TV版恋姫†無双・・・覇気と六爪流を使う転生者   作:ヒーロー好き

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第五十二席 劉備、桃花村を訪れるのこと

ある日

 

朱里は書店を訪れていた。中には二人組の男性客と、奥には眼鏡をかけた老人風の店長がいた。

 

「すいませーん」

 

「ん?ああ、頼まれてた本なら届いてるよ」

 

店長は品物を後ろの棚から出そうとし、朱里はポーチがらピンクの布を取り出す

 

「ええっと・・・(初級房中術・入門)に(図解・体位百科)だったね?」

 

ピシ

 

黒く固まり、二人組の男性客は、朱里を見る

 

「はわわっ!!書名は言わなくていいですから!!」

 

朱里は顔を真っ赤にして、あたふたと慌て出す

 

「はい、これ」

 

「あ、ありがとうございましゅ!!」

 

本が出されると、手元にあるピンク色の布で素早く包んだ。

 

『お前知ってるか?公孫賛が身に過ぎた宝剣を手にいれたって話』

 

「っ?」

 

他の客人の話が朱里の耳に届いた。

 

『公孫賛?誰だそれ?』

 

『ほら、幽州の太守で、白馬将軍って自称してる』

 

『あ〜、あの影の薄い・・・』

 

『聞いた所じゃ、退治した賊の隠れ家の中から、大層立派な剣が見つかって、きっとこれは由緒ある物に違いないって』

 

客が話している間に、朱里は代金を店長に支払う。

 

「毎度あり」

 

「また来ますね」

 

「あいよ」

 

朱里は布で包んだ本を抱え込み、店を出る。

 

『そんな話より、張三姉妹って知ってるか?めちゃめちゃすごい人気らしいぜ?』

 

 

 

 

 

 

 

 

朱里は急いで合流場所である店へと移動する。店では、勇作、愛紗、鈴々、星が料理を食べていた

 

「お待たせしました」

 

「いや。しかし、書店に行くだけなら、何も別行動をする事はなかったのではないか?それぐらいは付き合ったのに」

 

「あ、でもほら、皆さんを私の趣味に付き合わせるのは悪いですし・・・」

 

愛紗から問われると、朱里は、あははっと誤魔化す様に笑う

 

「・・・・・・・・・・」

 

勇作は朱里をじっと見ていた

 

「・・・・・・あの、ご主人様、私の顔になにかついているのでしょうか?」

 

「・・いや・・・そういう訳では・・・」

 

「・・・まさか・・・覇気で」

 

ソーーー

 

勇作は目をそらす

 

ボン

 

朱里は顔を真っ赤にし

 

「ご主人様!!」

 

「いや!俺だって、聞くつもりは・・・たまたまであって・・・」

 

「それでも聞いたことに変わりありません!」

 

「落ち着・・・・・・!!」

 

何かに気付き、立ち上がる

 

「どうしたのだ、お兄ちゃん?」

 

「向こうの森で、人が襲われそうになっている!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

村の外れの森林の中、ピンク色の髪の少女が危機に陥っていた。彼女の目の前には、お馴染みのアニキ、チビ、デブの三人の賊が立ち塞がっている。後ろには身の丈を軽く越える大きな岩が置いてある

 

「な、何なんです?あなた達。お金なら、ないですよ?」

 

「ま、確かに金目のモンは持ってなさそうだなぁ。けどその代わり、良いもん持ってんじゃねぇか」

 

あの木は汚い笑みを浮かべて、少女のよく育った豊満な胸を見る

「「「ちちち」」」

 

賊三人はにやけながら少女に近づく。

 

「な、何をするつもりですか!?」

 

「別に痛いことしようってんじゃねぇんだから、そんなに怖がんなよ」

 

「そ、そうなんだな。むしろ気持ち良い事するんだな」

 

すると、少女は怯えながら、背負っている籠から筵を取りだし、丸めて一本の棒を作って構える

 

「そ、それ以上近寄ったら、この筵で…!」

 

「はぁ?そいつでどうしようってんだよ。観念しな」

呆れた風に言うと、少女は何を思ったのか、その場に座り込み、筵を頭から被る。

 

「ほ、ほうら、これで何処にいるのかもう分かりませんよぉ〜?」

 

「「「「頭隠して」」」

が全身を隠しきれていない。

 

「なめてんのかテメェッ!!」

 

「きゃああっ!!」

 

