場は笑いに包まれる。

 

「所で、体位って何なのだ?」

 

派手にずっこける鈴々以外の四人。鈴々は全く理解できていなかった

 

「心配することはない!そのうち知るさ!主と一緒にいろいろとやれば・・・」

 

「星!!余計なことは言うな!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

結果、勇作、愛紗、劉備、鈴々、星、朱里の計六人が旅に出ることとなった。

 

「それでは、留守を頼みます」

 

「はい、旅の無事を祈ってます」

 

「あたしと紫苑は留守番かぁ・・・」

 

「すまん・・・よろしく頼む」

 

「分かりました!ご主人様」

 

「ご主人様、愛紗お姉ちゃん、いってらっしゃい!ちゃんとお土産買ってきてね」

 

「これ璃々・・・」

 

「分かったよ」

微笑みながら、璃々の頭を撫でる。璃々は嬉しそうな表情をした

 

「翠」

 

「ん?ああ」

鈴々と翠はお互いに笑い合う。

 

「ん?なんだ?新手のにらめっこか?」

 

「そうじゃないのだ。人は次に会う時まで別れ際の顔を覚えているものだから、鈴々は翠に飛びっきりの良い顔を覚えてもらっているのだ」

 

「で、あたしも鈴々に飛びっきりの良い顔を見せて、それを覚えてもらってるって訳」

 

「ふむ、それでは私も・・・」

 

はぁっと息を吸い、星は飛びっきりの良い顔を見せようとした

 

「(・・・やばい!!)」

とっさに手で星の顔を隠した

 

「!!」

突然のことに驚く星

 

「何をするのです?」

 

「いや・・・いやな予感したから・・・」

 

「おや残念・・・」

 

「それじゃ出発だ!」

 

「「「「「「おう(なのだ)っ!!」」」」」

 

紫苑と璃々ちゃん、そして翠は手を振って見送る。勇作達も手を振ってそれに応える。

 

 

 

 

 

 

 

こうして今、始まった・・・

 

「(旅の始まりだ!Here we go!!)」


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。