TV版恋姫†無双・・・覇気と六爪流を使う転生者 作:ヒーロー好き
夕飯を食べ終えた関羽は部屋に戻り、寝台に横になりながら窓から星空を見ていた
「星の奴。無事であればいいのだが」
「そうですねー」
布団に横になりながら、関羽と勇作が星との身を案じていると・・・・・・
「ふぁー・・・久しぶりのお風呂気持ちよかったのだ~」
なんと風呂上がりの鈴々が下着姿で関羽の部屋に入り、タオルで頭を拭いているではないか
「コラ! そんな格好でウロウロするな。風邪をひくぞ!」
「そうだよ、鈴々」
と関羽と勇作が注意した。すると勇作が
「まだ髪が濡れているじゃないか」
「にゃぁ。お兄ちゃんくすぐったいのだ~」
鈴々の少し濡れた髪を拭く勇作。すると再び扉が開き諸葛亮がお湯の入った桶を持って入ってきた。足が動かせないため、風呂にも入れない関羽の体を拭くためである。
「関羽さん。お体をお拭きしますね」
「・・・あっ。ああ、孔明殿。頼む」
「俺は風呂に入って来ます」
「わかりました」
「ありがとうなのだ。お兄ちゃん」
「孔明ちゃん。風呂を借りるね」
「はい。ごゆっくりどうぞ、高杉さん」
鈴々の頭を拭き終えた勇作は部屋を出て行った。
「何から何まで世話になって済まない」
「いいえ、困った時はお互い様ですから。さっ、服を脱いで下さい」
「あっ! だが、その前に」
「ん?」
お湯で濡らして固く絞ったタオルを手に、関羽に脱いでもらうよう声をかける諸葛亮・・・と
「だから、その。いわゆる一つの生理現象というか、何というか」
「あぁ! これですね」
その一言で関羽がもよおしたと分かったのか、諸葛亮がさっと例の「おまる」を取り出す。
「お、お気遣いはありがたいがそれはちょっと」
「あっ! もしかして大きい方ですか?」
「い、いや///そうじゃなくて///・・・鈴々!」
「合点承知なのだ♪」
できれば「おまる」は使いたくないようで、関羽は寝間着に着換えた鈴々におぶってもらおうとする
「頼むぞ」
「おまかせなのだ♪」
「あの。それでしたら」
「「えっ?」」
と鈴々が関羽を起こしたところで諸葛亮が何かを取りに行った。そして数分後持ってきたのは・・・・・・木造の車いす。
「ほう! これは!」
「私が造ったんです。足を怪我した人でも移動できるようにって」
「これは便利だな♪ あははっ」
関羽を乗せ、諸葛亮は車椅子を押して部屋を出て行く。その後ろ姿を鈴々は眉間にしわを寄せながら見ていた。
次の日の朝
「子曰く、学びて時に之を習う、また説ばしからずや」
諸葛亮が勉学に励んでいた。
「朋有り遠方より来る、また楽しからずや」
関羽の部屋から眺めていた。怪我の診察のため水鏡も傍に居た。勇作も手伝いで部屋にいた。
「水鏡殿。孔明殿はいい子ですね。素直で賢くて学問が好きでそれにちゃんとお手伝いもするし」
「鈴々ちゃんだっていい子じゃありませんか」
「いや、鈴々は全然」
「元気があって、明るくて私は大好き。それに何よりとってもご「水鏡殿」なんですか?」
水鏡が何か言おうとした時、勇作が口を挟んだ
「言っときますけど、両親ではありませんよ」
「えっ? 違うですか?」
「ち、違います! 鈴々は私と高杉殿の間に生まれた子ではなく! 姉妹の契りを! 義理の! 何故、そういう勘違いを! 私はまだ一度も子を宿す行為は一度も!」
「わ、分かりました。分かりましたから落ち着いて下さい」
顔を赤くし、慌てる関羽を何とか水鏡は落ち着かせた。すると水鏡が諸葛亮の過去を語り始めた。
「あの子は幼い頃に両親を亡くし、姉妹揃って親戚をたらい回しされている内に姉や妹と別れ別れにその後しばらく私の師匠に当たる人の所に居たのですが、結局私が預かることになったんです」
「そ、そうだったんですか」
関羽は諸葛亮の辛い過去を知り、庭に居る彼女に視線を向ける。
「関羽さんが仰って下さったようにあの子は本当にいい子。聞き分けが良くて私の所へ来てからもワガママなど一言も言ったことがなくて、私にはそれが辛い境遇を過ごす内に知らずに身についてしまった悲しい性だと思えるのです」
「水鏡殿・・・」
関羽は水鏡の想いを聞いてからそれ以上何も言えづらくなった
「・・・・・・・・・・・」
草庵で学問にはげむ諸葛亮を見つめる水鏡の瞳が、勇作にはさびしそうに見えた
その夜
関羽は体を拭きに来た諸葛亮と会話していた。
「ほう。水鏡殿の作る薬はそんなに良く効くのか」
「はい。ですから時々、麓の村の方に頼まれて作ったお薬を届けたりもしているんですよ。」
背中を拭いた手ぬぐいに再び諸葛亮はお湯に入れ絞る。
「わたし。先生みたいに皆の役にたつ人間になりたいです。でも、そのためにはもっと色んなことを学ばないと、と思ってて」
「そうか。孔明殿は本当に偉いな」
と関羽は孔明の頭を撫でた。
「あっ、すまん。時々、水鏡殿がしていたものだからつい」
「いいえ。わたし、なでなでされるのが好きですから」
とそんな二人の楽しい会話を扉の隙間から鈴々がこっそり覗き、これまた面白くなさそうな顔をしていた。すると廊下を歩いていた勇作が、声を掛ける。
「どうした、鈴々」
「あっ。お兄ちゃん」
「何かあったのか?」
「ううん。何でもないのだ。おやすみなのだ」
そう言って鈴々は部屋に入って行った
「・・・・・・・・・・・」