業を煮やしたアニキが筵を剥ぎ取る。少女は悲鳴を上がる

 

 

 

その時

 

「そこまでだ!!」

 

そこへ武器を構えた勇作一行が現れた

 

「なんだ、てめえら」

 

「冥土の土産に教えてやろう。この者こそしっとりつやつや下の毛が自慢の・・・」

 

【しばらくおまちください】

 

その後、星は愛紗に殴られてしまって、頭にタンコブが出来る

 

「テイクツー」

 

 

 

 

 

 

「冥土の土産に教えてやろう。この者こそ弱気を助け、強きをくじく、黒髪の山賊狩りだ!!」

 

ピンクの髪の少女は愛紗をじっと見た。そして賊達もビビり始めた

 

「お・・・お前が・・・」

 

「アニキ・・・・」

 

「上等じゃねえか・・・俺達でその自慢の下の毛をつるつるに剃り落としてやろうぜ!!」

 

「下の毛は余計だ!!」

 

「やっちまえ!!」

 

賊達は襲い掛かったが・・・

 

「はああああああああああああああああ!!!!」

 

横払いをし

 

「一振りかよ」

 

あっさり倒され、空に飛んでいく

 

「「「でも・・・気持ちいい」」」

と言いながら星になった

 

「Mか・・・おまえら」

 

 

「やれやれやっと片付いたのだ」

 

「ふむ、我らの活躍で再び平和が戻ったな・・・」

 

「なにもしてないだろう!二人は・・・」

 

「朱里、出てきてもいいぞ・・・私のつぼ漬けメンマは無事であろうな?」

と茂みから朱里が出てきた

 

「はいはい、割れたりしていませんよ・・・・・・星さん、全然戦っていないのにメンマのことより自分のたんこぶのことを心配してください」

 

「愛紗は気が短くていかん・・・」

 

「お前があんなこと言うからだろう」

 

そして、愛紗とは少女のところに向かい、手を掴み立たせる

 

「立てるか」

 

「はい、危ないところをありがとうございました」

 

「なに礼にはおよばん」

 

「そうなのだ!!あんなへなちょこども、鈴々にかかれば、ちょちょいのぷーなのだ!!」

 

「鈴々ちゃんも全然戦っていません」

 

「でも私を助けるために・・・あんな怪我まで・・・」

 

少女は星のたんこぶのことを心配していた。そして、星は愛紗を連れ出すと・・・

 

「愛紗、ここは突っ込むところなのか?」

 

「って私に聞くな!!しかし、この辺り一帯の賊は全て退治したと思ったら桃花村の近くにあんな輩がいるとは・・・」

 

桃花村という言葉に反応するかの様に、目を大きくする少女

 

「そうですね。恐らくは他所から流れてきた追い剥ぎ何でしょうけど、村の人達に注意する様、言っておいた方がいいかもしれません」

 

「あの〜もしかして、皆さんは桃花村の方なんでしょうか?」

 

「そうだが?」

 

「よかったぁ~実は私、桃花村に行く途中だったんですけど、さっき怖い人達に襲われて」

 

「そうだったか・・・」

 

「だがもう安心だ。桃花村はこのすぐ先だ。村まで、我々が案内しよう」

 

「重々、ありがとうございます」

頭を下げて礼を述べる。

 

「あ、申し遅れましたが、私の名前は劉備、字は玄徳と言います」

 

「劉備」

 

「玄徳」

 

「「「「ええぇぇぇぇぇぇっ!?」」」」

 

「(こ、この子、本物の・・・劉備!!)」

 

「え?え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さてここで、皆様にご説明!

 

そもそも、桃花村にて義勇軍を旗上げしたのは、中山靖王の末裔と称する劉備なる男!!

 

天下太平を願うその志に、感銘を受けた勇作らは、共に戦う事となったのですが、こいつがとんだ食わせもの!!

 

正義を唱えるは口先ばかり!

 

その正体は己が立身出世の為には民を犠牲にしても屁とも思わない卑劣漢!!

 

こんな外道とは付き合えないと、すっぱり袂を別った勇作達!!

 

更にはこの男!実は嘗て、黄忠の娘を誘拐した悪党一味の黒幕でありまして!!

 

それがばれるや否や、尻に尾を巻いて姿を眩ませたのでありました!!

 

 

 

(あの・・・水鏡さん・・・なんで顔を隠しているのですか)

 

私は水鏡ではありません・・・ナレーさんです

 

(声でまるわかりですよ!つかナレーさんってなんだよ!お父さんみたいに言うな)

 

はいはい・・・もどりますよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勇作達は桃花村の客室にて、劉備にその男の事を伝えた。

 

「そうだったんですか。やっぱり、私の名前と素性を語っていたんですね・・・」

 

「えっ?」

 

「きっと、あの人に違いありません」

 

「あの人?何か心当たりがあるのか?」

 

「はい・・・・・・実は、私は年老いた母と二人。筵を織ってはそれを近くの町で売り、日々の糧を得ていたのですが・・・・・・・ある日、帰り道に峠の茶店で一休みしていると、隣に腰掛けてた若い男の人が話しかけてきて・・・・・・・」

 

「お嬢さん?」

 

「ん?」

 

「もしよろしければ、その御腰の物。少し拝見させて頂けませんか?」

 

「えっ?別に構いませんけど」

 

「うーん、これは素晴らしい!いやはや何とも大したものだ!刃の輝きも去ることながら、鞘の造りの見事な事。そしてこの柄の宝珠、いやはや全くもって素晴らしい!」

 

(その人があまりに褒めてくれるんで、私、つい嬉しくなって・・・この宝剣は我が家に代々伝わる物で、中山靖王の末裔であることを明かす物だと話してしまったんです)

 

「ほほう、中山靖王の・・・」

男は目を見開き、驚いた様子を見せる。

 

「ちゃんと系図もあって、私から何代か遡ると、中山靖王劉勝様の名前があるんですよ」

 

(茶店を出て暫く行くと、やがて人気のない崖道に差し掛かったのですが、さっきの人が後を追いかけてきて)

 

「いやぁ、申し訳ないが先程の宝剣。もう一度見せて頂けませんか?」

 

「はぁ、別に構いませんけど・・・」

 

またまた大事な宝剣を渡してしまった劉備。男は品定めするように見つめている。

 

「流石に中山靖王に所縁のある宝剣。見れば見るほど素晴らしい」

 

男は劉備の方を向く。

 

「所で劉備殿。御名前は先程お伺いしましたが、宜しければ字もお教え頂けますか?」

 

「玄徳です」

 

「劉玄徳ですか・・・良い響きだ」

 

「それはどうも・・・・・・」

 

「それではその名とこの宝剣、頂かせてもらうぞ!」

 

「えっ?」

 

ついに本性を表し笑みを浮かべた瞬間、劉備を崖から蹴落とした。

 

「てやっ!!」

 

「きゃあああああ!!!」

 

そのまま真っ逆さまに落ちていった。男は卑劣な笑みを浮かべたまま、宝剣を腰に携えてその場を去った。

 

(幸いにも途中で木の枝に引っ掛かり、何とか一命はとり留めたものの、家に帰って母に事の次第を話すと)

 

「阿備や。母はお前にご先祖のお心を教えてきましたね・・・」

 

劉備の母は筵を織りながら、劉備に語りかける

 

「時が来たら、世の為、人の為。剣を取って走路から立てばならぬぞ、と」

 

「はい・・・・・・」

 

母はにっこりと笑った瞬間。鬼の様な形相になった。

 

「えぇい!!情けない!!その御先祖のお心を代々伝えてきた大事な宝剣を奪われ、おめおめ戻ってくるとは!!」

 

(怒り心頭に走った母は、私の首根っこを掴むなり走り出して、家の側を流れる川へ思いっきり放り込み・・・それ以来、母はその時の怒りを思い出す度に私を捕まえては川に放り込むようにになってしまって)

 

「きゃあああああああ!!」

 

ドッボォーン!!

 

「う・・・・・・・」

 

ボコボコ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

話終えた後、他一同は苦笑いを浮かべていた。

 

「な、中々、豪快な母上だな・・・」

 

「いやそれ・・・虐待になるんじゃ・・・」

 

「このままでは身が持たない。いつか溺れ死ぬと思っていた所へ、桃花村で私と同じ名前の人が義勇軍を率いていると、風の噂に聞いて・・・」

 

「成程・・・それで宝剣を奪って自分に成り済ました相手が、この村にいると思って訪ねて来た訳ですね」

 

「そこまで確信があった訳ではないですけど、他に手がかりもないので、藁にもすがる気持ちで・・・」

と話していると

 

 

「あーー劉備、ちょっと失礼」

 

「え?」

 

勇作は立ち上がり、ドアの立つと同時に

 

 

バン

 

扉が勢いよく開く

 

「劉備!かく」

 

「はっ!!」

 

バン

「きゃあ」

弓を構えたまま入ってくるが・・・勇作の覇気で弓が弾かれる

 

「何をするのですか!ご主人様!!」

 

「違う人物だよ!!」

 

「・・・え?」

その言葉に呆気にとられた表情をする

 

 

 

 

 

 

 

「まあ、そうだったんですか・・・・・・・」

顔を羞恥に染めて、もじもじと内腿に手を入れている

 

「すみません。村の人達から劉備が来たというのを聞いて、頭にカァッと血が昇ってしまって・・・本当にごめんなさいね?」

 

「いえ、気にしないでください・・・」

 

「それにしても許せないのは劉備さんを語っていたあの男・・・もし見つけ出したら耳を削ぎ、鼻を落として目を潰し、時間をかけて生爪を一枚一枚剥がしてから三枚に下ろし!肩身を薄く切ってサッと湯通しにして、骨は油でカラッと揚げて!!」

 

悪魔の様な形相で身震いするほど恐ろしい事を語り出す・・・・・・皆一同、顔は青ざめて冷や汗をかいている。

 

「(怖えーーー、山姥か!!アンタは)」

 

「紫苑・・・みんなドン引きなんで、そのくらいに・・・・・・」

 

「あーあーあの時、無理してをでも追いかけてあの男捕まっていれば、劉備さんの宝剣を取り戻せたのに」

 

「それはしょうがないですよ。その時は皆さん、事情をご存知なかったんですし」

 

「あの、宝剣でちょっと思い出したんですが・・・」

 

「どうかしたのか?朱里」

 

「はい。今日、町の本屋さんで注文していた本を受け取った時、幽州の公孫賛さんが、身に過ぎた宝剣を手に入れたという噂を聞いたのですが、それってもしかして・・・」

 

「公孫賛・・・公孫賛・・・・・・あっ!白珪ちゃん!」

何かを思い出したのか、声を上げる。

 

「劉備さん、公孫賛さんをご存知なんですか?」

 

「ええ!!昔、同じ先生に付いて、一緒に学問を学んいたことがあって」

 

「公孫賛?何処かで聞いた名だな」

 

「思い出せないのだ!」

 

「星、お主はわざとだろ?」

 

「(あの人か・・・元気にしているかな)」

 

別の場所では

 

「ぶえくしょん!!今日はやけにくしゃみが出るな。どうやらだれかが私のうわさをしているようだな・・・最近、白馬将軍として名が売れて、やっぱり宝剣を手に入れたから運が向いてきたのかな?」

 

高笑いをする公孫賛。そばにいた白馬がため息をついていた

 

 

 

 

 

 

「賊の隠れ家で手に入れた宝剣が、劉備さんの探している物かどうかは分かりませんが、他に手掛かりがないのなら、訪ねてみる価値はあるんじゃないでしょうか?もしそれが劉備さんの宝剣で相手がお知り合いなら、事情を話せばきっと返してもらえるでしょうし・・・」

 

「そうですね・・・分かりました。じゃあ私、白珪ちゃんを訪ねてみます」

 

「といっても、今からだと日がある内に山を越えるのは無理だ。事に一人旅では、山中の野宿は危ない。今日はここに泊まっていってはどうだ?」

 

「そうだな・・・その方が良い」

 

「えっ?でも、そこまでお世話になるのは・・・・・・」

 

「ご主人様がそう仰っていますし・・・晩御飯、腕を振るいますから!知らぬ事とは言え、失礼を働いてしまった御詫びをさせて下さい」

 

「そういうことなら」

泊まることのした時

 

 

「劉備さん・・・失礼・・・パートツーです」

 

「え?」

 

勇作は紫苑の時と同様に扉の前に立つ・・・すると

 

バン

 

銀閃を突きつけようとする翠が勢いよく入ってくる。隣には頬をプクッと膨らませて怒っている璃々ちゃんがいる

 

「劉備!かく!!」

 

「よっと」

 

ベシ

 

勇作は覇気を纏った手で銀閃の先を上に払った

 

「うわ!!」

 

突然のことに翠は態勢を崩す

 

「なにをするんだよ!ご主人様!!」

 

「人違いだよ!!」

 

「「え?」」

 

そして二人は人違いだと知ると、呆気にとられた表情をする


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